2020年9月20日日曜日

教え方と学び方の革新的なモデル by High Tech Highの校長Larry Rosenstock

 「教え方と学び方の革新的なモデル」は、実は極めて当たり前のアプローチです!

 この校長さんとは、5年以上前の2015年にメールで数回やり取りして、たくさんの情報を提供してもらいました。その後、映画の上映等で、High Tech Highの取り組みは日本でもかなり知られるようになりました。

 彼は、いくつかの点での統合が必要だと訴えます(それを、ベースに彼の学校は創設されています!)。まず、社会的階層の統合(要するにリッチな人たちだけでなく、貧しい人たちを含めた統合)です。二番目は、手と頭の統合です。モノを作ったり、実際にいろいろしたりすることが理解を深め、かつ夢中で取り組ませます。三番目は、学校と地域の統合です。学校と地域に歴然と存在する壁をできるだけ低くする(可能なら消し去る)必要があります。四番目は、中等教育と中等教育後の統合です。この最後のポイントは、生徒全員を大学に送りだすことを意味します。~ これら4つをうまく統合している日本の中等学校(アメリカの高校は4年間)は、どのくらいあるでしょうか?

 テクノロジーと従来の教科の統合は、二番目の手と頭の統合に最も関係します。前者は、グループで教えたり学んだりし、最終成果物もグループ発表が中心です。まさに体験的な学びをつくり出します。このような方法論に、生徒たちが従来の教科で知る必要があったことをうまく統合させることで、身につくレベルの理解や、従来の教科指導では見られなかった夢中で取り組むこと=学びを実現します。私は、生徒たちに消費するのではなくて、生産してほしいと思っています。つくり出し続けるのです! ~ この点については、『あなたの授業が子どもと世界を変える!』の第7章「生徒は誰もがつくり手~消費することから、つくり出すことへの転換」と第6章「従順なマインドセットから、自立的マインドセットへの転換」をご覧ください。

 High Tech Highでは、ブツ切りの時間割ではなくて、ブロック化された時間割で、物理や生物とアートを統合し、本づくりやフィルムづくりをしています。これを実現するためには、教える教師たちはチームとして機能する必要があります。彼らが計画し、学ぶ時間を提供する必要があります。教師は「教えるプロ」として扱われる必要があります。

 生徒も一人前の者として扱われる必要があります。教職員のためのトイレがあって、生徒用のトイレがあるというのでは、ダメなのです。また、トイレに行くのに教師の許可が必要というのも、生徒を一人前の者として扱っていない現れです。彼らがいく必要がある時はいつでも自分の判断で行けないとおかしいのです。それが敬意をもって接することであり、このような些細なことが積み重なって学校の文化が形成されるのです。もし、生徒に敬意をもって接すれば、彼らも礼儀正しく振る舞うことでしょう。

高校時代の最も印象的で価値ある学習体験

 たくさんの人が、あれもしたい、これもしたいが、でもできない、と言います。そして、できない理由をいろいろとあげてくれます。そういう人たちには、このエクササイズがおすすめです。対象は、教師だけでなく、誰でも構いません。まずは、各自で5~10分の時間を取って「高校時代の最も印象的で価値ある学習体験」について振り返って書いてもらいます。書き終わった後は、3~5人のグループで、各自の体験を披露し合い、価値のある学習体験がもっている特徴をまとめてもらうのです。そして、全体に発表してもらいながら、私はその特徴を書き出します。私は28以上の都市でこれをやりましたし、私の教職員とも何度もやりましたし、昨日は建築家たちとやりましたが、いつも結果は同じものが得られます★。以下のような特徴が含まれています。

  ・プロジェクト

  ・学校の中だけでなく、地域に関係する

  ・失敗や不安を伴っていた

  ・成功を認められた

  ・メンターがいた

  ・最終成果物は公にされた

 これらは、まさにHigh Tech Highが実現していることです。

 私はエクササイズをした対象に尋ねます。「これらのリストと、あなた(学校で)の教え方はマッチしていますか?」「もしマッチしていなければ、望ましい学びを生徒に提供するために、何をしはじめますか?」

 リストは、自分たちで作ったものなので押し付けではありません。教師集団が動き始めるのに、このエクササイズは最適です。そして、私たちがHigh Tech Highでしていることは、極めて真っ当なことです。

 

出典:https://www.edutopia.org/video/taking-lead-interview-larry-rosenstock と

   https://vimeo.com/10000408

 

★対象が、保護者や地域住民でも同じ結果が得られます。

 

「教え方と学び方の転換」を可能にする文献リスト

・『教育のプロがすすめるイノベーション』

・『あなたの授業が子どもと世界を変える』

・『「おさるのジョージ(Curious George)」を教室で実現――好奇心を呼び起こせ!』  https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784794811622

・『退屈な授業をぶっ飛ばせ!――学びに熱中する教室』https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784794811653

▲来春には出版予定の以下の2冊もです!

Design Thinking in the Classroom (デザイン思考の学び方)https://projectbetterschool.blogspot.com/2020/05/blog-post.html 

Project-based Teaching (プロジェクト学習の教え方)


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