2012年1月8日日曜日

学力テスト

学力テスト







PISA調査の結果から、「学力向上策」がさまざまな場面で語られるようになってかなりの時間が経過しました。




「週刊教育資料」によると、各県の議会においてこの問題が取り上げられている様子がわかります。ある県の議会での質問は次のようなものです。




「本県では、全国調査の厳しい結果を受け、小中学生の学力、体力の向上に向け、全国水準を目標とする緊急プラン、アクションプランを策定し対策をスタートさせた。・・・」







数年前の悉皆調査のときに、その結果がデータの一つとして、全国都道府県の順位という形で発表されました。これによって、中位以下の県は早急な対応に追われたことと思います。







私の勤務する学校がある自治体では、毎年、市独自の調査が実施され、年度末にはその結果を受けて、次年度の学校としての対応をホームページ上で公開することが義務付けられています。




ただ、これも学校評価のところですでに述べたように、年数を経ていくごとに、形式的なものになっています。テスト結果を分析することは簡単ですが、それを具体的に改善していくのはなかなか思うようにはいきません。




学校ごとにテストの正解率が公表されていますから、丹念にすべての学校の調査結果を調べていくと、そのテストでわかる範囲の学力の序列化はいとも簡単です。正解率が低い学校はさまざまな要因があって、そのようになっていると思いますが、保護者や地域住民はその物差しだけをもって学校の良し悪しを判断するところもあります。







以前に勤務した学校では指導法改善がかなり進んでも、なかなかこのテスト結果に反映されないということも経験しました。家庭学習の習慣化や保護者の関心の度合いなど、さまざまな要因があります。




所詮、現在の学力テストはペーパーテストなので、そこで測ることのできる学力は限定されたものです。したがって、もっと結果に関してはおおらかに受け止めてほしいものだと常々思います。







中学校の場合、どうしても高校受験という出口で評価されることになります。




私の住む県では、いまだに「県立志向」が強いので、どこの県立高校に何人、あるいはどのくらいの割合の生徒が合格したのかが、人々の話題になります。




そして、有名大学へ多くの合格者を送り込むのは男子校・女子校の男女別学の県立高校です。そのトップクラスの高校に入ることが一種のステータス化していた時期があまりにも長いので人々の意識がなかなか変わらないのだと思います。(時代はもっと先に行っているのに、といつも思います)




学力テストを利用してPDCAサイクルで指導法改善に努めるのも結構だと思いますが、それよりは子ども自身が自分の学習状況を自己評価できるような日々の取組のほうがはるかに大切だと考えています。そして、習得状況のよくない子どもが自分に不足している部分の学力を上げていくために、それを補充できるような機会を保障していくことが必要だと思います。




ただ、中学校では放課後には部活動があるので、その時間をどう作り出せばよいのかが難しいところです。現在勤務する学校では、月曜日を部活動休みの日としていますので、23年度から月曜日を「家庭学習の日」としてキャンペーンし、家庭学習のできるような学習教材を各学年で用意しています。これで、どのくらい家庭での学習時間が伸びたのか、12月の市の調査に付随している生活アンケート調査ではっきりすると思います。







また、習得状況のよくない子どもたちへの学力補充という観点から、コンピュータなどのIT機器をうまく活用していく方法をもっと本気になって考えていきたいと思います。

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