神奈川県大和市の小学校の先生・藤井健人さんが『「居場所」のある学級・学校づくり』ローリー・バロン&パティ―・キニ―著(新評論)の書評を書いてくれましたので紹介します。
本書は、学校で子どもが「居場所」を感じられることがなぜ大切なのか。そして、そのための具体的な方法が紹介されている本です。また、日本で馴染みのある「学級経営」を「居場所」をつくるための方法として捉えています。具体的な50の方法を紹介してくれているので、自分が取り組みやすいことを選べる実践的な本にもなっています。
さらに、「学級経営」とは何をしたらいいのか? そのような疑問を持っている先生や、先輩からの「子どもをうまくコントロールすることが学級経営」と言うような教えに疑問をもっている先生におすすめしたい本となっています。
「方法1;居場所について振り返る 居場所をテーマにして、それを学級経営につなげるための効果的な第一歩は「自分にとっての居場所とは何かを考える」ことです。(P14)」
これが、本書の1番はじめに書いてあることの重要性の高さを感じました。自分にとって安心できる居場所とは? 成長できる居場所とは? そのようなことをまず振り返り考えることから居場所づくりはスタートする必要があると再認識できました。
教師としてわかりやすい問いは、「自分が働きたい職員室はどのような居場所か?」ではないでしょうか。管理職からされて自分のモチベーションが下がるようなことは、子どもたちにもしない。これだけでも、多くの子どもたちの居場所ができるような気がします。
第2章〜居場所は信頼関係で育まれる〜では、子どもと信頼関係をつくることの必要性や、そのための教師の行動や態度について具体的に書かれています。
「学級経営においては、生徒と築く信頼関係は貯金のような役割を果たします。生徒との良好なコミュニケーションや、生徒一人ひとりへの理解は、後々困難な状況になったときに役立ちます。そのような状況に陥ったときには、貯金してきた生徒との信頼関係をもとに問題を解決することができるのです。P.28」
この考え方はとてもわかりやすい例えで表現されていて、自分自身の経験からもとても納得できるものでした。
信頼関係をつくる教師の態度を振り返る方法として、「生徒と交わす25の約束(P29)」がとても有効だと感じました。
この25の約束を振り返ることで子どもたちと関わっていく上で、大切なマインドをもたらしてくれるはずです。
また、毎朝の挨拶で一人ひとりの名前を呼んで挨拶するという、何の準備も要らずに簡単にできる方法も紹介されていました。名前を呼んで挨拶することで以下のような効果があると書かれていました。
・「挨拶という行動から、これは私たちのクラスで、私たちは仲間です」という共通理解を示すことができます。
・挨拶は、一人ひとりの生徒を大切にしているというあなたの生徒に対する態度を表し、生徒との関係を築くことにつながります。
・生徒の雰囲気や心の状態をすぐに読み取ることができ、誰がこの教室に居場所を感じているのか、感じていないのかを知ることができます。
・誰が熱心なのか、疲れているのか、やる気が起きないのか、ストレスを抱えているのかがわかります。(P34)★
この本を読む中で、私の中の「学級経営」=「教師も子どもも学びやすいコミュニティーづくり」という考えが強化されました。「学級経営」とは、何か改めて考えたい先生たちにおすすめの1冊です。
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★この取り組みを、校長が毎朝校門で実践している取り組みが、『一人ひとりを大切にする学校』http://www.tsukiji-shokan.co.jp/mokuroku/ISBN978-4-8067-1639-6.htmlで紹介されています。校長が全校生徒の名前と顔を(願わくは、保護者たちのことも)知っていて声をかけられる関係にないと、いい学校の実現は難しいことが分かります。
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