2012年4月22日日曜日

よい学校とは

ラリー・キューバン(教育社会学者)というアメリカ・スタンフォード大学名誉教授がいます。その著書「Why is it so hard to get good school?」の中で SchoolA,SchoolB,SchoolC,SchoolD4つの異なるタイプの「Good School」を紹介しています。

A 伝統的手法による正統派の学校  
知識伝授型の授業で、統一テストの点数を大切にする学校

  B プロジェクト型の学習を中心にすえた進歩的なスタイルの学校

C 教員の退職者が毎年大量に続いていた、荒れていた学校を、自分たちの生活に身近な問題を取り上げた学習などをカリキュラムの中心にすえて、立て直した学校

D 南米からの移民子弟が大半を占める学校で、国際色豊かなカリキュラムを中心にすえた学校

彼の結論は、『「よい学校」の定義は難しい。何がよいのか、だれにとってよいのか。ただ、多様性があっていい。多様な子どもたちのニーズに応えるような多様な学校があっていい。』というものです。

そして、「取り散らかった」(Messy)行政の施策が、どれほど教室の改革につながっているのかとも言います。アメリカにおける競争原理にもとづいた改革はうまくいっていないようです。「行政主導」の改革がわが国でもさまざまな形で行われていますが、みなさんの地域ではどうでしょうか。
日本の公立学校はさきほどの分類で、タイプAに追い込まれているところもありますし、タイプC,Dもあります。ただ、プロジェクト中心のカリキュラムの学校は見かけません。アメリカのチャータースクールがこのタイプを取るケースが多いようです。もちろん、すべてではありません。何せ、「多様性」がアメリカの教育の真骨頂だからです。

 日本の学校にも、もっと多様性があっていいと思うのは私だけでしょうか。
これからの学校教育に不可欠な「創造性」について渕上克義は「学校が変わる心理学」(ナカニシヤ出版1995)において次のように述べています。
「自由に情報・意見交換がなされ、かつ成員の異質性が高いときに「創造性」は高まる。」まさに、「みんな一緒に」の同調圧力の高い集団では創造性が高まらないということです。校長として心に留めておきたいことの一つだと思います。

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