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2013年12月8日日曜日

緊急性と重要性のマトリックス



 あなたの1週間(あるいは、1日でも1か月でもOK)に費やしている時間を、緊急性と重要性でふるい分けると、それぞれ何%ずつになりますか?(4つの領域に、あえて分けてみるということです。)
 ぜひ、下のマトリックスに%を書き込んでみてください。
 一方で、理想の時間配分は、どんな%だと思われますか?

  私たちは「忙しい、忙しい」と仕事に流されることが少なくありません。
 仕事に追われるのではなく、仕事を着実に作り出している人は、時間の使い方が違うと示してくれたのは、『7つの習慣』の著者のスティーブン・コヴィーでした。

 このマトリックスを意識することで、仕事に追われ続けるのか、それとも自分なりに納得のいく仕事をするのかの選択ができます。
 まずは、 現状と理想を明らかにすることから始めてください。

2020年2月16日日曜日

「最優先事項を優先する」の実現の仕方


 本プログの2月2日号(http://projectbetterschool.blogspot.com/2020/02/blog-post.html)で、第三の習慣の中身は、
① 第2の習慣を身に付けたなら、それを具現化し、自由意志を発揮し、毎日の瞬間瞬間において実行する。
② 価値観に調和した生活を送るために、効果的な自己管理を行う。
③ 重要だが緊急でない活動を行う。
④ 重要でない活動に対してノーと言う。
⑤ デレゲーション。人に仕事を委任する。
だと紹介しました。

あなたがたくさんしなければいけないことを、その「重要性」と「緊急性」で4つに分類したとすると、それぞれにはどのような項目があがりますか? 思い浮かぶものを書き出してみてください。
 上の図のⅠ~Ⅳの中で、優先順位が一番高いのはどれでしょうか?
第三の習慣は、普通私たちが考えてしまうように、Iではなくて、Ⅱであると教えてくれています(上記のリストの③です!)。
ⅢとⅣは、できるだけ④で対処。
その中で緊急性が高いので、何らかの形で対処しなければならない時は、できるだけ⑤で対応するようにします。
Ⅰですら繰り返しが多い場合は、⑤で対応できるようにしていくことが望まれます。

 Ⅰ~Ⅳの項目例を紹介すると、下の図(時間管理のマトリックス)のような項目が含まれます。

 このリストから分かることは、私たちは緊急性の高い項目で忙殺されるということです。そして、なかなか③=第Ⅱ領域の「重要だが緊急でない活動を行う」に時間を割けないことです。もし割けていたら、学校や授業は飛躍的によくなっているはずです。
 それでは、どのようにしてその時間を確保したらいいのでしょうか?

 まずは、 2月2日の「PLC便り」で紹介した
第一の習慣・主体的である
第二の習慣・終わりを思い描くことから始める(=自分のビジョンをもつ!)
の2つからはじめてください。第二の習慣で自分の優先順位がかなり明確になります。自分の優先順位がはっきりしていないと、周りのリクエストに引きずられてしまいます。
 第二の習慣+第一の習慣の「主体的に行動する」によって、②、④、⑤がやりやすくなります。
 ということは、どれだけビジョンと優先順位を明確にできるかがカギです。
 ちなみに、私にとってビジョンのつくり方で一番参考になったのは、『エンパワーメントの鍵』という本でした。

2013年1月6日日曜日

私たちが時間を割くべきものは?



 今年初めての書き込みです。本年も、よろしくお願いします。
 今年も授業や学校の質の向上、リーダーの質の向上に関するさまざまな情報を提供していきます。

さて、スティーブン・コヴィーの『7つの習慣』という本をご存知ですか?

1996年に出た本です。当時、ベストセラーになりました。

成功する人がもっている7つの習慣を紹介した本です。

その中の一つが時間の使い方です。


下の図のように、緊急度を横軸に、重要度を縦軸にとると、マトリックスが出来上がります。当然、第一領域は緊急度も重要度も高いものです。第二領域は緊急度は低いが、重要度は高い。第三領域は逆に緊急度は高いが、重要度は低い。第四領域は両方とも低いものです。


 これらの4つの領域の中で、もっとも大切にしなければいけないものはどれだと思いますか? あなたは、それをどれだけ大切に(=実践)していますか?



2026年6月28日日曜日

管理職はもちろん、教師も教育書を読む時間はつくれる!

弁護士も本を読みますし、医者も本を読みます。でも教師や管理職はどうでしょう。「忙しすぎて読む時間なんてない」「授業や学校運営で手一杯で、専門的な読書なんて無理だ」とよく言われます。

しかし、教師や管理職の仕事がいつか落ち着く日を待っていても、その日は来ません。必要なのは、学び続ける姿勢を自分たちがもつことです。生徒には学びを求めるのに、私たち自身にはそれを求めないことが多いです。でも、学校を「学び続ける組織」にしたいなら、まず教師や管理職がその姿を示すことが欠かせません。

『7つの習慣』でスティーブン・コヴィーは、時間をより生産的に使うための「時間管理マトリックス」を示しています。これは、目の前の仕事がどれだけ「緊急」か、そしてどれだけ「重要」かを整理して考えるための枠組みです(PLC便り: トリックスの検索結果参照)。 

管理職も教師も、いわゆる「緊急」の仕事に埋もれがちです。困っている保護者からの電話、急に入る教育委員会の会議、食堂での小競り合いの対応、さらには疲れ切った先生のためにコピー機を直すことまであります。

けれど、教師や管理職として本当に大事な仕事――つまり授業と学びをよくするための仕事――は、目の前の火消しほど急ぎには見えません。管理職や教師は、こうした「緊急ではない」という感覚のせいで、どうしても事務や対外対応など、授業や学びに直接関わらない仕事に多くの時間を取られてしまいます。スタンフォード大学の研究でも、校長が授業に関わる仕事に使っている時間は、全体のわずか13%ほどだと報告されています。

そして、専門的な読書もまさに同じことが起きます。生徒の学びをよくするためには欠かせないのに、残念ながら「緊急」ではありません。

でも幸いなことに、校長をはじめ教師たちは読書を習慣にすることで、その時間を取り戻すことができます。習慣は、「緊急だけれど実はそれほど重要ではない仕事」の誘惑に負けないための、最も強力な方法だと私は思っています。ここでは、ジェームズ・クリアーの『複利で伸びる1つの習慣』の考え方を参考にしています。彼は、科学的な知見に基づいて「習慣を続ける方法」を示しています。私はその考え方を、忙しい学校の先生たちがどうすれば専門的な読書を習慣化できるか、という課題に当てはめてみました。

以下で紹介するのは、私が特に気に入っている「専門的な読書を習慣にするための4つの方法」です。

 

方法1:既存の習慣に新しい習慣をくっつける

新しい習慣を身につけたいときは、すでにある習慣のすぐ後にくっつけると続きやすくなります。「今ある習慣のあとに、新しい習慣をする」という形です。

私は、校長が日常的な短い授業観察を習慣化するために、この方法をうまく使っているのを何度も見てきました。たとえば、毎朝の生徒へのあいさつや、職員室にカバンを置くといういつもの行動の直後に、数分だけ2クラスを見に行く、というようにします。

「毎朝、生徒にあいさつしたら、そのまま(職員室に寄らずに)二つの授業を数分ずつ見に行く」読書を習慣化したい場合も同じです。

  • 「朝コーヒーを淹れたら(すでにある習慣)、この掲載誌『Educational Leadership』の記事を一つだけ読む」
  • 「水曜の夜、娘をサッカー練習に送ったあと、家に帰る前に車の中で専門的な読書をする」

このように、すでにある行動読み始めるきっかけをくっつけることで、読書が自然と生活の一部になっていきます。

 

方法2:わかりやすく、取りかかりやすくする

読書を「やるべきこと」として見える化すると、続けやすくなります。たとえば、枕の上に本を置いておけば、寝る前に必ず目に入ります。または、オンラインで見つけた気になる記事をコピーして、明るい色のフォルダーに入れて持ち歩くのもよい方法です。

会議が遅れたり、どこかで待ち時間ができたりしたとき、そのフォルダーが手元にあればすぐ読めます。「どこかにあったはずの記事をメールから探す」「ネットをスクロールして見つける」といった手間がなくなるので、とても取りかかりやすくなります。

 

方法3:予定に入れる

優れた校長は、授業観察やフィードバックの時間をきちんと予定に組み込み、その時間を大切に扱うよう周囲にも伝えています。ならば、専門的な読書も同じように予定に入れてしまうのがよい方法です。

たとえば、金曜日の9:4510:0015分だけ、読書の時間として確保します。カレンダーに入れたら、その時間になったら静かな場所へ移動します。図書室でも、使われていない理科室でも構いません。

もちろん、ときどき予定が崩れることはあります。でも、年間36週のうち毎週この時間を確保していれば、最初から読書の時間をまったく取らない場合に比べて、読める量は大きく変わります。

 

方法4:仲間をつくる

6時のランニングや夜8時のヨガに行けるのは、「誰かが待っているから」という人は多いものです。この誰かと約束しているから続く仕組みを、専門的な読書にも取り入れられます。

まずはリーダーシップチームと始めてもよいでしょう。

「金曜日に、Educational Leadership(またはあなたが読んでいる別の雑誌)の最新のインストラクショナル・コーチングの記事について話そう。読んで、意見をもってきてね」

あるいは、他校のリーダーたちと月1回のゆるやかな読書会をつくり、教育に関する本を一冊選んで語り合うのもよい方法です。こうした仕組みは、読書の習慣を後押ししてくれるだけでなく、読んだ内容をより深く理解できますし、何より楽しくなります。

 

習慣にする

4つすべてを使う必要はありません。どれか一つ、あなたが「これならできそう」と思えるものを選べばよいのです。

一つの方法。一つの新しい習慣。それだけで、あなたの専門的な読書は確実に広がっていきます。

 

出典・https://ascd.org/blogs/yes-principals-can-make-time-to-read

(書き手は、教育コンサルタントのジェン・デイビッド-ラングで、毎月『The Main Idea』を通して教育関連書の要約を提供し、さらに学校や教育委員会のリーダーたちと「マスターマインド」と呼ばれる学習グループを運営している。)

2013年1月13日日曜日

80/20のルール


 前回から、多忙化への対応法に関する情報を提供しています。

 一言でいってしまうと、これまでにも何度か書いている優先順位の明確化なわけですが、これは言うほど簡単ではありません。「わかっちゃいるけど、やめられない」というやつです。
前回のマトリックスで言えば、緊急度の高いものに惑わされて、重要度の高いものも、低いものも一緒にしてしまいますから、重要度は高いのに緊急度が低いもの(第二領域)に手をつける時間がなくなっているわけです。ある意味では、授業も学校も、そして制度としての学校システムもよくなれない最大の理由は第二領域があまりにもおろそかにされすぎているからと言えます。さらに、この問題は教育に限定されません。すべての社会、政治、経済問題が抱えています。★
 しかし、第二領域への取り組みは、その大切さは「わかっちゃいるけど、手がつけられない」「取り組む余裕がない」が続いています。

 では、どうやって時間を作り出すか、それが今回のテーマである「80/20のルール」です。

みんな強烈に忙しいです。やることは限りなくあります。
 しかし、問題は優先順位です。何に時間とエネルギーを費やすか!! ★★
 80/20のルールとは、大切なことに80%の時間とエネルギーを費やし、残りは20%でこなすということを意味しています。そして、その「大切なこと」とは、やらなければいけないこと全部を100%とした場合に、多くても20%に絞り込むことも意味しています。それ以上では「大切なこと」とは言えませんから。(具体的には、一つか二つに絞り込むことです!)

 このルールを意識することで、あることをする場合に、何はできなくなるのかを考えるようになります。そうなると、やらなければならないことの中でどちらが大切なのかも考えます。大切だからと(錯覚して)すぐに行動に移してしまうと、本当に大切なことに時間を割けなくなるからです。一つのことを「する」と判断することは、たくさんのことは「しない」と自動的に判断しているからです(特に、第二領域に排除されるものが多いです。緊急性が低いので)。

教師が力を入れることは、子どもたちも好きになります。教師のやる気が伝わるからです。たとえば、WW&RWに打ち込む教師です。教師がほどほどにしている普通の国語では、子どもたちはどうしてもお付き合いになってしまいます。教師のやる気が伝わりませんから、好きになれませんし、結果的に身にもつきません。
 教師のやる気が伝播することで、できる子が増えると、残りの子たちもそれにひっぱられてできるようになります。結果的に、教師一人ががんばらなくていい状態が作り出されます。★★★(まさに、WWやRWでおこることです。)

 ぜひ、自分にとって、自分の授業にとって、自分の学校にとって時間とエネルギーを費やす価値のあるものは何かを見極めてください。それをしないと、今のまま(=偉大なる停滞=子どもたちの学びの質と量が極めて低いまま)が続いてしまいます。


※ 今回書くに当たって、参考にしたのはSmall Change, Big Change(特に、第4章)という本です。これは算数の教え方を変えよう!という本です。


★ それらを打開するためにも、授業でそのモデルを日々示し続けることが大切です。それ以外に、どこに解決の糸口は見出せるでしょうか? そのためには、管理職が教職員、教育行政が学校現場にモデルで示すことが第一歩になります。

★★ もちろん、授業の質を上げることです。

★★★ ここでも、管理職は教職員に、教育行政は学校現場にモデルで示すことが第一歩になります。口で言ったり、物に書いたりするぐらいでは、実現しませんから。

2017年11月12日日曜日

PBLおもしろかった!! 新しいアイディアが生まれました!

 本は、『PBL〜学びの可能性をひらく授業づくり〜』(リンダ・トープ&サラ・セージ著、北大路書房、2017年9月)です。

 「この本の構成は、本当に読みやすかったです。最初で概観を示し、少しずつ詳細へと螺旋的に書かれていく感じは、理解が深まりました。一読して、最初の12章をもう一度読むと、さらに理解が深まっていることがよく分かり、この本の読み物としてすばらしさも感じています。
 PBLは、教師のインストラクショナル・デザインの力が試されると思いました。スタンダード(指導要領)・子どもの実態・地域の材という集合の中で、問題としてよいものを見つけ出す力は、教師のアイディアと創造力でしょう。しかし、こういうことがやりたくて僕は教師になったわけですから、腕がなるといえます!! のびのびと実践し、経験を積みたいです」と、メールをくれた横浜市の冨田先生が、読みながら付けたメモをベースに感想も送ってくれたので、紹介しますPは、ページ数です。)

● PBL3つの特徴
・学習者は、問題をはらむ状況の中で、利害関係者として問題を解決する。
・教師は、学習者が自分と問題とのつながりを感じながら学べるように、適切な方法を用いて包括的な問題を中心に据えてカリキュラムを編成する。
・教師は、学びの環境を整え、学習者の思考をコーチし、探究活動をガイドして、深い理解へと促す。(P18

● 構造化されていない問題と、子どもたちが担う役割(立場)の重要さ
・問題をはらんだシナリオの中で、学習者に利害関係者の役割を与える
・学習者が、構造化されていない問題をはらんだ状況に浸る
・構造化されていない問題は、その不完全な状況そのものがもつ力で、彼らに「知っていること」と「知るべきこと」を明確に区別する作業に取り組ませる。(P23P25)

最初、PBLとかつて私が取り組んでいた問題解決的な社会科の違いについて考えながら読んでいました。
 まず、PBLは構造化されていない、問題をはらむ状況そのものを扱うのに対し、私の問題解決的学習はかなり私が構造化し、子どもが消化吸収しやすいようにしていました。問題解決的学習は、国語や算数のように、完全に系統立って単元の授業計画を配列させていませんでしたが、私自身が子どもたちの学習の舵取りをして、学びやすいように経路を選択していました。PBLは、役割をつかって問題の利害関係者となり、その立場で自分の意志で探究していくので、その学びの責任や自由度はとても高いです。
「役割」というのは、キーワードだと思いました。一つの資料や問題記述を見ても、その役割(立場)によって見方・考え方は大きく違うことを学習に利用しています。子どもたちは、子ども(学び手)の立場以外にも、いろいろな社会的な立場に立って学習を探究するので、多様な立場からの考える力を育むだけでなく、立場を生かして学習を楽しむことができます。立場を変えれば、同じものを見ても全く違うものになるという学習経験は、これから社会に出て実際の問題を解決する子どもたちにとって、本当に大切です。
 一般的な学習だったら、次は農民の立場で、次は武士の立場でと、画一的に教師の指示の下に行われていくことはありますが、PBLでは、小グループがそれぞれ異なる立場を担いながら、同時に学習を展開し、学習のフィールドで役割になった遊ぶ感じがすごく楽しそうです。

●問題記述
・与えられた問題を解決する過程で学習者に「今の段階で取り組むべき問題を具体的に記述したもの」(問題記述)を書き表すようにさせています。
何度も繰り返して問題記述を書き改めてきたことで明確になった本質的な課題と、それが満たすべき条件に照らし合わせて、これらの解決策を評価します。(意思決定マトリックス) (P27
・コーチとしての教師の仕事は、簡単な問題記述で満足させず、タマネギの皮をむき続けさせることなのです。(P48)
・問題記述では、「〜という条件の下で、どうしたら私たちは〜できるだろうか?」という問いかけのひな形を使うことがよくあります。(P53)
・自分たちの手で現実の問題を明確にしていかなければならないのです。(P85)

 そして、この問題記述の考え方が、私には抜け落ちていたと感じました。
 ワークショップで「選書」や「問い・テーマ選び」など、学習プロセスとして簡単には表現するものの、本を選んだり、問いを作ったりすることは非常に難しいし、さらにそれが授業ではできても、日常生活の中でまったく役に立たないというのは、よく見られることです。
 日常生活は、目の前の状況を問題として捉えようとするプロセスから入って、問題解決がスタートします。どのように問題を捉えるかというところから始まるのです。それに対し、授業場面では出来上がった問題が提示されます。問題を捉えるというプロセスが抜け落ちていて、そこに現実に存在する問題(←これが、構造化されていない問題)のような複雑さはありません。
 選書で言えば、いつも児童書コーナーでその子の学年相当の本がきれいに並べられているようなもので、本当の選書力は、雑然とした情報の山から読みたい本を検索するところから始まるでしょう。「問い・テーマ選び」でも、子どもたちの様子を見ていたら分かるように、問いやテーマを発見することこそ、本質的な学びの肝であり、それができればほぼ探究的な学習は自立的に進んでいく確証を得たようなものです。けれど、本当の「問い・テーマ」は、複雑な現実社会の中で試行錯誤して、すこしずつ具体化していくもの。授業のように、黒板の一番上に学習問題が出ることなどないのです。
 目の前の状況を問題として捉えるという学習プロセスをしっかり授業の中に取り込んで、子どもたちに日常生活で生きる問題解決能力を身につけるのがPBL。目の前に食材が置かれるように問題が運ばれてくるのがわたしたちの学校の授業のように感じます。問題解決的学習は子どもから問いを生むという表現が使われますが、教室全体で一つの学習問題を追っていくために、一人ひとりが問題を捉える力や具体化する力を養えるとは思えません。けれども、PBLでは厳しくも、資料や立場から「知っていること」「知りたいこと」「思いついたこと」で複雑な現状を整理し、問題記述を一人ひとりが作成することを通じて、目の前の問題を具体化する(=学習問題をつくる)という学習プロセスを踏みます。最初の問題作りを丁寧に、そしてしっかり子どもたちに委ねて探究へと進ませるところが、私にとっては驚きでした。子どもにとって、日常生活の困った状況から問題を明確にすることこそ、本当に役立つ力です。

●学習サイクル
PBLの単元のテンプレート (P48)
・問題との出合い:蚊の問題に出合うための「指示書」
教師の環境の工夫
教師が活動目標を提示したり、問いを立てたりしない。子どもが「指示書」から「知っていること」「知るべきこと」「思いついたこと」を整理し、問題記述を作る。(P52)
・重要だと思って選んだ「知るべきこと」が共通する学習者同士で3〜5人のグループ(専門家グループ)をつくり、協働して活動するのがよくあるやり方です。そして情報収集が完結した時点で、それぞれの専門家グループからひとりずつ集まって新しいグループを作り、収集した情報を新しいグループ内で共有するのです。「ジグソー」
 問題記述の後に専門家グループ。最初から専門家グループではない!!(P55)
・問題に出合う・知っていること、知るべきこと、思いついたことを特定する・問題を定義する(テーマ・問いを立てるプロセス)情報を集め、共有する (P67)

 学習サイクルについても、かなり今までと違う視点が入っていると思いました。最初の問題記述を作ってから、ジグソーをうまく使って、グループ学習でしかも一人ひとりが学びの責任を感じられるような学習デザインがされています。グループ学習で、友達に頼りすぎて依存的な学習になる子の課題や、支援を得られないで孤立化してしまう課題を、うまく解決へと導いています。そして、問題記述に立ち返らせることで、問題をより具体化していくというのも、学習の目標や問題解決から逸れないための自己評価の方法として機能していますし、学習が深まれば深まるほど問題記述が具体化し、カンファランスの材料や学習の指標になるという点にも、なるほどという思いでした。問題記述に立ち返るというのが、ポイントです。

●評価がやる気を引き出す
・各グループがそれぞれ解決策を発表して、それぞれのグループの発表の後で生徒たちが審査委員会の委員と質疑応答する
・評価は、教師と生徒が一緒に作成したルーブリックによってなされることが多い。(P59)
・学習者とは、自分の努力の結果を知りたくなる存在です。自分たちの取り組みをきちんと考察し評価してくれる人がいると信じられるとき、彼らは情熱と厳しさをもって任務を引き受けるのです。(P87)