2012年5月20日日曜日

スイッチがオフになる校内研修・教員研修(=『てん』の教訓①)


5月6日は「教育課程を考える」をテーマに白鳥さんが書いてくれていましたが、その内容は校内研修・教員研修についてでした。

あなたは、そこで提示されていた2つの問いにはどのように答えたでしょうか?

校内研修・教員研修と前回の絵本『てん』を絡めて考えると、今回の表題になってしまいました。

『てん』の中の主人公ワシテは、お絵かきの時間であるにもかかわらず完全にスイッチがオフになった状態で、何も描けません。★
圧倒的多数の教師たちも、校内研修や教育委員会主催の悉皆研修の時間は、スイッチがオフになります。
そもそも、これまでに役に立つ(ないし身につく)校内研修ないし教員研修を体験した方はどのくらいいるでしょうか?
先日ある中学校で聞いてみたら、ほぼ全員が「ない」とはっきり答えてくれました。

何も絵を描けないワシテに対して先生がしたことは、まずユーモアをもって接しました。「あら、吹雪の中の北極熊ね」と。
次に先生は、「何か印をつけてみて。そしてどうなるかみてみるの」と促すと、ワシテはマーカーをつかんで紙に力いっぱい押し付けて小さい『てん』を書きました。かなりいい加減な対応でした。
先生は、その作品(?)にワシテのサインをさせました。
そして、次の週お絵かきの教室に入ると、なんとそのワシテのサイン入りの『てん』が金色の額縁に入って先生の机の上に飾られていたのでビックリ!!
「ふーん! もっといい点だって私描けるわ!」と一念発起して、これまで開けたこともなかった水彩セットを開けて、ワシテは爆発したようにいろいろな『てん』を描き始めたのです。★★

こんな状態を、校内研修や教員研修でつくりだせたらいいと思いませんか?

もちろん、授業でも

            <以下は、メルマガからの続き>


そのためには、これまでしてきたことを同じようにやり続けるだけではダメです。
ワシテの先生がしてくれたようなことをほとんどの教師は校内研修や教員研修で体験することがありませんから、研修が始まる前からワシテもそうだったようにスイッチがオフになったままで、最後を迎えます。校内研修や教員研修は、圧倒的多数の教師にとって、がまんする時間、耐え忍ぶ時間、お付き合いの時間、活かすことが得られない時間、「研修はした」という実績を残す時間、内職をする時間、眠たくもないのに寝る時間(あるいは、ちょうど疲れているので寝る時間)等々であり続けています。

では、どうしたらいいのでしょうか?
ワシテが主体的に描き出したように、教師たちが主体的に学ぶことは可能にできるのでしょうか?

可能です!

キーワードは、「選択」「サポート/フォローアップ」「仲間がいる」「浸る時間の提供」「従来の機能していない枠組みとは異なる機能する枠組みで実施する」の5つです。
これは、従来の機能しない作文指導を改めて実践しているライティング・ワークショップという教え方・学び方がなぜ成功しているのか要因分析をした結果得られた5つの要素と同じです。★★★

このことから、いい教員研修といい授業は「入れ子状態」★★★★にあることを証明しています。

授業中の生徒たちや、研修中の教師たちには、これらの要因を自分たちで作り出すことは残念ながら困難ですから、授業では教師が、研修では管理職や教育委員会がしっかり提供することが極めて重要です。(残念ながら、まだできているところはほとんどありません。)



★ 多くの子どもたちは、ワシテと同じようにお絵かきの時間にスイッチがオフになるだけでなく、作文の時間、読書の時間、算数の時間、理科の時間、社会の時間等にもオフになっています。

★★ この本『てん』のいいところは、ここで終わるわけではありません。もっと発見がある本ですから、ぜひ現物をお読みください。

★★★ これら5つの以外に、いい授業/いい研修会の要素をご存知の方は、ぜひ教えてください。お願いします。

★★★★ 同様の形状の大きさの異なる容器(重箱)やロシアのマトリョーシカ人形を順に中に入れたもの。





 

1 件のコメント:

  1. 教師の学びの入れ子構造、強く共感しています。

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