これは、子どもたちが各自のメンターを見つけるときのモデルとして試してみるといいかもしれません。(でも、実は子どもたちのほうが先をいっているのです。子どもたちは、メンターを探すのが得意です。自分の興味関心があることなら、自分よりもうまくやっている子を見つけて「それどうやるの?」「それどうすればできるの?」「そのやり方、教えて!」と聞けてしまうからです。年齢が上がるに従って、聞くのが確実に下手になります。)
新任の教師はもちろんのこと、常に向上したいと思っている教師★にとってメンターの存在は欠かせません。(このブログでも、その大切さは繰り返し書いてきました。
今回は、自分にピッタリあったメンターの選び方に焦点を絞って書きます。
1.教師を楽しんでいる人
楽しんでいることも、その反対に楽しんでいないこと(=苦痛?)も伝播してしまいますから、どうせなら前者の方がいいに越したことはありません。それは、ちょっと観察すれば分かってしまいます。楽しんでいる人を選んでください。
2.子どもたちが好きで、授業が大好きな人
教えることは、科学であると同時にアートです。
科学の部分は、凝縮すると「学びの原則」です。
さらに一言でいうと、子どもたちが「分かった」や「できる」や誰かに自分が発見したことを教えることで目を輝かせている状況をできるだけたくさんつくり出している、ということです。
アートの部分は、人間関係の形成、やる気の持たせること、クラスの一体化、サポーティブな教室の雰囲気などです。クラス運営のノウハウは、教師としての仕事を楽にも苦しくもしますから、決定的に重要です。
これらすべてを一人の人が持ち合わせていることは稀かもしれませんから、子どもたちが本当に好きな人(これのかなりの部分はクラス運営に現れます)と、科学とアートの観点からの授業が好きな人という2つの観点から、何か光るものをもっている人を選んでください。
3.一人に限定する必要はない!
新任の場合、公式なメンターはあくまでも選択肢の一つとして位置づけます。馬が合う合わないは、努力では乗り越えられない領域なので、無理をする必要はなく、ほどほどに付き合ってください。一方で、公式・非公式に如何に関らず、すべての人を自分のメンターの対象として考えてください。要するに、可能性は末広がりだ、ということです。(自分の学校内や市内だけに限定することすらありません。いまやインターネットの時代なのですから。言葉に制約がなければ、メンターは世界にまで求められる時代です!)
そして、いろいろな人の得意領域から学ぶというスタンスも大切です。(なかなか、一人の人がすべてに秀でているということは稀なので。)これによって、一人に常に相談することで、過剰な負担をかけなくて済むということもあります。
4.学びは双方向! さらには波及効果さえあるもの
質問をしたり、助けを求めたりすることは容易ではありませんが、尋ねられたり、求められたりしたら、ほとんどの人は喜んで応えます。メンタリングの関係は、メンティー(サポートされる側)にとっての学びがあるのと同じくらいに、メンター(サポートする側)にとっても学びがありますから★★、ドシドシ活用してください! それが、自分や子どもたちを含めて、誰にとってもいいことなのですから。
以上の他にメンターの人選に当たっての注意点やヒントが考えられる方は、ぜひ教えてください。
以上は、メンターの選択について書いてきましたが、ある意味では読書する時の選書や、作文を書くときの題材選びと同じと言える気がします。(選書は、自分にピッタリの本を選ぶ。題材選びは、自分にピッタリの各題材を選ぶ、です。) さらに、批判的思考とは訳さないクリティカル・シンキングを磨くチャンスでもあります。クリティカル・シンキングとは、大切なものは何かを見極める/選択する(と同時に、大切でないものも何かを見極める)力ですから。
★ 日本ではあまり紹介されていませんが、教師の違い(教え方の違い)で子どもたちの学力を含めた成長の違いがどれだけあるかということは、欧米では計測されて続けています。(「効果的な教師」や「効果的な教え方」の名の下に、少なくとも40年ぐらいの実績があります。もちろん、この種の研究にどれだけの信憑性があるのかということは、常につきまといますが・・・でも一方で、常識的に誰もが感じていることを数値化してくれているだけとも言えます。)たとえば、より効果的な教え方ができる教師は、そうではない(つまり、自分が子ども時代に体験したような教え方を踏襲したままの=指導案にのっとった授業をする)教師に比べて、約3倍の違いを生み出しているという結果が出ています。
この種の研究が明らかにしてくれることは、教師と一言でいっても多様であり、教師一人ひとりは常によりよいクラス運営やよりよい教え方を志向できるということだと思います。そして、それは終わりのないプロセスです。
その意味では、「もうこれでいい/十分」と割り切ってしまっている教師は、早く退職した方が子どもたちのため、ということになります。そう周りから思われないようにするためにも、メンターを確保して成長し続けてください。
★★ 相手が学べていないと思えたら、即メンタリングの関係を解消した方がいいです。お互いにとって時間の無駄を避けられますから。公式な指導教員との関係の場合は、残念ながら解消するわけにはいかないので、我慢してください! (いや、黙って我慢しているよりは、教育委員会の担当者にその旨を伝えてみてください。教育委員会にとって自分たちがどれだけおかしなことをしているのか気づく機会になりますから。しかし、そのアクションを起こす前には自校の校長・教頭を含めて、少なくとも5人に必ず相談してください。)
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