検索キーワード「EQ」に一致する投稿を関連性の高い順に表示しています。 日付順 すべての投稿を表示
検索キーワード「EQ」に一致する投稿を関連性の高い順に表示しています。 日付順 すべての投稿を表示

2024年4月21日日曜日

できる人とできない人を分けるEQの4つの習慣

 今日の職場で成功するには、技術的なスキルやIQ(頭の知能指数~テストの点数)だけでなく、人間関係、効果的なコミュニケーション、複雑な感情を扱う能力などが重要だとする証拠があります。それが、EQ(こころの知能指数)★が注目されている理由です。

 これは、低いEQをもっている人と高いEQをもっている人を比較することで目立たせることができ、過去20年以上の経験を踏まえて、特に4つの習慣が後者のEQが高い人の特徴として示すことができます。

1.自分の本当の姿を見せる。

多くの場合、人々は困難な状況や対立を避けるために仮面をかぶります。そして、その仮面の裏に隠れているのは私たちの本当の姿です。成功しているチームでは、人々は仮面をかぶっていません。彼らは感情的に正直であり、他の人とコミュニケーションをとる際も自分であり続けます。つまり、自分自身の感情やチーム内の他者の感情に対して自己認識やコントロールができています。これにより、不必要な食い違い/意見の相違や衝突(感情を無視したり、必要以上に過度に反応したりすること)を排除し、より速く問題を解決するためのより良い協力とコミュニケーションが生まれます。

2.好奇心が旺盛!

職場で行われる(デジタルも含めて)すべてのコミュニケ―ションを考えると、私たちはどのようにして相互のやり取りを人間らしくし、人々を引き付け、信頼を築くことができるでしょうか? それは一つの言葉に帰結します。好奇心です★★。研究によれば、好奇心旺盛な人々はより良い関係を築くことで知られており、好奇心を示す個人に対して他の人々はより簡単に惹かれ、より近く感じます。人に対する好奇心だけでなく、こと(いろいろなテーマ)に対するも好奇心も大切であることをお忘れなく(両者は、不可分!?)

3.健全な楽観主義者である。

EQの高い人は、人生の出来事や困難な状況に対して健全な楽観主義を示します。自分自身の楽観主義のレベルをテストするために、次の3つの質問を自問してみてください。

この状況は永続的に続くと考えているか? EQが低い人は自分自身に、「この状況は決して良くならないだろう」と考える傾向があります。

・この状況が蔓延しているし、変えられないと感じているか? EQが低い悲観的な人は、普遍的な最悪のシナリオを描く傾向があります。

・自分の力を放棄していないか? もしかしたら、この状況で自分は無力だと結論づけているかもしれません。「私には何もできない」というような考えがあなたの思考プロセスに浸透していませんか? そのような低いEQの考えに陥らないでください。

 上記の3つの質問に関連するEQを鍛えるためには、立ち止まって、振り返り、深く探究する必要がります。自分の否定的/後ろ向きな考えや見解の根拠を集めます。もしそれらが誤っていて不正確なら、より現実的で正確で肯定的/前向きな考えを選ぶための理由を挙げ、具体的な方法も思い浮かべてみます。そうすることで、より高いEQの状態に移行することができます。

4.助けを求めることを恐れない。

多くの職場は、同僚(や上司)から助けを求めることに開かれていない状態になっています。「ハーバードビジネスレビュー」で引用された研究によると、同僚がお互いに提供するサポートの7590%は、求めることから始まります。問題は、あなたの職場環境がそれを行う自由と安全性を育んでいるかですか? 高いEQをもつ人は、自分の脆弱性を受け入れるため、サポートを求めることを恐れません。それをモデルで示すことが、他のチームメンバーもあとに続くことを可能にします。結果的に、チーム全体がより効果的かつ効率的に創造的な解決策に向かって取り組むことができるのです。

 IQを伸ばすことは難しいとされていますが、EQは誰でも伸ばせますので、これら4つからぜひスタートしてみてください。

 

EQについて詳しくは、ダニエル・ゴールマンの本(特に、『EQこころの知能指数』『ビジネスEQ: 感情コンピテンスを仕事に生かす』『EQリーダーシップ: 成功する人のこころの知能指数の活かし方』)がおすすめです。欧米では、1990年代の中ごろからIQと同じか、それ以上に大切だと言われるようになっています。それを育む方法については、https://selnewsletter.blogspot.com/2023/10/eq.htmlを中心に、そのブログの他の情報をご覧ください。SELは、感情と人間関係など、これまで学業とは関係ないと思われていた分野を教科指導と関連づけることを目的としてスタートしています。また、https://selnewsletter.blogspot.com/2024/04/sel.htmlからは、教師にとってEQSELの大切さがうかがい知れることでしょう!

★★まさにこのことをテーマにした本が『好奇心のパワー』ですので、ぜひご一読を!

出典: https://www.inc.com/marcel-schwantes/4-emotional-intelligence-building-habits-that-separate-winners-from-wannabes.html

2022年3月6日日曜日

新刊紹介『感情と社会性を育む学び(SEL)』

 二人の紹介文を載せます。

 一人は、翻訳協力者の佐野先生ので、もう一人は、訳者の一人の大内さんのです。

 

  佐野先生の紹介文

あなたのクラスの生徒は安心して教室の席に着けているでしょうか? 苦しいときに誰かに助けを求めることができているでしょうか? 私たち大人は学習活動に注目するばかりに、生徒たちの感情を置き去りにしてはいないでしょうか? そして自分自身の感情も。

教師は生徒の幸せを願って、多くの学びの場を提供しますが、それらは往々にして認知(知識)的なものに偏りがちで、感情的なものが取り扱われることはほとんどありません。認知的思考も感情的ふるまいも同じ一人の人間のなかで起こっていることで、それぞれが大きく影響し合っていることは、私たち大人が毎日のように体感していることです。

生徒によりよく学んでほしいと心から願うのであれば、目に見える現象だけでなく、生徒の背景にあるものや心の状態を理解することが大切になります。生徒は自分が安心できる居場所が確認できたとき、周囲の大人との良好な関係性が築けたときに、自ら学ぼうとする健全な心(成長マインドセット)を養っていきます。

とは言え、日常の教育活動にどのようにして「感情と社会性の学び(SEL)」を取り入れることができるのでしょうか? また、SELの観点を学習活動に取り入れるとき、教師自身は自らの感情にどのように向き合っていけば良いのでしょうか? 本書では、あなたの教室で明日から使える具体的なアイディアと豊富な実践例が紹介されています。さらに、SELの効果について脳科学の見地から述べられており、SELを実践するうえで、その有効性について同僚や保護者への説得力を添えています。子どもたちの主体性を育むうえでプロジェクト学習や探究的な活動に魅力を感じ、授業に取り入れてはみるものの、自身の想い描くような授業にはならず、悩まれている方にとっても大きな気づきやヒントをもたらしてくれることでしょう。       協力者・佐野和之(かえつ有明中・高等学校)

 

  訳者の大内さんの紹介文

 本書のテーマ、Social Emotional Learning (SEL)は、日本語に訳すと、感情に向き合い対応する力であるEQ(感情知性)と、社会性に関わる力のSQ(社会的知性)を育てるための学びです。本書では、この感情と社会性の学びをSELと呼び、そのスキルをSQEQと呼びます。(「EQ」と「SQ」で検索すると、たくさんの関連図書を見つけることができます。)

 SELには、社会認識と人間関係の構築、維持、修復などの社会性(SQ)と、共感する力、自己認識、自己管理能力などからなる自分と他者の感情と向き合い対応していく力(EQ)を学ぶことが含まれます。これらの力は、学校を越えて、社会で必要な力、学び続けるために鍵となる力です。子どもたちにとっての社会である学校では、子どもたちが日々の生活を通じて、SQEQを鍛えていくことが必要です。学習レベルが異なるように、EQSQも一人ひとり異なります。EQSQを子どもの特性や性格と捉えるのではなく、学力と同じように、現時点での子どものEQSQをふり返り、目標を立て、それに向かって学べる環境をつくることが必要です。基礎的な認知能力である読み書きや計算がその後の学びに必要不可欠なように、EQSQも学ぶために必要な基礎的なスキルとみなし、その発達に取り組んでいくことが大切です。

 アメリカでは、SELは、この二〇年間で大きな広がりを見せ、実践や実証研究が進んでおり、SQEQは学びと人生において鍵となるものだと考えられています。SELの実践により、学力が平均11%向上することや、子どもの向社会的行動を促し、鬱やストレスを軽減すると指摘する研究もあります(参考文献45)。現在、CASEL: Collaborative for Academic, Social and Emotional LearningEASEL: The Ecological Approaches to Social Emotional Learningなどの団体をはじめとして、SELに関する研究、実践、政策提言を行う機関やプログラムは数え切れません。日々の学びにSELの視点が重視されている学校が増え、教員向けのSELのトレーニングも普及し、SELに関連する本も数多く出版されています。そのなかで、EQSQは働きかけ伸ばしていくスキルの一つとして捉えられ、客観的に目標と指標を立て、成長が評価されるようになってきています。課題の多い子どもには、個別やグループでの対応がされているところもあります。 (中略)

  本書の文章で印象に残っているのは、「生徒たちは、カバンと教科書だけを持って教室に来るわけではありません。生徒一人ひとりが精神的・感情的・身体的に異なる状態で登校しており、学ぶことに対する準備や意欲も異なっています」(76ページ)という文章です。

子どもたち一人ひとりの状態を知ることは、日々の業務に追われる先生方にとっては、多大な努力を要することと思います。しかし、本書にある具体的な実践方法は、数分でできる小さな方法が多岐にわたって紹介されています。最初から一度にたくさんの方法を取り入れようとはせずに、自分のクラスの生徒に合った方法を一つ、二つと見つけて試し、徐々に増やし続けてほしいと思います。 (中略)

 より多くの子どもたちの日々の学びに、SEL(感情と社会性に関する学び)が取り入れられていくことを願っています。 (以上、訳者まえがきより)

    大内さんは、現在The Right Question Instituteにて、問いづくりのトレーニングと問いを立てることが学びや行動に及ぼす効果についての理論的研究に携わっています。日米の教育にふれるなかで得た知見(特に、学ぶ力を伸ばす取り組み)について広げていきたいとのことです。

 

◆本ブログ読者への割引情報◆

1冊(書店およびネット価格)2640円のところ、

PLC便り割引だと  1冊=2400円(送料・税込み)です。

5冊以上の注文は     1冊=2300円(送料・税込み)です。


ご希望の方は、①書名と冊数、②名前、③住所(〒)、④電話番号を 

pro.workshop@gmail.com  にお知らせください。

※ なお、送料を抑えるために割安宅配便を使っているため、到着に若干の遅れが出ることがありますので、予めご理解ください。また、本が届いたら、代金が記載してある郵便振替用紙で振り込んでください。

2015年10月25日日曜日

EQ(こころの知能指数)



EQをご存知ですか?
IQよりもEQの方が大事だと言われて、20年になりますが、教育界での認知度は極めて低いままが続いています。

IQは固定されていますが、EQは練習次第で磨くことができる、という大きな違いがあります。

を見ていただくと、その中身がわかります。

柱は、
  ●自分自身のコントロール
              ・自分自身を知る
              ・自分自身をコントロールする
              ・モチベーション
  ●関係づくり
              ・思いやり/他の人の立場に立てる
              ・ソーシャルスキル
です。

柱は大切ですが、より大切なのはそれぞれの項目です。
いずれも、誰もがもっていたらいいスキルばかりです。
表を見て、
あなたにとって、強みとして位置づけられるものは何ですか?
逆に弱みは何ですか?

この表では、ライフスキルとの対比もしています。若干切り口は違いますが、ほとんど同じです。これらを身につけることは、ますます大切になっているのではないでしょうか?(逆に言えば、身につけるチャンスが少なくなっている?)

これらは、学校のリーダーはもちろんのこと、教室のリーダーである教師はもちろんのこと、一人ひとりの生徒たちも身につけておいた方がいいものばかりです。

でも、問題はこれらをどこで(どの授業や活動で)どうやって身につける/扱うかです。

従来の一斉授業では到底無理なので、部活動(や特別活動)がもてはやされるのだと思います。
が、本当に部活(や特別活動)で身についているでしょうか?

この表の上にも書いてあるように、ライティング・ワークショップ(作家の時間)やリーディング・ワークショップ(読書家の時間)の実践は、その具体的な方法にもなっています。
もちろん、EQやライフスタイルを身につけることを目的に開発されたものではありませんが、かなりの程度身についてしまいます。

EQについて、私のオススメの本は『ビジネスEQ : 感情コンピテンスを仕事に生かす』ですが、すでに絶版のようです。図書館で見つけるか、他のEQ関連の本をぜひ読んでみてください。

以前紹介した「ボスとリーダーの違い」は、かなりの部分EQのあるなしと比例関係にある気がします。


2026年4月26日日曜日

学校で教員チームをつくる際の10の真実

 学校のチームは、自分たちの「何を・なぜ・どのように」をつくり上げる時間と、 メンバー同士の関係を築く時間が必要です。

 私★1はこの10年間、教育者のチームに所属したり、効果的なチームをつくろうと試みたりしてきました――成功したこともあれば、そうでないこともありました。そしてこの1年は、チーム開発について多く書いてきました。数年前にあるチームをコーチしたとき、私は自分自身のために、次の「10の真実」を初めて言語化しました。

これらは、困難な状況でもしなやかに、高いパフォーマンスを発揮できるチームをつくるために、自分が何を大切にすべきかを思い出すための指針でした。「真実」と呼ぶことには少しためらいもありましたが、これらの考え方は実際に試され、検証され、チームづくりにおいて他のどんな考えよりも「真実味」を感じています。では、その10項目を紹介します。

1. 学校で働く、あるいは学校と関わるチームは、子どもたちの社会的・感情的・学習面のニーズに応えるために存在する。

私たちが取り組むことは多岐にわたりますし、関わる大人たちのケアも必要です。それでも、私たちが存在する理由は 子どもたちのためです。

2. すべてのチームの中心的な仕事は「学び」である。

リーダーシップチームであれ、データチームであれ、カリキュラム設計チームであれ、あなたの仕事は学び続けることです。学校が直面する山のような課題に少しでも食い込んでいくためには、教育者である私たちが学びを止めないことが唯一の道です。

3. リーダーとしての「あなた自身」が、チームに最も大きな影響を与える。

リーダーのEQは、あらゆる知識やスキルの土台となる鍵です。リーダーは、自分の感情を認識し、扱えるようになる必要があります。そして、他者の感情を認識し、適切に関わる力も求められます。

私たちは 感情と仲良くなる必要があります。感情は存在します。それと戦ったり避けたりすればするほど、状況は複雑になります。感情に正面から向き合うことで、健全なチームづくりや子どもたちのニーズに応えるための前進が可能になるのです★2。

4. すべてのチームは、システムと権力構造の中に存在している。

チームが本当に変革的な力を発揮できるのは、こうしたシステムを理解しているときだけです。権力に目を向けなくても、チームはそこそこの成果を出すことはできます。しかし、もし変革をめざすのであれば、メンバーもリーダーも、権力とは何か、組織や構造(チーム構造を含む)の中でどのように現れるのかについて理解を深める必要があります。不平等を断ち切るためには、この理解が欠かせません。これはとても大きなテーマです。★3

5. チームは、信頼によって力を発揮する。

信頼があると、チームはしなやかで強いコミュニティーになります。だからこそ、チームリーダーは信頼のレベルに細心の注意を払い、意図的に信頼を築く必要があります。信頼はつかみにくく、維持するのも難しいものです。年度当初の「アイスブレイク」のような活動だけで築けるものではありません。大人同士の信頼を育てる計画こそ、リーダーが立てられる最も戦略的なプランのひとつと言えるでしょう。

6. チームづくりには時間がかかる。

チームは、自分たちの「何を」「なぜ」「どのように」を育てるための時間、そして関係性を築くための時間が必要です。

これは避けて通れない厳しい現実です。「チームづくりに必要な時間をどう確保するのか?」その答えは、他のことを削り、優先順位をつけることです。優先すれば、必要な時間は確保できます。

7. 会議の健全さは、チームの健全さを映し出す。

どんな会議でも、最初の10分を観察すれば、そのチーム全体の健康状態がわかります。★4 もしあなたがリードするチームを強くしたいなら、魅力的で、振り返りがあり、意味のある会議をデザインすることに集中してください。

  • 会議で扱う内容が本当に関係のあることになっているか?
  • あなたのリーダーシップに対するフィードバックは得られているか?
  • 参加者が「なぜ集まっているのか」「自分は何をするのか」を理解しているか?

これらを確実にすることが大切です。

そして、会議1時間につき、23時間の準備が必要です(そう、そこまで準備が必要なのです。それが現実です)。

8. チーム全体のEQは、そのパフォーマンスを決める最重要要因である。

この点については、https://selnewsletter.blogspot.com/2026/04/eq.html で詳しく書きました。

9. チームメンバー間のコミュニケーションは、すべてをつなぐ「糸」である。

結局のところ、私たちが「何を言うか」と「どう言うか」に行き着きます。しかし学校のチームは、自分たちがどんなコミュニケーションをめざすのかについて、立ち止まって話し合うことがほとんどありません。裏で愚痴を言ったり、いつも不機嫌な同僚や話を独占する同僚について嘆いたりはしますが、正面から向き合うことはしません。もう向き合う時です。チームのコミュニケーションについて、互いに使う言葉のレベルにまで踏み込んで扱う必要があります★5。

10. コンフリクト(対立)は自然で、普通で、健全にもなり得る。しかし、生産的でない対立はマネジメントが必要である。

そして最後の真実:私たちはコンフリクト(対立)に向き合わなければなりません。チームが集まる場にいつも潜んでいる、あの「見て見ぬふりをされる大きな問題」に★6。

 

 もし、あなたが「学校でのチームづくり」に関して付け加えたいことや疑問・質問があれば、ぜひ教えてください。下のコメント欄でシェアしてもらえると嬉しいです。

 

★1=出典:https://www.edutopia.org/blog/ten-truths-about-building-school-teams-elena-aguilar

 ここの私は、『教師のためのアート・オブ・コーチング』の著者のエリーナ・アギラーさんのことで、彼女が2015年の7月24日に書いた記事です。

★2 これがEQ(いまは、SEL)が大切な理由です。https://projectbetterschool.blogspot.com/search?q=EQ と https://selnewsletter.blogspot.com/ を参照ください。

★3 『教師のためのアート・オブ・コーチング』のハイライトの一つは教員研修をする際に大切な(欠かせない!)6つのレンズを提示してくれていることです。その中に、このシステム思考と権力構造もレンズが含まれています。他の4つは、探究、変化の管理、成人学習、そして感情的知性(EQ)です。日本の教員研修でちゃんと扱われているのはどれでしょうか? 抜け落ちているのが多いと、あまり効果を上げないことを意味します。

★4 同じことは、授業にも教員研修にも言えませんか?

★5 これに役立つのが『好奇心のパワー:コミュニケーションが変わる』ですので、ぜひ参考にしてください。

★6 これには『生徒指導をハックする:育ちあうコミュニティーをつくる「関係修復のアプローチ」』が役に立ちます。

2017年3月5日日曜日

3冊の比べ読み ~傾聴と問いかけ、自己認識による感情のコントロール~


 今回は、3週間前のPLC便り「質問とフィードバックの効果~学びを継続するための鍵~」の中で取り上げた、『最高の結果を引き出す質問力~その問い方が、脳を変える!』茂木健一郎(著)2016年[河出書房新社]と、『サーチ・インサイド・ユアセルフ~仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法~』Chade-Meng Tan(著),一般社団法人マインドリーダーシップインスティチュート(監訳),柴田裕之(訳)[英治出版]、そして、2月上旬に出たばかりの『好奇心のパワー~コミュニケーションが変わる~』Kathy Taberner & Kirsten Siggins(著),吉田新一郎(訳)[新評論]、これらの比べ読みをしてみました。 

■1冊目の『最高の結果を引き出す質問力』には、次のようなことが書かれています。
*「質問」とは、「自分自身との対話」であり、現状を少しずつ、しかし、結果的には大きく変えていく力であり、自分にとってのいい生き方・行動・思考を導き出す力である。

*組織や社会・世界・自分の人生を変えるためには、他人に言われたことをやるのではなく、どんなに小さなことでもよいから、自分自身の頭で考えて行動することが大切である。そのためには「質問力」を高めることが必要である。

*「質問力」を高めるための重要なステップは、(1)「感情力」:モヤモヤとした違和感を感じる力を高める →(2)「メタ認知力」:自分の感情や状態に気づく力を高める →(3)「論理力」:論理的にものごとを考える力を高める の3つである。

さらに、自分の置かれた現状や生き方・人生を変えるための「いい質問」や「質問力を高めるための具体的な方法・アクション」についても紹介されています。 

この本を初めて読んだとき、気づいたことがあります。それは、この本の視覚的な「読みやすさ」と「読みやすい本の構成」です。

節ごとの見出しがゴシック体などで強調されているだけでなく、本文においても、著者が重要だと考えている部分は、ゴシック体になっています。また、それぞれの章の最後のページに「〇章のポイント」と題して、その章で述べられた大切なポイントが箇条書きで示されています。私にとっては、一度読んだ内容をふりかえることができ、書かれている内容が頭に入りやすい構成だと感じました。さらに、本の最後には「現状を変えるための質問」の一覧が、「他人に向けた質問」と「自分に向けた質問」に分けて掲載されていて、実践へのガイドになっています。

■2冊目の『サーチ・インサイド・ユアセルフ』は、EQ(情動的知能)を高めるための瞑想や様々なエクササイズを配置した「研修プログラム」について、その内容と根拠を丁寧にわかりやすく解説した個人向けの「教本」といった雰囲気の本です。

EQの構造は、『EQ~こころの知能指数~』の著者ダニエル・ゴールマンによれば、次の5つの領域に分類されています。

 自己認識(自分の内面の状態、好み、資質、直感を知ること)
 自己統制(自分の内面の状態、衝動、資質を管理すること)
 モチベーション・動機づけ(目標達成をもたらしたり助けたりする情動的な傾向)
 共感(他人の気持ち、欲求、関心を認識すること)
 社会的技能(他人から望ましい反応を引き出すのに熟達していること)

これらの能力・スキルを高めることによって、創造性や建設的な協力関係、リーダーシップなどを高めることが可能となるというのです。 

この本の大きな特徴は、何といっても、EQの5つの領域のスキルを高めるために、瞑想やエクササイズの方法が具体的に示されていて、読者が一人で実践できるようになっていることです。とてもよい点であると思います。 

■3冊目の『好奇心のパワー』は、『最高の結果を引き出す質問力』及び『サーチ・インサイド・ユアセルフ』の内容と重なっている部分が多くあります。特に、パート2(好奇心を使って自分自身を理解する)~パート3(好奇心を使って他者を理解する)の部分は、『サーチ・インサイド・ユアセルフ』に書かれている内容と、かなり重複している印象を受けました。 

 しかし、大きな違いがあります。それは、本のタイトルにもあるように、「好奇心」に注目し、「好奇心」が自己理解・他者理解を促進するための重要な出発点、あるいは条件になっているととらえている点です。「好奇心」は、「かかわる対象について判断を下さずに、より深く理解するために探究すること、学ぶことの原点」です(8ページ~9ページ)。別の表現をすれば、「人・相手に対する敬意」です(212ページ~214ページ)。 

 『好奇心のパワー』は、二人の著者が、組織のリーダーを対象とした「コーチング」を行ってきた経験から導き出されたものです。コーチングは、「クライアントの話をよく聴き(傾聴)、感じたことを伝え承認し、質問することを通してクライアントの自発的な行動を促進するためのコミュニケーション(かかわり)が中心に据えられている人材開発の方法」です(まえがきⅲページ)。カウンセリングがベースにあります。この本の内容から考えると、特に、カウンセリングの中の「論理療法(理性感情行動療法)」あるいは「認知行動療法」が、コーチングにも大きく影響を及ぼしていることがわかります。 

 この本の中で最も印象に残ったのが、古いコミュニケーションの枠組みから新しいコミュニケーションの枠組みへの転換(表1 10ページ)です。「好奇心のスキル」によって、この転換が可能になるのです。 

 この本の特徴でもあり、読者にとって本文の内容を理解しやすくしている点があります。
・章の扉に、その章で扱う内容を象徴するような科学者や思想家、作家、歴史上の人物などの「言葉」と「好奇心のスキルによって回る好循環のサイクル」「好奇心のスキルによって得られる状態」の図が掲載されていて、章のガイドになっている。
・それぞれの章の内容に適した事例が書かれていて、「好奇心のスキル」の具体的なイメージをもつことができる。
・各章で学んだ「好奇心のスキル」を身に付けられるようにするために、章の最後に「さあ、試してみよう」という節が設けられ、実践への橋渡しの役割を果たしている。
 
 今回読んでみた3冊の本は、最新の脳科学や認知心理学、カウンセリング心理学、そしてコーチングの知見に基づいて書かれています。共通する部分は、自己認識力を高め自己理解・他者理解を深める「傾聴」と「質問」です。さらに、読者を実践に誘う具体的な方法論や質問も書かれています。ぜひ、学校や職場、家庭など、人とかかわるあらゆる場面で実践してみましょう!!

2023年3月12日日曜日

SELで教師と生徒との信頼関係をむすぶ

 一年間、大変おつかれさまでした。私たちはお互いをねぎらう間もなく慌ただしいまま、一ヶ月後には新しい年度が始まります。けれども、その準備は期待と希望にあふれ、ふんわりと嬉しい時間でもあります。

 

 新しい子どもたちとの出会いや教師との信頼関係づくりについて学ぼうと、今月刊行されたマリリー・スプレンガー著、大内朋子・吉田新一郎訳『感情と社会性を育む学び(SEL)子どもの、今と将来が変わる』(新評論2023)を読みました。

 




 SEL(social Emotional Learning)の視点から効果的で具体的な手法が紹介され、自分にもできそうだ、これは効果的な方法だ、と思えるものを見つけたので紹介します。

 SEL(social Emotional Learning)とは、感情に向き合う力であるEQ(感情知性)と、社会性にかかわる力のSQ(社会的知性)を育む学びです。共感する力、自己認識、自己管理能力などからなる自分と他者の感情と向き合って対応していく力(EQ)と、社会認識と人間関係の構築、維持、修復などの社会性(SQ)を学ぶことが含まれています。

 

 本書は教育実践の紹介にとどまらず、脳科学の見地から感情や社会性についての説明がなされているのが特徴です。人々がお互いを思いやったり、信頼したり、友達になりたいと思ったりするときの脳の活動では、脳内物質のオキシトシンが放出され、人とのつながりを感じます。対照的に、ストレスを感じるとコルチゾールが放出され、人々はストレス反応を起こします。

 

 たとえば、生徒がイライラしているときは、感情をつかさどる「大脳辺縁系」が活性化されます。このとき、論理的思考をつかさどる脳の部位とのつながりがブロックされてしまうことを知っていれさえすれば、学習を始める前に、自らを落ち着かせる方法をとることが大切だと気づけるはずです。落ち着くための時間をとる選択ができるようになります。

 

 自分自身と子どもたちの頭の中で起こっていることや、理想的な脳の状態を理解することによって学びに最適な状態をつくりだすことができるのです。人との安心したつながりを感じられるようになることで、脳が放出する様々な化学物質を常に正しく制御する力を高めていけるということです。

 

 

「あなたが信頼できる人だと、生徒たちにも感じてもらう必要があります。あなたが一人ひとりを意識していると感じてもらうことが大切なのです」「あなたに対して肯定的な感情を抱いていない生徒は、あなたが十分に注意をむけていない生徒たちであって、学習内容や成績だけでなく、親身になって意識してほしいと願っている生徒たちなのです。 思春期の中高生と関係を築くにあたって、簡単にはいかないこともあるでしょう。日々、生徒たちが、心の傷やストレスを乗り越えていくためには、彼らの生活にかかわりのある大人たち、教師が最後の砦となりますし、なくてはならない存在なのです」

 

 このようにサラ先生がマーサー校長からフィードバックをもらう場面では、教師が生徒と信頼関係をむすぶことの大切さが話されています。(海外の校長の仕事は日本と異なり、教員を育てることが管理職の大切な仕事だと理解されています。)

 

 以下に、教師と生徒の信頼関係をむすぶ方法を2つほど紹介します。本書にはまだたくさんの効果的な実践が紹介されています。

 

1.    教師が弱さを見せることで、心理的に安全な学習環境をつくる

寝不足で疲れていることやイライラしている状態を教師が認めること。授業で取り組んでいない問題をテストに出してしまった、試験問題を間違えて作成してしまったなど、教師自らが脆弱性を示し、非を認めることが、弱音を吐けること、吐いていいこと、そして受け止めてもらえる安心感を育みます。

教師が「今、私は自分の頭の中で話されていることを話します」と伝え、今、起きていることに対して教師自身が考えている内容を生徒に説明します。「私は〇〇さんが教師もしくはクラスメイトにイライラして、このような行動をとっているのかもしれない。でもそれは本当に正しい解釈なのだろうか? と考えています」と生徒に伝えるのです。第三者の視点を挟むことは、生徒自身が自らの思いを話しやすくする助けとなります。

 

2.    教室の入り口で生徒に挨拶をする

朝、教室の入り口で生徒の名前を呼び、生徒とアイコンタクトを取り、あいさつをします。握手やハイタッチ、親指を立てるなど親しみを込めた身振りをしてみます。今日はどんな気分かを尋ねてみたり、頼み事をしてみたり、やる気が出るように声をかけたりもできますこれらのことは教師として生徒に会うことを心から楽しみにしているからこそできること。一人ひとりの生徒のためにすることなのです。

 

クラス内の人間関係を構築し、維持し、修復するための対策によって、学習への参加が33%向上するとともに、問題行動が75%減少し、より質の高い集中した授業時間が増えたと報告されていることが紹介されています。

 

私たちは人間関係の中で生きています。生徒に必要なのは親身になってくれる1人の大人であり、その人との出会いによって人生が変わります。生徒が困難な状況に向き合うときには、肯定的な方法で対応することが大切なのです。

授業以外の取り組みの紹介をしましたが、読み進めていくと日々の授業を通して、子どもたちは感情や社会性を学べてしまうこともわかります。この春、ためしてみる実践群が紹介されていました。ぜひ、ご一読を。

2012年3月11日日曜日

PLCの評価基準表・その2

すでに、2回目のPLCの評価基準表として「子どもたちの学びに焦点を当てて授業がされている度合いはどれくらいか?」を用意していたのですが、“いま人事評価の真っ最中”というメールをある校長先生からもらい、急きょ5番目の項目の「結果志向の度合いはどれくらいか?」の評価基準表づくりに変更しました。

今はまさに「評価/成績の季節」です。
先生たちは生徒たちの、管理職は先生たちの。
相当の時間を費やしますが、果たしてその努力のどれだけが、生徒や先生たちの学びにつながっているのでしょうか?
答えは、学校のPLC度と同じ、だと思います。(両者は、切っても切れない関係にあるからです。)
もちろん、学びにつながる率が低いのは先生たちや管理職のせいではありません。
費やす努力や時間が足りないのではなく、意味のないことをやらせる制度がおかしいのですから。

今の時期に評価をされても、その結果をもらう側は、どうしようもありません。修正・改善する時間も方法も提供されないのですから。従って、結果を活かせる人は1~2%もいたら、「めっけもん」です。「なんとか次はがんばるぞ~」と思う人も1~2割はいるかもしれませんが、春休みの間に忘れてしまいます。(タイミングの問題も大きいです!)
私自身も、学期末や学年末の評価を活かせたためしがありません。それは、「もらうもの」以外の何物でもありませんでした。その結果から何かを始めるものではありませんでした。
要するには、結果的に記録に残るもの(=単なる副産物にすぎないもの)が、いつのまにか目的化して、本来の目的である「生徒や教師の学びをよくするため」の方は完全にどこかに吹き飛んでしまっています。生徒たちの評価に関しては、その状態が、もう何十年も続いています。ということは、「評価とは何ぞや」がそもそも理解されていないし、実践もされていないことを意味してしまいます。

日本でも、「アカウンタビリティ」という言葉が「説明責任」に訳されて結構普及してからもう10年ぐらいにはなるでしょうか? アカウンタビリティには確かに説明責任の部分もありますが、より大きなウェイトは「結果責任」のほうにあります。日本では、そのより重要な部分が丸ごと無視され続けています。
学期末や年度末に先生たちや管理職が成績をつけることを「結果責任」と捉えると、今しているような評価はできなくなってしまいます。
教師は生徒たちの学力/能力★を伸ばす役割を、管理職は教職員の能力・資質★を伸ばすことで、生徒たちの学力/能力を伸ばす役割を担っています。今のままでは、ほとんどの教師と管理職は責任を放棄しているとしか言いようがありません。生徒たちも教師たちも、能力や資質をしっかり伸ばせるような仕組みになっていないのですから。

それでは、「結果志向の度合いはどれくらいか?」の評価基準表はどんなものになるか考えてみましょう。今回は、表の形で提示しますが、A(初歩的な段階)とD(目指すべき段階)だけで、間のBとCは省きます。(表をクリックすると、拡大して見られます。)



結果志向のイメージ、つかめたでしょうか?
詳しく知りたい方は、『テストだけでは測れない! ~ 人を伸ばす「評価」とは』(NHK生活人新書)と『効果10倍の学びの技法 ~ シンプルな方法で学校が変わる』(PHP新書、特に第4章の「評価が変わると授業が変わる、学校が変わる!」)を参照ください。
疑問や質問がありましたら、ぜひ聞いてください。

   <以下、メルマガの続き>

★身につけないといけない学力や能力・資質

学校の教育目標は、「考える子、思いやる子、鍛える子」に象徴されます。
しかし、残念ながらそれを忠実に実践している学校は、ほとんどないのが現状です。

「考える子」だけをとっても、思考の6段階がすでに50年以上前に提示されているのですが(下の表を参照)、日本の授業で大切にされ続けているのは、いいところ最初の2段階です。最近は、「習得」だけでなく、「活用」「探究」と言われ始めていますが、総合的な学習が散り去ってしまったように、先生たちの中にそれらを取り込める授業のイメージがついている人は一握りもいません。右側の、「理解するとは?」のレベルで実践ができている人も、どれほどいるでしょうか? 教育や、学力や能力には、そういうものも含んだものであるはずなのに。(常に、テストで測れる学力や能力のみに流されています。)

表: 思考力の6段階(ブルームの思考力)
  ・ 暗記力
  ・ 理解   ⇒  理解するとは?
  ・ 応用力       ① 説明する
  ・ 分析力       ② 解釈する
  ・ 統合力       ③ 応用する
  ・ 判断力       ④ 自分なりの視点をもつ
               ⑤ 他者の立場に立てる
               ⑥ 自分を知る
                  (出典: Understanding by Design)
→ さらに刺激的なリストをお求めの方は、To Understand, by Ellin Keeneを参照ください。

以上は、知識の獲得を中心にした思考力について見ましたが、残りの2つの「思いやる子、鍛える子」も似たような状況にあります。
たとえば広い意味での「思いやる子」や「鍛える子」ともオーバーラップするところのあるEQ、ライフスキル、社会人基礎力といった資質や態度は、いったいいつ磨いたり、練習されたりしているのでしょうか? ちなみに、これらは子どもたちが身につけることを求められているだけでなく、教師や管理職にも不可欠なスキルや資質です。
結果志向という観点から、小学校低学年段階でも2年ぐらい取り組めばEQとライフスキルのほとんどが身についてしまう方法はあるのです


★★SMARTなゴール(目標)とは、
S = Specific 明確である
M = Measurable測れる ~ 評価の基準が示されている(大切なのは、最終評価ではなく、継続的なモニタリングと修正・改善をすることによって、目標を達成できること)
A = Attainable 努力すれば実現できる
R = Result-oriented 結果志向である
T = Time-bound スケジュールが示されている
      (出典: 『校長先生という仕事』平凡社新書、154ページ)

2026年4月19日日曜日

教師の力を引き出すチームの5つの特徴

学校を変革へと導く力のあるリーダーシップチームを育てるヒントを紹介します

 

 私★★は最近、「学校の中でのよいチームとは何か」についてよく考えています。これから私自身の考えを少し共有しますが、ぜひあなたの意見も聞かせてほしいと思います。

正直に言うと、私が「チームの力」を信じられるようになるまでには、かなり時間がかかりました。つい最近まで、私はチームで良い経験をしてこなかったのです。一人でやったほうが、必要なものをより良く、より早く作れると感じていました。チームで仕事をすると、いつもプロセスが遅くて、面倒に思えてしまったのです。結局、自分が(任されるか、自分で引き受けるかして)仕事の大部分を担うことが多いと感じていました。そもそも、どんなチームが「よく機能するチーム」なのか、どう協働すればいいのか、そしてチームで働くことにどんな利点があるのか、よくわかっていなかったのです。

 しかしここ数年、いくつかの異なるチームでの経験が、私の考えを大きく変えました。今の私は、「よいチームをどうつくり、どう育てていくのか」、そしてその過程でコーチやファシリテーターがどんな具体的な働きかけをしているのかを明らかにしたいと思うようになっています。学校を変革できるような、力のあるチームをどう育てられるのかを探りたいのです。

なぜ力を生み出すチームが重要なのか

私たちが「よいチーム」についての考え方や実践を言語化する必要があると思う理由は、次のとおりです。

学校の中に「強いチーム」があることは、教師を定着させ、長く働き続けてもらうために欠かせない!

離職率の低い学校(たとえ都市部の厳しい環境であっても)では、教師たちは同僚とのつながりや支えを感じていると語ります。また、自分が「同じ使命を果たそうとしている仲間の一員だ」と感じられるとも言います。こうした文脈で生まれる感情こそ、困難な取り組みに長く関わり続ける力になります。今、公教育はとても厳しい状況にあります。だからこそ、私たちには、感情的なレジリエンスを育てる仕組み(強いチームなど)が必要なのです。

効果的に機能するチームであれば、メンバーは互いから学び合える。

一人では到底できないようなことを達成できます。互いに刺激を与え、挑戦し合うこともできます。個々の強みを最大限にいかすことができ、苦手なことを無理に一人で抱え込む必要もありません。これは、学校改革のような大きなプロジェクトに取り組むうえで、とても効率的なアプローチであり、何より気持ちがいいものです。

 

良いチームとは何か?

私が考える「良いチーム」の主な特徴をいくつか挙げます★。

1. 良いチームは、自分たちが「なぜ存在するのか」を知っている。

「私たちは6年生担当の教師チームです」と言うだけでは不十分です。それは単に属性(同じ学年を教えている)を示しているだけであって、チームが存在する理由ではありません。チームとしての存在目的の一例は、次のようなものかもしれません。
「私たちは互いを支え合い、学び合い、6年生の子どもたちのニーズによりよく応える方法を見つけるために集まっています。」それを「目的」と呼んでも「ミッション」と呼んでも構いません。大切なのは、参加する人が「また会議か」という義務感で集まるのではなく、その目的が自分にとって意味があり、価値があり、明確であると感じられることです。

2. 良いチームは、学びの場をつくる。

学校で働く私たちがチームとして集まる理由はさまざまですが、私はそのどれにも「互いに学び合う機会」が含まれているべきだと考えています。学びたくない教育者に、私はほとんど出会ったことがありません。私たちは本来とても好奇心が強く、教育について学ぶべきことは尽きません。だからこそ、よく機能するチームでは、安心できる文脈の中で学びが起こります。失敗してもいいし、リスクを取って挑戦してもいいし、どんな質問でも遠慮なく投げかけることができます。

3. 良いチームには、健全な対立がある。

もし私たちが一緒に学び、何かのプロジェクトに取り組んでいるのであれば、意見のぶつかり合いは避けられないし、むしろ不可欠です。アイディアについて異なる見方をし、建設的な対話や異議が交わされ、互いの思考が押し広げられていきます。

4. 良いチームのメンバーは、互いを信頼している。

信頼があるということは、避けられない対立が起きたときにも、それをきちんと扱えるということです。メンバー同士が互いをよく知り、耳を傾け合い、どのように関わり合うかについて合意をもち、その合意を大切にしながら活動します。また、ファシリテーターのように、場の安全性を確保する役割を担う人もいます。さらに、信頼を育むためには、強いチームの中で公平な参加意思決定の共有が見られることが重要です。そこには、社会に存在する不平等なパターン(たとえば、男性が発言を支配するような構造)が再現されることはありません。

5. 良いチームには、ファシリテーターやリーダー、またはリーダーシップを共有する仕組みがある。

チームには、舵を取る人――あるいは持ち回りでその役割を担う人――が存在します。そのおかげで、チームが高いレベルで機能するために欠かせない、意図的な運営・計画・その場でのファシリテーションが確保されます。

 

次に何をするのか?

この最後のポイントこそ、私がこの秋ずっと考えてきたテーマです。良いチームリーダーは何をするのか? 具体的にどのようにファシリテートするのか? リーダーシップはどのようにローテーションしたり、共有したりできるのか?

私は今、素晴らしいインストラクショナル・コーチのチームと一緒に働いており、私たちはこの問いについて共に考えています。このチームの存在には本当に感謝しています。

私たちは現在、コーチのための「ファシリテーション・ルーブリック」を作成しています。これは、学びにとって目的が明確で安全なチームを育て、私たちが支える子どもたちの成果や経験をより良くするために、コーチがどんな具体的な働きかけをしているのかを特定し、言語化するツールです。このツールが私たち自身の実践に役立つだけでなく、他の人にも有益なものになることを願っています。

 次の投稿では、私たちが行っているファシリテーションの具体的な工夫について紹介する予定です。その間に、ぜひコメント欄で、あなたが「よく機能するチーム」で働いた経験や、「良いチームとは何か」についての考えを共有してください。

 

★「良いチームの特徴」で思い出すのは、IT大手のグーグルが実施したプロジェクト・アリストテレスというプロジェクトを2012年に実施していたことです。そこでは、次の5つの条件が挙げられました。

  1. 心理的安全性(安心して発言・質問・失敗できる)
  2. 信頼性(メンバーが責任を果たす)
  3. 構造と明確さ(役割・目標・計画が明確)
  4. 仕事の意味(個人にとって意義がある)
  5. 仕事の影響(自分の仕事が価値を生んでいると感じる)

なお、グーグルはその前に「よいリーダーとはどんな特徴をもっているか」を明らかにするProject Oxygen(プロジェクト・オキシジェン)も行っており、次の8つが挙がっていました。

  1. よきコーチである。
  2. チームを後押し、細かいマネジメントはしない。
  3. チームのメンバーの成功や生活に対し、関心がある。
  4. 臆病にならない――生産的で結果主義である。
  5. よいコミュニケーター――とくに、よい聞き手である。
  6. 部下のキャリア形成を助ける。
  7. 明確なビジョンと戦略をもっている。
  8. チームにアドバイスできるだけの技術的な専門知識をもっている。(出典:『最高の授業~スパイダー討論が教室を変える』の20~24ページを参照)

 

★★=出典: https://www.edutopia.org/blog/5-characteristics-effective-school-team-elena-aguilar

 この記事は、『教師のためのアート・オブ・コーチング』の著者のエリーナ・アギラーさんが2015年の6月22日に書いた記事です。SEL便りで紹介した「学校で『機能するチーム』をつくる鍵 ― 感情的知性(EQ)」https://selnewsletter.blogspot.com/2026/04/eq.html)も参考になりますので、ぜひご覧ください。

2015年6月21日日曜日

知識社会の学校と教師


先週ここで紹介された「知識社会の学校と教師」を引き続き、話題にしたいと思います。

パートナーの指摘にもありましたが、訳文の読みにくさはかなりのものですが、それでも読む価値はある本です。

 1章の「知識社会の発展」の項では、こんな文章があります。

 
「教育は労働者にとって鍵となる資質である。つまり、情報化された資本主義における新たな生産者とは、企業や国と地域の経済に最も価値ある貢献をもたらす知識の生成者たちであり情報処理の担い手なのである。」

    ICT教育もわが国の学校教育の現下の課題の一つですが、まさに世界共通の大きな課題でもあります。この文章の後に、シンガポールのこの方面での先進的な様子が語られていますが、この点でもわが国はかなり遅れを取っているようです。(もっとも国のサイズということも関係しているとは思いますが)

  2章の「知識社会を乗り越える学校と教師」では、次のような箇所があります。

 
「知識経済の学校と教師は、標準テストの成績や、他者が描いたカリキュラムをただ単に実践するよりも、より高度なスキルと判断を必要とする。」
   
 まさに教師とは、「高度なスキルと判断」が必要とされる職業だと思います。専門職と呼ばれる所以です。「学び続けること」の大切さが求められる理由でもあります。

 この文のすぐ前に「知識経済を乗り越える学校と教師」には、次のものが必要だと書かれています。
   
 ・人格

 ・コミュニティ 

 ・安心

 ・包摂

 ・誠実さ

 ・地球市民としての自覚

 ・思いやり

 ・民主主義

 ・人間性と専門性の成熟

 
 このどれもが大切な項目でしょう。「誠実さ」「思いやり」はこの本でも紹介されているダニエル・ゴールマンのEQにも通じるものです。また、「研修」などでは養っていくことが難しいものでもあります。

 最後の「人間性と専門性の成熟」は、やはり、所属している学校を中心とした「学びの共同体」で、日々の協働を媒介として養われていくものでしょう。