前回https://projectbetterschool.blogspot.com/2024/05/blog-post_19.html
は5人の日本の先生たちのおすすめの本を紹介しました。今回は、6人の先生たちのリストを紹介します。
その前に、前回の記事では「常に、学び続けているモデルを生徒たちに示し続けることが教師の大切な役割ではないでしょうか? そのためには実験というか、新しいことにチャレンジし続けることが不可欠です」と書きました。教師の役割について書いてあるとてもいい本があります。
ピュリアスほか著の『教師―その役割の多面性』(文教書院、1970年)です。全部で22の教師の役割が紹介されています。これは、55年前に出版された本なのに、内容的には今でも十分に参考になります(ということは、教育分野の成長の速度があまりにも遅すぎるということ?)。
それでは、先生方の本のリストをお楽しみください。(と同時に、ご自分のリストをぜひつくって、pro.workshop@gmail.com宛にお送りください。その方が、はるかに学べます!)
F先生(大学・国語専門)
1『一斉授業をハックする』新評論
2『教えることの復権』ちくま新書
3『雑文集』村上春樹、新潮文庫
4『読んでいない本について堂々と語る方法』ちくま学芸文庫
5『現代思想入門』講談社現代文庫
6『幼児期』岩波新書
7『種をまく人』あすなろ書房
8『特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー』早川書房
9『アフォーダンス入門 知性はどこに生まれるか』講談社学術文庫
10『学力とは何か』中内敏夫、岩波新書
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『みんな羽ばたいて』と『たった一つを変えるだけ』
G先生(中学校、理科) ~ 思いついた順です
ジェニ・ウィルソン (著), レスリー・ウィング・ジャン
(著), 吉田新一郎 (翻訳)『増補版 「考える力」はこうしてつける』新評論、2018
岩瀬直樹 (著)『クラスづくりの極意―ぼくら、先生なしでも大丈夫だよ』 農山漁村文化協会、2011
ダン
ロススタイン (著), ルース サンタナ (著),吉田 新一郎 (翻訳)『たった一つを変えるだけ: クラスも教師も自立する「質問づくり」』 新評論、2015
平野朝久(著)『はじめに子どもありき』東洋館出版、1995
佐伯胖 (著)『「学び」の構造』東洋館出版、1975
今井むつみ(著)『学びとは何か――〈探究人〉になるために』岩波新書、2016
ピーター・グレイ (著), 吉田 新一郎 (翻訳)『遊びが学びに欠かせないわけ―自立した学び手を育てる』新評論、2018
H先生(高校・英語)
宇佐美寛『私の作文教育』さくら社, 2014年
人は、ある読者に何らかの影響を与えようとして文章を書く。----この目的を達成するために必要なことは何でしょうか。そして、この立場に立つと、いかにひどい文章が巷に溢れていることでしょう。著者はそれを嘆き、丹念にそれを批判していきます。それを通して、一文一義、引用する、細部を具体的に書く、などの大切さを伝えています。
宇佐美寛・池田久美子『対話の害』さくら社, 2015年
対話は、それ自体は善でも悪でもありません。ただし、強い立場の者が仕掛けた対話には警戒を要する、と著者は言います。テレビでも放映されて話題になった、マイケル・サンデル氏の「ハーバード白熱教室」の実践を、実証的に批判しながら、授業づくりの本質に迫ります。
田中克彦『ことばと国家』岩波新書, 1981年
ある時期まで国語の教科書に載っていた、ドーデの「最後の授業」の作品で、フランス語教師のアメル先生が、アルザス地方を去る時に、「フランス語は世界で一番美しいことばだ。」と言い、「フランス万歳!」と黒板に書いた場面は、矛盾に満ちていると著者は言います。国語や外国語教師だけでなく、すべての教師に勧めたい1冊です。
長田勇・桜井均・石井仁・遠藤忠『なぜ少女は走ったか---文化分析としての教育学』川島書店, 1990
生徒のためにという大義名分で行われた、罰マラソンで、少女が死んだ。----教師の何気ない行為、それを疑うことがない日常の信念の中に、大きな問題が隠れていて、時に、それが悲惨な結果を引き起こします。様々な事例を取り上げ、具体的に分析と検討することで現代の学校教育の問題を考えます。
小浜逸郎『学校の現象学のために』大和書房, 1995年
「子供は天使である」「悪いのはいつも大人であり教師だ」「子供は学びたがっている」「学校では子供が神様だ」といった世間の通俗的な言説を、著者は切れ味よく批判していきます。子供中心主義か管理主義かといった二項対立の言説に依拠することで、学校現場の現実が見えなくなっている、と著者は警告しています。
向山洋一『いじめの構造を破壊せよ(教育新書121)』明治図書,
1991年
いじめ問題を根本から解決する具体例を読むと、教師がいじめをする子供の差別構造に気づかせ、子供に心底から後悔させることが大切だと著者は言います。論旨は明快で、方法論も確かです。向山氏の初期の著作で、入手しにくくなっていますが、この本は優れた本だと思います。
鶴見俊輔『教育再定義への試み』岩波書店, 1999年
「人は、生まれ、育ち、おいて死ぬ。その一生を支え続ける『教育』は可能か」と帯に書かれています。
葛藤に満ちた自分自身の人生体験と、様々な人々との交流を振り返りながら書かれている本書は、単なるハウツー本にはない深さがあります。私にとって大切な本です。(この本も1990年代ですね!)
I先生(元中学校理科、校長、大学教授)
① 『たった一つを変えるだけ』(新評論)・・・まずはここから。
② 『世界は一冊の本』(みすず書房)・・・本がいかに大切か
③ 『ギヴァー』(新評論)・・・世界・歴史・人間を考えるために
④ 『心の病気をどう直す』(講談社現代新書)・・・心の病とどう向き合うか
⑤ 『学校の戦後史』(岩波新書)・・・これまでの日本の教育の歴史を踏まえる
J先生(中学校理科、現在小学校校長)
ようこそ、一人ひとりをいかす教室へ
「考える力」はこうしてつける
オープニングマインド
作家の時間
宿題をハックする
不安な心に寄り添う
質問・発問をハックする
ケーガン協同学習入門
人的環境のユニバーサルデザイン
「読む力」はこうしてつける
学びはすべてSEL
K先生(中学校・英語)
『EQ2.0』『チーズはどこへ消えた』『ケーキの切れない非行少年たち』『発達障害の人がみている世界』『飛びはねる思考(東田直樹)』『さあ、才能に目覚めようストレングスファインダー2.0』『7つの習慣』『ライフシフト』『他者と働くーわかりあえなさ から始める組織論』『本当の心の力』『自分の小さな箱から脱出する方法』『ものがわかるということ』『好きノート(たにかわしゅんたろう)』『ことばのかたち(おーなり由子)』『すきなこと にがてなこと』『21世紀に生きる君たちへ(司馬遼太郎』『14才の君へ(池田晶子)』『せんせいのつくりかた これでいいのかな と考えはじめたわたしへ』『SELを成功に導くための5つの要素』
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