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2021年1月10日日曜日

好奇心を活かした授業づくり

 13県では緊急事態宣言とほぼ同時に、新学期が始まりました。教師にとっては、感染予防や行事予定の見直しなど、徒労感と緊張感のある学校生活がまた始まろうとしています。これまでは土曜日を返上したり、授業時数を増やしたり、冬休みを短縮してまで、休校中に遅れしまった学習進度の負債をようやく解消したにもかかわらず、都心部ではまたの緊急事態宣言。今回は、学校閉鎖はしないとはいうものの、都心部では分散登校や時差登校、さらにはオンライン授業に切り替えた学校もあります。早く感染拡大に歯止めをかけて重症患者数が減り、子どもたちが安心して学校生活をおくれるようにと、願うばかりです。 

 

分散、時差登校に併せて生まれる懸念が「カリキュラム履修状況」です。急いで本年度の学習内容をカバーしようとまた、土曜日授業や春休みの短縮など失われた時間を取り戻そうと教育委員会は躍起になるかもしれません。文科省は今年度中でなくともよいとしていますが。。。三学期に時間をかけるべきところは「浅く広くのこれまで通りのカリキュラム」ではなく、本当に学ぶべき事へ焦点を当てることです。それには、教師が教えることを選択しなければなりません。時間をかけなければ理解は進みませんから。教科書をさらりと効率的に「やったこと」にすれば、本年度でカリキュラムに決着をつけられますが、はたしてそれが子どもたちの心に響き、深い学びとなっているのでしょうか? それは、子どもたちの好奇心を突き動かした学びとなるのでしょうか? 

 

ちょっと視点を変えてみませんか? 浅く広くのカリキュラムには建前上おつきあいしつつも、子どもを原点(学習者中心)に考えることです。

 

子どもは好奇心旺盛です。好奇心は子どもの深い学びを導きます。物事を確かめてみることや試したりすること、自分の周りと交流する事へとつながっていきます。それは、子どもの認知発達を推進し、新しい知識をもたらす原動力となります。そして、これらの好奇心は全ての子どもがすでに持っているのです。

 

この好奇心をいかした授業の具体的な方法を紹介しているのは、ウェンディ・L・オストロフ著・池田匡史・吉田新一郎訳『おさるのジョージを教室で実現 好奇心を呼び起こせ!』です。おさるのジョージは原文絵本には「Curious George」とあり、直訳すれば「好奇心のジョージ」です。まさに、ジョージは好奇心のシンボル。その好奇心ゆえにかわいらしく愉快なトラブルばかりのお話ですが。

 




PLC便り 新刊『「おさるのジョージ」を教室で実現 ~  好奇心を呼び起こせ!』

https://projectbetterschool.blogspot.com/2020/10/blog-post.html


PLC便り 書評:『「おさるのジョージ」を教室で実現~好奇心を呼び起こせ!』

https://projectbetterschool.blogspot.com/2020/11/blog-post_8.html

 

 

本書では好奇心を授業に活かすそのよさを以下の3つにまとめています。

    好奇心は内発的な動機を活性化し、維持し、深い学びを起こしやすくする

    好奇心はドーパミンを放出し、喜びをもたらすだけでなく観察力と記憶力も向上させる

    好奇心旺盛な人は高い認知能力を発揮する

 

好奇心を授業に結びつける効果的な実践例が紹介されています。人は、動機付け無しに学習することはあり得ません。やる気は外からの報酬によって作られるものではなく、心の内側からやってみたい、知りたいといった内面の好奇心から生まれるものです。これを阻害しているのが、追い立てられるカリキュラム、評価や成績、認められたい・褒められたいといった気持ちなどの心理的ストレスです。残念な事実は、好奇心を失っている得られる学びはほとんどありません。

 

優れた成績の証として与えられる金賞などの外部からの報酬は、子どもの内発的動機付け、自身、自己決定が損なわれるエドワード・デシらによってエビデンスが示されています★。逆に、ある活動が内発的動機付けによってなされている場合は、報酬はその行為自体の一部となり、報酬はただの小さな贈り物程度と位置づけられます。内発的な動機は、ある程度の自由、学習の決定権、自信がなければ維持することができません。

 

教育哲学者であるアルフィー・コーンは、

“もし成績をつけなければ ならないのであれば、生徒には2つの選択肢だけを提供するようにと推奨しています。選択肢の1つは「A」であり、もう一つは「まだ終わっていない」というものです。生徒がその学習をマスターしているかまたはまだ学習を終えていないかのどちらかというとしかいえないからです。”

本書「好奇心を活用する方法⑪ 努力とプロセスのみを評価する」P.118より

 

テストとは終わりではなく、また理解のプロセスのまっただ中と理解することで、学びは続けることができますね。ちょっとだけこれまでの視点を変えることで子どもたちがいきいきと学び始めることができます。その教室で好奇心を活用する効果的な実践方法が33挙げられています。ここに各章の中から、3学期に使えそうな方法を紹介します。そして、本書を読むことで、好奇心を活かす理論やその方法の背景について併せて学習してみてください。

 

好奇心を活用する方法② 生徒に探究の方法を選んでもらう

【第1章 探究と試行を促進する 教室での探究と試行についての足場づくり】 

たとえば、生物であれば細胞についての授業で、興味に応じて6つか7つの異なる方法を選べるようにすることです。植物細胞の確認を終えたら、動物細胞のスライドガラスを観察するのかPCを使ってさらに画像を探すのか、または、顕微鏡の歴史、様々な動植物細胞の比較などの様々な選択肢から生徒が学習方法を選択することです。最終的にはどうなるのか、きっと夢中になって学ぶでしょう。

 

好奇心を活用する方法⑥ アクションリサーチ・プロジェクトを実施する

【第2章 学習を自立的で苦にならないものにする 生徒たちによる学習は生徒自身が決める】

総合学習の学習内容に現在生徒がもっている情熱や興味を結びつけます。地域の課題解決から優先順位を立て、カリキュラムと照らし合わせて、チームを結成しプロジェクトの計画づくりから実行します。それは、自分たちの地域の課題解決に市民としてか変わるコミットメントを高めることになります。

 

好奇心を活用する方法⑫ 正解したものだけをマークする

【第3章 内発的動機づけを取り入れる 失敗を受け入れる】

宿題の確認では、正答だけに印をつけ、間違った答えはそのままにして残しておきます。何が失敗なのかから何が正しいのかへ視点を移すだけです。プリントが返されると生徒たちは熱心に目を通し、自分の考えを振り返り、促されなくとも間違えを理解しようとします。しかも、メタ認知が高まるといったオマケつきです。

 

好奇心を活用する方法⑯ 協力してつくり出す物語

【第4章 想像力・創造力を強化する ストーリーテリング】

物語つくったり演じたりすることは想像力や物語を使って好奇心をかきたてる一つの方法です。ロールプレイ(役割演技)をすることで、生徒たちが読んできた物語や各自でまとめた歴史新聞など、想像力を使って感情的に結びつけることができます。役割を演じることで、登場人物になり、同時に複雑な役割関係をも理解することもできます。

 

好奇心を活用する方法㉒ 100個の質問をする

【第5章 質問することを支援する 子たちたちの質問】

ひとつのテーマで100の質問を考えます。素朴な疑問から、少しずつ分析な質問をするようになります。2030個も出せばアイディイアはつきてしまいますが、他の生徒とペアを組んで自分の質問リストを組み合わせながら100個に近づけるか試してもらいます。これを繰り返すことで、日頃の授業でも質問する習慣が身についてきます。

 

好奇心を活用する方法㉙ より長い時間のまとまりを週のスケジュールでローテーションする

【第6章 時間をつくる フロー状態】

授業の最後になってようやく学習に盛り上がりを見せ本領発揮することが多く、終了間際には夢中になっている活動を中断しなければならないこともよくあります。これまで11コマだった授業を2コマ続きとすることで、試行錯誤を伴う活動では、途切れることのない長い時間が好奇心を開花させます。

 

好奇心を活用する方法㉝ 外での学びを生み出す

【第7章 好奇心の環境をつくる 明るさ、騒がしさ、暗さ、静かさ】

「天気が悪いなんて事は無い。服が悪いだけだ」と、雨の日であっても好奇心に溢れた教室の子どもたちと野外に出かけましょう。子どもたちは世界がどのように機能しているのか、自然現象や周りの世界に興味をそそられます。観察し、耳を傾け、小さな生態系に気づけるようになるからです。木下に座って物語を読んでいる。遊び場で友だちと一緒に物語を書いてみる。厚手のコートを着て歌いながら歩いてみる。学習の空間として校庭を使ってみましょう。

 

 

コロナ禍での新学期。スケジュールをこなすことや焦りから一歩離れ、子どもたちの好奇心を引き出す具体的な取り組み、してみませんか? 好奇心の目を輝かせた子どもたちの姿を実感すればするほど、子どもたちにとって本当に大切なことが身に染みます。私たちにはまだ教育を変えていけるその力があります。そして、私たち教師が好奇心を失わないことです。

“人間、好奇心がなくなったらおしまいだ。” 遠藤周作 ★★

 

 

エドワード・L・デシの『人を伸ばす力―内発と自律のすすめ』は、内発的動機付けを「自律性」(=自己選択)、「有能感」、「関係性」から解説したやる気を理解するには最良の本です。

 

★★

遠藤周作はシリアスな小説以外にも『ボクは好奇心のかたまり』『好奇心は永遠なり』など、幅広い好奇心に基づいた愉快なエッセイ・対談集もおもしろいです。



★★★

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「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではない

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センスオブワンダー

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新刊『好奇心のパワー』

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2020年11月8日日曜日

書評:『「おさるのジョージ」を教室で実現~好奇心を呼び起こせ!』

  この4月から小学校では、2017年に改訂された学習指導要領が完全実施されました。来年度は中学校で完全実施されます。高校は再来年度からです。新学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」を実現するための授業を展開することが求められています。また、「主体的な学び」と「深い学び」に関連して探究的な学習も重視されています。特に、高校では「総合的な探究の時間」、「古典探究」、「地理探究」、「日本史探究」、「世界史探究」、「理数探究基礎」、「理数探究」と探究科目がいくつも新設されました。

 しかし、実際の教室では、やはり教科書を中心とした旧態依然の「教えること」が中心の授業が展開されているように思えてなりません。これが、私の勘違いなら嬉しい限りです。

 子どもたちの探究の原動力となるのが、本のタイトルにある「好奇心」です。絵本に登場する「おさるのジョージ」は、正にその好奇心の代名詞のような存在です。本書では、ジョージのように幼稚園や小中学校・高校で、子どもたち一人ひとりが生まれつきもっている好奇心を発揮し、自立的な学習「探究」をどのようにして実現するか、以下の構成で一つひとつ丁寧に解説されています。

 はじめに―好奇心に満ちた教室にするために

 第1章 探究と試行を促進する

 第2章 学習を自立的で苦にならないものにする

 第3章 内発的動機づけを取り入れる

 第4章 想像力・創造力を強化する

 第5章 質問することを支援する

 第6章 時間をつくる

 第7章 好奇心の環境をつくる

 おわりに―教える際には何が大切かをしっかり見極める

著者のウェンディ・L・オストロフは、発達心理学と認知心理学の専門家で、大学で教師教育に携わっています。子どもの発達、学習、教育に関する学際的な講義を構想し、実践してきた人でもあります。それぞれの章で述べられている好奇心の特徴や子どもたちの学びとの関係、好奇心を発揮させるための具体的な手立て、教師が教室で行うべきこと、行ってはならないことなどについて、発達心理学や認知心理学、学習科学など様々な研究の知見を基に述べられていて、説得力があります。

また、本書で紹介されている実践例は、幼稚園から小中学校、高校、大学まで幅広く、教科も広範囲に及んでいます。文献研究だけでなく、教師教育にかかわる著者自身が、幼稚園や小中学校・高校を実際に訪問したり、現場の教師との交流をしっかりと行ったりしていることも想像できます。

さらに、大学の教育者としての著者自身のユニークな教育実践・授業実践も紹介されています。それも成功した実践例ばかりでなく、失敗例とそこから学んだことが書かれています。著者の誠実な姿勢が伝わってきます。

子どもたちが好奇心を発揮しながら自立的な学習「探究」を行えるようにするために、教師として意識すべきこと、行うべきこと、してはならないことなどを本書から抜き出してみました。

・子どもは生まれながらに、素晴らしい学習能力をもっている。

・子どもを信じる。子どもに任せる、委ねる。

・忍耐強く見守る。

・子どもが自分で決める。教師がコントロールしない。

・教師自身も探究する(子どものロールモデルとなる)。

・自由で計画に縛られない時間を保障する。

・子どもが試行錯誤できる。教師も子どもも失敗を受け入れる。挑戦する。

・選択できるようにする。

・成長マインドセットを促進する。

・想像力が好奇心を支える。

・想像力に富んだ子どもは、優れた認知的発達と学問的成功を示す。

・ストーリーテリングが想像力を育む。

・質問することは、学習に火をつける。

・質問は、理解を可能にし、理解を反映するので、学習方法およびカリキュラムデザインの最前線に位置するものです。

・質問は、思考そのものの「種」なのです。

・質問することで、生徒はより積極的に学習に取り組み、認知プロセスを刺激し、思考の枠組みを明確にするようになる。

・拡散的思考

・もっとも成功を収めた思考者(科学者、作曲家、芸術家、作家)は、もっとも多くの失敗を経験するのですが、それは多くの試みを行うからです。

・急ぐことは、深い学びへの道ではない。

・途切れることのない長い時間が好奇心を開花させる。

・空間を工夫して配置することは、指導目標を達成するための強力な要因となり得る。

・生徒の参加と学習の進捗度は、部屋の色、空間の柔軟性、環境の複雑さ、そして照明にもっとも影響を受けている。

・好奇心を育成するためには、教室空間が学習者中心になっていなければならない。

 特に、私が重要だと感じたのは、第5章「質問することを支援する」です。質問は、好奇心の現れです。

哲学者のスコット・サミュエルソンの言葉「質問すること自体が、私たちを変えるのです」や社会学者のニール・ポストマンの「質問の仕方とつくり方に関する技術は、教育における中心的な焦点の一つであるべきだ」が引用され、「よい質問や効果的な質問をするためには、学習に対して創造的に取り組むような活力が要求されます。その理由は、「質問することは、さらなる質問につながる行動を生み、その結果として、さらに大胆な探究につながっていく」」という、質問によって探究が大きく促進されることが述べられています。

そして、子どもたちの質問を促進するための具体的な方法として、ダン・ロススタインとルース・サンタナの「質問づくり」やソクラテス式の「問答法」、豊田佐吉の「5つの「なぜ」」が紹介されています。

さらに、子どもたちの好奇心を育み、活性化するための教室空間について、詳細に述べていることは本書の極めてユニークな点だと思います。

 書評の結びに、本書と共に以下の本で紹介されている具体的な手立ても参考にしながら、「おさるのジョージ」のように子どもたちが生まれながらにもっている好奇心を発揮し、自立的な学習「探究」が多くの教室で実現されることを切に希望しています。

■『たった一つを変えるだけ~クラスも教師も自立する「質問づくり」』新評論

■『教科書をハックする~21世紀の学びを実現する授業のつくり方』新評論

■『遊びが学びに欠かせないわけ~自立した学び手を育てる』築地書館

■『だれもが〈科学者〉になれる~探究力を育む理科の授業』新評論

■『教育のプロがすすめる選択する学び~教師の指導も、生徒の意欲も向上!』新評論


 以上は、主には中学校で長らく教え、管理職を務めた後、いまは大学で教えている大関先生が送ってくれた書評でした。


2020年10月4日日曜日

新刊『「おさるのジョージ」を教室で実現 ~  好奇心を呼び起こせ!』

 


  タイトルを実現するための本です。

サブタイトルは、「好奇心を取り戻せ!」の方が当たっているかもしれません。

 

 訳者の兵庫教育大学大学院の池田匡史先生が、紹介文を書いてくれました。

 

*****

「学校での勉強=嫌なこと、苦しいこと」

このように、「勉強」や「学習」に対してネガティブなイメージを持っている児童・生徒は少なくないのではないでしょうか。そして子どもたちにそのような思いを抱かせてしまっているのは、私たち大人なのではないでしょうか。

しかし、新しいことを知る・学ぶのは、そもそも楽しいことであるはずです。本書では、学ぶことを楽しめる児童・生徒を育てるために、人間が本質的に持っているはずの「好奇心」を活用することに着目しています。いわば好奇心のおもむくまま、さまざまなことにチャレンジする「おさるのジョージ」のような学習姿勢を、教室で再現しようということです。
 では、どのようにすれば「好奇心に満ちた教室」を実現できるのでしょうか。この問いに答えるには、「どのような学習の文脈をつくり、どのような活動を展開すればよいのか」、「どのような点に留意したカリキュラムを組めばよいのか」、「どのような教室環境を設計すればよいのか」など、さまざまな点を考えなければなりません。それが、この本ではしっかり押さえられています。また、本書ではそれらについて考えるためのヒントとなる「好奇心を活用するための33の方法」が、脳科学や心理学の研究成果を踏まえた上で提案されています。たとえば、その中の一つに「縛られない時間を確保する」というものがあります。ある研究では、学習者が急かされることなくリラックスしているときにこそ、好奇心が解放されて創造性が発揮され、学びが最も進展するという結果が出ているのです。
 学習指導要領にも謳われているように、現代はとりわけ探究的な活動が求められています。にもかかわらず実際の教育現場ではそれが十分に実現できていないのが実情です。本書はきっと、「子どもたちがワクワクする授業をしたい」と願う先生方に、たくさんの刺激とヒントを与えてくれるでしょう。そして、先生自身が持っている「好奇心」にも向き合うことになるはずです。

*****

 好奇心は、学びの「核」だと思いますが、日本の学校教育ではどういうわけか軽視(ないし無視)され続けています。その結果、興味がもてないし、身につかない状態が続いています。その状況を打ち破るヒントが満載の本です。

 いくつか、著者の言葉を紹介します(数字は、ページ数です)。

4 好奇心は、学習者に知識をもたらす原動力です。好奇心をもつことは、物事によく気づくためにオープンであること、物事を確かめてみること、試してみること、自分の周り交流することにつながります。 ~ 好奇心を喚起しないと、これらが行われないことを意味します!!

17 好奇心に満ちた教室は、生徒に本物で、差し迫った、臨場感にあふれるような体験と可能性、そして自分たちの空間だという感覚(オウナーシップ)を提供することになります。本書は、生徒が好奇心を表現できるようになるために、教師が生徒の好奇心を引き出し、持続させ、好奇心でいっぱいの教室をつくれるようになることを目的として書かれました。

22 ・生徒と教師の好奇心を組み合わせることによって、好奇心に満ちた教室をつくることができる。

   ・好奇心に満ちた教室をつくることによって、教育と学習の伝統的な見方を変えることができる。

23 好奇心旺盛な子ども(つまり、すべての子ども)は、危険を冒し、知的に遊び、何かを試し、生産的な間違いを犯すことで深く学ぶのです。

   あらゆる教室を好奇心のあふれた場所に変える方法は、ほんのわずかな修正を加えることです。まず、教師が自分自身に対する見方を、単なる教師という存在(要するに、教える役割=教科書をカバーする役割)から、自らも好奇心をもち、学習者と共に学習を促進する権利ともっている存在に変えることです。

 

 以上はすべて、本の「はじめに」から抜粋しました。興味をもたれた方は、中身の詰まった第1章以降を、ぜひ読んでください。

 

◆本ブログ読者への割引情報◆

1冊(書店およびネット価格)2750円のところ、

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※ なお、送料を抑えるために割安宅配便を使っているため、到着に若干の遅れが出ることがありますので、予めご理解ください。また、本が届いたら、代金が記載してある郵便振替用紙で振り込んでください。

 

2024年9月29日日曜日

エージェンシーを培う授業のつくり方

「エージェンシー」という言葉は最近よく耳にします。子どもたちは興味や情熱、さらにはもっと知りたいという好奇心をもって学校にやってきます。私にとって、生徒がエージェンシーをもつ教室とは、「生徒が自らの学びにおいて選択し、決定し、行動する力をもつ教室」です。しかし、私たちが提供する学習機会を通して生徒のエージェンシーを育むとは、具体的にどういうことなのでしょうか?

 以下に、効果の高い五つのアイディアと、それらに取り組む際に参考になる本を紹介します。


1つながりと帰属意識の構築

生徒たちがエージェンシーをもっている教室の基盤には、教師と生徒の関係があります。これにより、生徒が自立的に学ぶための実践を発展させる土台が提供されます。 ~『「居場所」のある学級・学校づくり』『好奇心のパワー』

子どもたちが話すときは深く耳を傾け、学校外での彼らの生活について学びましょう。問題が大きいか小さいかに関わらず、発生した際には話し合う時間をもつ準備をしましょう。「わからない」と、子どもたちが自信をもって言えるようにしましょう。 ~「子どものための哲学」や「哲学対話」関連の本、『最高の授業』『生徒指導をハックする』

 

2意図的に生徒のスキルを育む

生徒がメタ認知的な学習者になるよう教えましょう。さまざまな学び方を試す機会を与えるのです。たとえば、ある生徒は創造的な方法で学ぶことを好むかもしれませんが、別の生徒はもっと支援/足場が必要かもしれません。彼らの好みは、取り組む内容や課題によって異なることがあります。生徒は異なるアプローチを探る必要があり、自分の学びに何を適用するかを決定する際に備えることができます。学びの計画を立てたり、振り返ったりする方法を直接教え、モデルを示しましょう(教師が自分では使わないような、市販の振り返りは選択肢に入らないはずです)。その後、振り返るための機会を頻繁に提供し、生徒が自分にとって最適な学びを実現する要素を特定できるようにします。 ~『「考える力」はこうしてつける』『「学びの責任」は誰にあるのか』『教育のプロがすすめる選択する学び』『ようこそ、一人ひとりをいかす教室へ』『一斉授業をハックする』

メタ認知的な実践を埋め込み、生徒のエージェンシーを育むために、自分が得意とする教科で始めましょう。(その際、一つの概念やスキルに対して異なるいくつかの学習活動を設計してみるのは出発点かもしれません。たとえば、生徒はペア作業、個別の探究、小グループでの協同/協働活動など、同じ学習目標を達成することができます。 ~たとえば国語なら、https://x.gd/Y9zuJ

一つの教科で練習を積んだら、日常全体や教科を統合する形で広げていきましょう。~上の国語の応用として、他教科では『だれもが「科学者」になれる!』『社会科ワークショップ』(いま『数学者の時間』を執筆中!)、教科横断のアプローチでは『あなたの授業が子どもと世界を変える』『プロジェクト学習とは』『PBL~学びの可能性をひらく従業づくり』『子どもの誇りに灯をともす』

 

3壁を使って思考と学びを可視化する

 教室や廊下の壁のスペースを使って生徒の思考や学びを展示することで、生徒のエージェンシーを重視した実践が強化されます。生徒は自分たちの成果を視覚的に見ることができ、教室全体が学びに満ちた活気ある環境になります。その際は、生徒を自分たちの学びの展示に参加させ、あらゆる場所にその成果を示すよう促しましょう。

 これは、成果物を生徒がつくり出す学びとも言え、従来のテストが最終目的であった学び方を卒業して、終わりのないサイクル型の学びへの移行を意味します。というのは、暫定的には壁に貼り出したものが成果物ではあるのですが、それにクラスメイトや校内・校外の他の人たちからのフィードバック(付箋)がつくと、探究が新たなサイクルを回し始めるきっかけになるからです。なお、今の時代は一人一台端末を持っているので、壁スペースを使った展示は、オンラインで校外の人も対象にしたサイトなどをつくる活動へと発展させることは容易です。 ~『一人一台で授業をパワーアップ!』

 

4生徒を専門家として位置づける

 生徒は他の生徒と共有できる専門知識をもっています。ディジタル・リテラシーのスキルなどは、生徒が専門家となることができる分野の一例です。生徒同士で授業やワークショップを開催し、スキルを共有し合うことで、互いにサポートし合いましょう。生徒たちは自分が講師役を務めることに喜びを感じ、教師であるあなたも参加したくなるかもしれません。

 また、学校の広いコミュニティー(関係者)を活用して特定の内容についての教えてもらう機会をつくることも大切です。保護者や地域のエキスパートや上級生(クラスメイトでさえ!)は素晴らしい専門家となり、あなたとは異なる視点を学びにもたらしてくれます。生徒たちは、教師(や教科書)以外の専門家から学ぶことで成長し、学びを深めるでしょう。これは、教科の学びとSELの統合にもなります。 ~『国語の未来は「本づくり」』(やhttps://x.gd/Y9zuJのほとんど!)『学びは、すべてSEL

 

5イノベーションのモデルを示し、生徒が創造的になれるように促す

 学習者が遊び、探究し、問題解決する機会をもつことで、エージェンシーが育まれます。ユニットの終わりには、生徒が自分の理解を固め、応用し、自分のアイディアを創造するための時間を提供しましょう。 ~『たった一つを変えるだけ』『あなたの授業が子どもと世界を変える』『プロジェクト学習とは』『「おさるのジョージ」を教室で実現』『退屈な授業をぶっ飛ばせ!』『教育のプロがすすめるイノベーション』、そしてhttps://x.gd/v1ufG

 

参考: https://x.gd/cVIyk

2023年7月16日日曜日

教え方の「これまでのアプローチ」と「これから求められるアプローチ」 (+この転換を実現する本の紹介)

 姉妹ブログで、WW/RW便り: 従来のアプローチ と 求められるアプローチ (wwletter.blogspot.com)を紹介しましたが、今回はそれに寄せられた何人かの先生からのリストを紹介する続編です。

 まずは、オリジナル版の修正案は、以下の通りです。(少しは、分かりやすくなりましたか?)

従来のアプローチ          求められるアプローチ        

与えられた内容を詰め込む      生徒のニーズや興味関心を引き出す

教師の敷いた路線で教える      教師と生徒は学びのパートナーである

内容を伝える/話す/板書する    生徒相互の学び合いを促進する

正解だけを求め、引き出そうとする  生徒の思考の表出をサポートする

 

 次に、紹介者(吉田)の追加リストです。


★おとなしく聞いて、暗記するのでは(テストのために「覚えては忘れる」の繰り返しでは)、楽しいはずがない! これでは、4C(クリティカルな思考、創造力、協働する力、コミュニケーション力)も、SELhttp://wwletter.blogspot.com/2023/02/sel.htmlも、「思考の習慣」https://bit.ly/3XZmfbhも、身につく(練習できる)はずはない!

それに対して、右側は、自分で考え、クラスメイトと話し合い、成果物をつくり出し、発表の対象からのフィードバックをもらい、有能感を味わえるので楽しいし、4CSELも、思考の習慣も身につく/練習できる教え方・学び方のアプローチ。


◆北元先生(兵庫県)の追加リスト:


◆大久保先生(千葉県)の追加リスト:


◆自分の小学4年生の子どもの授業参観をして感じたことをまとめる形で書き出してくれた飯村先生(宮城県)の追加リスト:

従来のアプローチ              求められるアプローチ          

生徒は、教師に言われた通りにやる。(実態は、やる振りをしている子の方が多い、あるいはよくわからずにただやっている)

教師は、生徒のニーズや興味関心をいかして課題の選択肢を提示する。生徒がそこから自分の裁量でやることを選ぶ。(『ようこそ、一人ひとりをいかす教室へ』『教育のプロがすすめる選択する学び』『一斉授業をハックする』『「考える力」はこうしてつける』などを参照。)

教師が自分の都合で活動をコントロールする。(生徒の進み具合は気にせず、授業時間のみを気にする)

教師が、生徒と相談しながら、全体の時間を管理している。生徒は、活動の進め方を教師と相談しながら調整し、納得のいく活動を継続的に行う。

教科書やワーク、ワークシート、ドリルの空欄を埋める。

答えを求めるだけでなく、求め方や、その答えと自分の生活との関わりがわかるような活動になっている。

終わった人は、次の先生の指示が出るまで静かに待つ。

終わった人は、次の自分の課題を自分で決められる。(あるいは、選択肢が提示されている)

 

 さて、あなたはどのような項目や内容を付け加えますか?

 

 最後に夏休みに読める「これまで」から「これから」に移行するのに役立つ本を紹介します。自分の興味関心に合わせて、1~2冊を選んで読むところからスタートしてください。(すべては、つながっています!)

●全体的に参考になる本

・『みんな羽ばたいて』キャロル・トムリンソン著、新評論、2023年

・『学びの中心はやっぱり生徒だ!』ベナ・キャリックほか著、新評論、2023年

・『ようこそ、一人ひとりをいかす教室へ』キャロル・トムリンソン著、北大路書房、2017年

・『あなたの授業力はどのくらい?』ジェフ・マーシャル著、教育開発研究所、2022年

・『効果10倍の学びの技法』吉田新一郎+岩瀬直樹著、PHP研究所、2007年(『シンプルな方法で学校は変わる』増補改訂版、みくに出版、2019年)

●教科別

〇国語

・『イン・ザ・ミドル』ナンシー・アトウェル著、三省堂、2018年

・『国語の未来は「本づくり」』ピーター・ジョンストンほか著、新評論、2021年 +

https://docs.google.com/spreadsheets/d/1KXuWtBc4kl6jRr2KGwnqPAH1vSryYkM7qNXd0ArKpYU/edit#gid=1042705275

〇算数・数学

・『教科書では学べない数学的思考』ジョン・メイソンほか著、新評論、2019年

〇社会科

・『社会科ワークショップ』冨田明広ほか著、新評論、2021年

・『歴史をする』リンダ・レヴィスティックほか著、新評論、2021年

〇理科

・『だれもが科学者になれる!』チャールズ・ピアス著、新評論、2020年

●探究/プロジェクト学習/PBL

・『あなたの授業が子どもと世界を変える』ジョン・スペンサーほか著、新評論、2020年

・『子どもの誇りに灯をともす』ロン・バーガー著、英治出版、2023年

・『プロジェクト学習とは』スージー・ボスほか著、新評論、2021年

・『PBL~学びの可能性をひらく授業づくり』L.トープほか著、北大路書房、2017年

・『たった一つを変えるだけ』ダン・ロススタインほか著、新評論、2015年

●生徒が(教師の言うことを聞くだけ/するだけではなく)学びに熱中する授業

・『「学びの責任」は誰にあるのか』ダグラス・フィッシャーほか著、新評論、2017年

・『教育のプロがすすめる選択する学び』マイク・エンダーソン著、新評論、2019年

・『「おさるのジョージ」を教室で実現 ~ 好奇心を呼び起こせ!』ウェンディ―・オストロフ著、新評論、2020年

・『退屈な授業をぶっ飛ばせ!』マーサ・ラッシュ著、新評論、2020年

・『一斉授業をハックする』スター・サックシュタインほか著、新評論、2022年

・『教科書をハックする』リリア・レント著、新評論、2020年

・『ほんものの学びに夢中になる』ローレン・ポロソフ著、北大路書房、2025年

●生徒が主体的に対話する(生徒の声をいかす)授業

・『最高の授業~スパイダー討論が教室を変える』アレキシス・ウィギンズ著、新評論、2018年

・『学習会話を育む』ジェフ・ズィヤーズ著、新評論、2021年

・『私にも言いたいことがあります!』デイヴィッド・ブース著、新評論、2021年

●評価から授業を変える

・『聞くことから始めよう!~やる気を引き出し、意欲を高める評価』マイロン・デューク著、さくら社、2023年

・『成績だけが評価じゃない~感情と社会性を育む(SELための評価)スター・サックシュタイン著、新評論、2023年

・『成績をハックする』スター・サックシュタイン著、新評論、2018年

・『一人ひとりをいかす評価』キャロル・トムリンソンほか著、北大路書房、2018年

SEL(感情と社会性の学び)と教科指導の統合

・『学びは、すべてSEL』ナンシー・フレイほか著、新評論、2023年

・『SELを成功に導くための5つの要素』ローラ・ウィーヴァ―ほか著、新評論、2023年

・『感情と社会性を育む学び(SEL)』マリリー・スプレンガ―著、新評論、2022年

●学校や教育委員会レベルでの転換

・『教育のプロがすすめるイノベーション』ジョージ・クーロス著、新評論、2019年

・『一人ひとりを大切にする学校』デニス・リットキー著、築地書館、2022年

・『「学校」をハックする』マーク・バーンズほか著、新評論、2020年

・『学校のリーダーシップをハックする』ジョー・サンフェリポほか著、新評論、2022年

●学級経営と生徒指導

・『「居場所」のある学級・学校づくり』ローリー・バロンほか著、新評論、2022年

・『生徒指導をハックする~育ちあうコミュニティーをつくる「関係修復のアプローチ」』ネイサン・メイナードほか著、新評論、2020年

・『"しない"が子どもの自力を伸ばす ~ 叱らない・ほめない・コントロールしない、狩猟採集民の子育て術』マイケリーン・ドゥクレフ 著、築地書館、2025年

教員研修~まずは教師(講師や企画者)が「これから求められている学び」を体験する

・『教師のためのアート・オブ・コーチング ~ 学校を変革する効果的な方法』エリーナ・アギラー著、福村出版、2025年

・『インストラクショナル・コーチング~授業と学校を変革する教師の最強パートナー』ジム・ナイト著、図書文化、2025年

・『「学び」で組織は成長する』吉田新一郎、光文社新書、2006年

・『効果10倍の教える技術』吉田新一郎、PHP新書、2006年

下の2冊を教員版に置き換えると、理想的な研修が実現するはずです。

・『学びの中心はやっぱり生徒だ!』ベナ・キャリックほか著、新評論、2023年

・『ようこそ、一人ひとりをいかす教室へ』キャロル・トムリンソン著、北大路書房、2017年

ICTのスマートな(学習本位の)活用

・『一人一台で授業をパワーアップ! ~ 教育の質を飛躍的に向上させるICT活用実践ガイド』ジェン・ロバーツほか著、学文社、2024年

2020年9月20日日曜日

教え方と学び方の革新的なモデル by High Tech Highの校長Larry Rosenstock

 「教え方と学び方の革新的なモデル」は、実は極めて当たり前のアプローチです!

 この校長さんとは、5年以上前の2015年にメールで数回やり取りして、たくさんの情報を提供してもらいました。その後、映画の上映等で、High Tech Highの取り組みは日本でもかなり知られるようになりました。

 彼は、いくつかの点での統合が必要だと訴えます(それを、ベースに彼の学校は創設されています!)。まず、社会的階層の統合(要するにリッチな人たちだけでなく、貧しい人たちを含めた統合)です。二番目は、手と頭の統合です。モノを作ったり、実際にいろいろしたりすることが理解を深め、かつ夢中で取り組ませます。三番目は、学校と地域の統合です。学校と地域に歴然と存在する壁をできるだけ低くする(可能なら消し去る)必要があります。四番目は、中等教育と中等教育後の統合です。この最後のポイントは、生徒全員を大学に送りだすことを意味します。~ これら4つをうまく統合している日本の中等学校(アメリカの高校は4年間)は、どのくらいあるでしょうか?

 テクノロジーと従来の教科の統合は、二番目の手と頭の統合に最も関係します。前者は、グループで教えたり学んだりし、最終成果物もグループ発表が中心です。まさに体験的な学びをつくり出します。このような方法論に、生徒たちが従来の教科で知る必要があったことをうまく統合させることで、身につくレベルの理解や、従来の教科指導では見られなかった夢中で取り組むこと=学びを実現します。私は、生徒たちに消費するのではなくて、生産してほしいと思っています。つくり出し続けるのです! ~ この点については、『あなたの授業が子どもと世界を変える!』の第7章「生徒は誰もがつくり手~消費することから、つくり出すことへの転換」と第6章「従順なマインドセットから、自立的マインドセットへの転換」をご覧ください。

 High Tech Highでは、ブツ切りの時間割ではなくて、ブロック化された時間割で、物理や生物とアートを統合し、本づくりやフィルムづくりをしています。これを実現するためには、教える教師たちはチームとして機能する必要があります。彼らが計画し、学ぶ時間を提供する必要があります。教師は「教えるプロ」として扱われる必要があります。

 生徒も一人前の者として扱われる必要があります。教職員のためのトイレがあって、生徒用のトイレがあるというのでは、ダメなのです。また、トイレに行くのに教師の許可が必要というのも、生徒を一人前の者として扱っていない現れです。彼らがいく必要がある時はいつでも自分の判断で行けないとおかしいのです。それが敬意をもって接することであり、このような些細なことが積み重なって学校の文化が形成されるのです。もし、生徒に敬意をもって接すれば、彼らも礼儀正しく振る舞うことでしょう。

高校時代の最も印象的で価値ある学習体験

 たくさんの人が、あれもしたい、これもしたいが、でもできない、と言います。そして、できない理由をいろいろとあげてくれます。そういう人たちには、このエクササイズがおすすめです。対象は、教師だけでなく、誰でも構いません。まずは、各自で5~10分の時間を取って「高校時代の最も印象的で価値ある学習体験」について振り返って書いてもらいます。書き終わった後は、3~5人のグループで、各自の体験を披露し合い、価値のある学習体験がもっている特徴をまとめてもらうのです。そして、全体に発表してもらいながら、私はその特徴を書き出します。私は28以上の都市でこれをやりましたし、私の教職員とも何度もやりましたし、昨日は建築家たちとやりましたが、いつも結果は同じものが得られます★。以下のような特徴が含まれています。

  ・プロジェクト

  ・学校の中だけでなく、地域に関係する

  ・失敗や不安を伴っていた

  ・成功を認められた

  ・メンターがいた

  ・最終成果物は公にされた

 これらは、まさにHigh Tech Highが実現していることです。

 私はエクササイズをした対象に尋ねます。「これらのリストと、あなた(学校で)の教え方はマッチしていますか?」「もしマッチしていなければ、望ましい学びを生徒に提供するために、何をしはじめますか?」

 リストは、自分たちで作ったものなので押し付けではありません。教師集団が動き始めるのに、このエクササイズは最適です。そして、私たちがHigh Tech Highでしていることは、極めて真っ当なことです。

 

出典:https://www.edutopia.org/video/taking-lead-interview-larry-rosenstock と

   https://vimeo.com/10000408

 

★対象が、保護者や地域住民でも同じ結果が得られます。

 

「教え方と学び方の転換」を可能にする文献リスト

・『教育のプロがすすめるイノベーション』

・『あなたの授業が子どもと世界を変える』

・『「おさるのジョージ(Curious George)」を教室で実現――好奇心を呼び起こせ!』  https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784794811622

・『退屈な授業をぶっ飛ばせ!――学びに熱中する教室』https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784794811653

▲来春には出版予定の以下の2冊もです!

Design Thinking in the Classroom (デザイン思考の学び方)https://projectbetterschool.blogspot.com/2020/05/blog-post.html 

Project-based Teaching (プロジェクト学習の教え方)


2026年3月22日日曜日

教育現場で好奇心を育む3つのコツ

 https://note.com/coachingletter/m/ma24c24afc5bdの3月18日号で書いたことの続編的な位置づけです。

 「社員の意欲が下がっているときこそ、リーダーが好奇心を後押しし、認めることで、イノベーションや仕事の意味を生み出すチャンスになる」という記事(https://www.smartbrief.com/original/3-tips-to-replace-employee-stagnation-with-curiosity-in-2026)を見つけました。まさに、いまの日本の学校が一番必要としていることではないでしょうか?

 その記事の全訳はしませんが(興味をもたれた方は、ぜひご自分でトライしてください)、ここではCopilotとのやり取りの一部を紹介します。

  *****

1 好奇心を伝染させる文化をつくる

🔍 原文の本質

  • インスピレーションは「スピーチ」ではなく「問い」から始まる
  • 好奇心は、成果を生むための「戦略的スキル」
  • 質問傾聴探究の連鎖がチームを変える

🏫 教育への置き換え

教師も生徒も、日常の中で「問いを立てる力」★が学びの質を決めます。学校でこれを実現するには:

  • 授業で「今日の学びを面白くする質問」を生徒が一つ書く★
  • 教師同士で「最近、子どもたちの学びの変化で気づいたことは?」を共有
  • 管理職が「結果」ではなく「気づき」を問う文化をつくる

例:「どんな小さな変化が子どもの学びに影響していると感じますか?」

例:「今、私たちがまだ問えていない問いは何でしょう?」

“Did you hit your numbers(結果は出しましたか)?” “What are you noticing(どんな変化・成長・学びを気づきましたか)?” に置き換えるだけで、学校は「指示待ち」から「探究する組織」に変わります。

 

2 つながりのための余白をつくる

🔍 原文の本質

  • 人が離れるのは「努力しないから」ではなく「見てもらえていないから」
  • つながりは大きなイベントではなく、日常の小さな存在の確認から生まれる

🏫 教育への置き換え

学校でも、生徒も教師も「見られている」「大切にされている」と感じると、学びや仕事へのエネルギーが大きく変わります。

  • 朝の会で「最近どう?」を形式ではなく本気で尋ねる
  • 教師同士で「今日のあなたの良かったところ」を一つ伝え合う
  • 管理職が廊下で立ち止まり、教師の小さな工夫を言語化して称賛する
  • 生徒の小さな努力(提出物の改善、友達への声かけ)をその場で認める

つながりは、学級(学校)経営の土台であり、教師のエンゲージメントの源泉です。

 

3 結果だけでなく好奇心そのものを評価する

🔍 原文の本質

  • 結果だけを評価すると、挑戦や問いが減る
  • 好奇心を認めると、結果はむしろよくなる
  • プロセス(質問・試行・リスクテイク)を価値づけることが鍵

🏫 教育への置き換え

学校では「結果評価」が強くなりがちですが、探究・学びの本質はプロセスにあります。

  • ルーブリックに「問いの質」「試行回数」「仮説の更新」を入れる
  • 生徒の振り返りに「今日の初めては何?」を追加
  • 教員研修で「今年挑戦した新しい実践トップ3」を共有
  • 管理職が結果よりプロセスを称賛する文化をつくる

例:授業改善のための小さな試行を指摘・紹介する

例:失敗した試みからの学びを共有する場をつくる

好奇心を評価(賞賛)すると、挑戦が増え、結果も自然と伸びるというパラドックスが教育でも成立します。

 

 以上を整理すると、次の表のようになります。

 3つすべてを一度に、というよりも、これらの中の一つでも取り組めそうなのはあるでしょうか?

 ちなみに、Copilotが提供したURLをうまく読み込めない段階では、次のような表をつくり出してくれていました。原文にはない内容(?)を生成AIが勝手に考え、解釈して提供してくれていた情報ではありますが、大事な点を押さえていたので驚くと同時に、感心もしたので、参考までに紹介します。

 なお、3つのコツは別物というよりは、相互にかなり深く関連し合っている気がします。どれから入っても、すべてを押さえられるような関係というか・・・なので、取り組みやすい(挑戦しやすい)項目からはじめてください。いずれにしても、表に描かれている環境にならない限りは、教師は元気になれ(自立でき)ないし、いい授業を生徒に提供できないし、結果的に生徒たちもいい学びを体験できないままが続くことが約束されています。それほど、大事なことです。

 

★一つどころか、たくさんみんなで出し合う方法が、『「おさるのジョージ」を教室で実現 ~ 好奇心を呼び起こせ!』の第5章「質問することを支援する」のなかでは「100個の質問をする」をはじめ生徒が質問をするための方法がいくつか紹介されています(もちろん、『たった一つを変えるだけ』で紹介されている方法も含めて!)。