次のような文章をしばらく前に、何人かの友人・知人に送りました。
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今朝、https://www.nwea.org/resource-center/resource/jump-start-high-growth-instructional-strategies-with-map-growth/の「View Guide」をクリックして入手した情報(「最新」ではなく、去年の9月にアップされていますが)です。こういう情報が、アメリカからはウジャウジャ発信され続けます。常によりよくすることが自分たちに課された使命であるがごとく。それに対して、日本でこの手の情報を見かけることはほぼ皆無です。その背景には、教育NPOの存在があります(日本には、ほぼ不登校生徒への対応ぐらいしか存在しない?!)。
The
Transformative Ten
Derived
from observing more than 75 hours of instruction at a high-growth school, the
Transformative Ten are instructional strategies that can work in any classroom,
subject, or grade level to help teachers differentiate★ while still
exposing students to grade-level content. The strategies are grouped into three
themes:
Optimizing
instructional time
1. Provide
supplemental learning time for targeted retrieval practice
2. Mix whole-group,
small-group, and individual activities
3. Adjust student
groups in real time
4. Share students
and strategies within a grade level
Exposing
students to more content
5. Differentiate★ tasks
within a unit
6. Provide targeted
practice for foundational skills
7. Teach from
multiple standards at once
Empowering
students
8. Create
opportunities for self-directed learning
9. Use student
discourse as formative assessment
10. Explicitly
teach academic vocabulary
あなたの授業(あるいは、日本で望ましいと言われている授業)は、これらの要素のいくつぐらいが押さえられていますか? 私が過去15年ぐらい紹介してきた本では、これらのすべてが押さえられています。なかでも、『ようこそ、一人ひとりをいかす教室へ』とライティングとリーディング・ワークショップ関連の本オススメ図書紹介(教師用) - Google スプレッドシートが傑出しています。
★differentiateは、critical thinkingを「批判的思考」やstrategyを「方略」と直訳してはいけないのと同じで、直訳の「個別化や差別化」ではなく、「一人ひとりをいかす」と訳しました。
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すると、ある先生がすぐに翻訳ソフトを使って、自分の回答を送ってくれました。(→以下は、その先生の回答)
変革を起こす10人
高成長校での 75 時間以上の指導の観察から導き出された、変革の 10 は、生徒を学年レベルの内容にさらしながらも教師が差別化できるようにするために、どの教室、教科、または学年レベルでも機能する指導戦略です。戦略は 3 つのテーマに分類されます。
指導時間の最適化
1. 対象を絞った検索の練習のための補足学習時間を提供する
→長文でなく、短い単語で区切って検索する練習のことだろうか。それであれば行っている。
2. グループ全体、小グループ、個人の活動を組み合わせる
→個人の活動と全体の学習の行き来はよく行っているが、調べ学習のときは、個人の活動を行い続けることが多いような気がする。WWなどのように最後に共有することはあまりできていないか。
3. 生徒グループをリアルタイムで調整する
→全く使い分けていない
4. 学年内で生徒と戦略を共有する
→キャンプやクラブの立ち上げなど、学年で取り組むことが多い場合のみ共有して活動ができているが、教科については、クラスの垣根が高い。
学生をより多くのコンテンツにさらす
5. ユニット内でタスクを区別する★
→これはほとんど行えていない。社会の学習くらいだろうか。
6. 基礎スキルを対象とした練習を提供する
→基礎スキルとはどういうことだろう。ドリルとかではないような気がする。もっと、学習に生かせるミニレッスンで教えるようなことだろうか。
7. 複数の標準を一度に教える
→これもあまりぴんとこない。もう少し具体的な例がほしい。
学生に力を与える
8. 自主学習の機会を設ける
→個々に課題を設定して行う学習のことだろうか。授業の時間を通してはおこなえていない。
9. 形成的評価として生徒の談話を利用する
→ふりかえりを活用して次の授業の導入や、みんなで話し合うべきないようについて提示をすることはしているが、それでよいか・・・。
10. 学術用語を明示的に教える
→国語、算数、社会、理科など教科の中使われる用語のことだろうか。それを教えるということであれば行っているが、それでよいのかな。用語を学び、その用語を使って話をすることについては、私も、子どもたちにも大切にするようにしている。
自分なりに簡単にまとめてはみたものの、こういうことでよいのだろうかと、いささか疑問です。
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翻訳ソフトの精度は、まだ7~8割のレベルであることが分かります。(大意は伝わってきますが、微妙なニュアンスが伝えられない!? その2~3割が、割合以上に大事なのかもしれません。)そこで、多少の注釈(★)を加えながら、以下のように訳し直したものを彼には送りました。これで、回答は多少変わるでしょうか?
授業に違いを生みだす10の方法
生徒の成長(学力向上)が著しいある学校で75時間★①の授業観察に基づいて導き出されたのが「授業に違いを生みだす10の方法」です。それは、どんなクラスでも、教科でも使え、学年レベルの指導内容を押さえつつ、生徒一人ひとりをいかす教え方を実現するものです★②。10の方法は、テーマ別に3つに分類しました。
学習時間の最適化
1必要性の高い想起練習(何かを学んだら、その後に、それを記憶から取り出し、それについて再び考えること。このとき、学んだ後に時間をおくのがポイント)のために補足の学習時間を提供する。
2クラス全体、小グループ、個人の活動をうまく組み合わせる。
3必要に応じて、グループ構成は臨機応変に調整する。
4学年内で生徒と使用する方法★③を共有し合う。
教科書を超えた学習内容を生徒に提供する
5単元のなかで、一人ひとりの生徒にあった活動★②を提供する。
6基礎的なスキルを身につけるための練習課題を提供する。
7授業や単元を教える際には、一つの学習目標(学習指導要領の一つの指導事項)ではなく、複数の学習目標(指導事項)を設定する形で教える。★④
生徒をエンパワーする(生徒が元気になる)★⑤
8生徒が自立して学べる機会を提供する。
9生徒とのやり取り(対話・カンファランス)を形成的評価として利用する。
10.教科専門の語彙(用語)は意図的に教える。
★① たとえ、優れた成果を出している学校であっても、一つだけでいいのか、75時間だけでいいのかという二つの疑問が浮かびました。たくさんの学校や75時間以上の時間を費やしたら、違った結果になると思いますか?
★② 10の方法すべてではありませんが、その半分以上は最初のメールで紹介した「一人ひとりをいかす教え方」を可能にする方法になっています。とくに、『ようこそ、一人ひとりをいかす教室へ』が参考になります。
★③ 同じ学年を教える同僚とは、単に教える際の効果的な方法だけでなく、なんと生徒たちも交換し合うようです!!
★④ ここの3つの要素から見えてくるのは、生徒の興味関心、学び方・学ぶスピード、すでにもっている知識や情報等は多様なので、多様な生徒のニーズと興味関心に応えられる課題、授業や単元の進め方、目標設定が必要なことが分かります。『ようこそ、一人ひとりをいかす教室へ』をぜひ参考にしてください。
★⑤ この見出し自体が、とても魅力的です。日本の授業は生徒(や先生たちも!)に「自律(自分をコントロールする/律すること)」ばかりを求めて、「生徒をエンパワーする(生徒が元気になる)」授業が考えられたことはあるでしょうか? 最後の要素が、これにどう寄与するのかいまいちよく分かりません。でも、『教科書をハックする』の第3章「語彙こそが内容」と関連しているとは思います。なお、8番目と9番目の項目(および、1~7もほとんどすべて)を見事に実現している教え方が、ライティングとリーディング・ワークショップ関連(オススメ図書紹介(教師用) -
Google スプレッドシート)の実践です。
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