2012年1月5日木曜日

通知表 (=不易?)

新年おめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

 今年の抱負は、このブログ=メルマガを1年間続けることです。
 ぜひ一人でも多くの方の参加をお願いします。(参加があると、その分中身は確実によくなります。学校や組織単位のPLCも同じです。その例として、もう一つのブログのコメント欄をご覧ください。)

 あなたの今年の抱負は何ですか?

 昨年末の学校評価から引き続き「評価」について考えています。

 学校で使われている通知表を集めています。
 ★協力してくださる方は、ぜひpro.workshop@gmail.comへ送ってください。★
 もちろん、誰かについて書かれる前の、項目のみがわかるもので結構です。

 通知表に対しては、以下のような質問が浮かびました。
 答えていただいても結構ですし、他に質問を考えていただいても結構です。
 (ぜひ、下のコメント欄かpro.workshop@gmail.comにお願いします)

1) 通知表を書くために、先生たちはどのくらいの時間をかけていますか?
 1学期にクラス全員に費やす時間は?(教師によって様々だと思うのですが、平均で。)
 管理職は、どのくらいの時間を費やしていますか?

2) 中高では、小学校と違い、各教科の記号や数字が担任に渡され、担任はそれらを記入すると同時に、学級や行動の部分などの評価も書いて、最後に総合的な所見を書くという感じでしょうか?

3) いま使われている通知表は、私たちが小学生時代からもらっていた通知表とほとんど変わっていないと思いますが、その効果が証明されているからでしょうか? それとも、それ以外に考えられないから(=単なる習慣?)でしょうか? 通知表が、自分の学びを促進するのに貢献したという経験を私たちはもっているでしょうか? 

4) そもそも、通知表はいったい何のために存在するのでしょうか?

5) 通知表が存在することのプラス面とマイナス面をリストアップすると、それぞれどんな項目があがるでしょうか?

6) それを書いている先生たちは、それを受け取る生徒や親にいったい何を期待しているのでしょうか? それとも、何も期待していないでしょうか? 期待するものがあったとしたら、いまのままでそれが伝わるでしょうか?

7) ある意味では、学校評価と同じことがこの通知表(対生徒の評価)にも言えてしまうと思いませんか?

8) 「生徒を巻き込んだ評価」は、可能だと思われませんか? すでに実践されていますか? 「親を巻き込んだ評価」は?

6 件のコメント:

  1. ●2012年1月10日  某小学校M校長先生より

    別添のとおり、小学校高学年で使っている通知表をお送りします。

    質問についてですが、
    1) 先生たちの費やす時間は、学期末を中心に10時間程度になるのではないでしょうか。尤も、成績処理に関する事務は、学年末の「学習指導要録」作成に向けて必要ですし、成績処理を含めずに転記と所見等を書くのみであれば、もう少し少なくなるかもしれません。
    3)4)本校でもそうですが、「通知表」は「学習指導要録」に規定されてしまっているところがあり、「新しい学力観」以降の学習評価の在り方が学びを促進するかということになると思います。
     以前、近世以降の教育史の編纂をする機会があり、明治後期に小学校教育が普及すると、保護者会や通知表というものが一般に使われるようになったと記憶しています。家庭との連携をしないと、教育の実が上がらないからであり、家庭を啓発する意味でのものでした。学びの促進といった概念とは別物で、その位置づけは、今も脈々と受け継がれ、受け入れられていると思います。別な言い方をすれば、学びの促進という意味では、大きく期待されていないとも言えるのかもしれません。
    5)6)7)代替物なしでなくしてしまう訳にはいきませんし、個人に対する公的な評価はこれだけですし、成長の記録でもありますから、期待は一先ずおいても関心は高いと思います。評価の難しさは、それを結果ではなく手段として使おうとするときに生じる評価する主体は誰かという問題だという気がします。そのため、現状容認といった状態が続いていると思っています。だから、私も積極的にそこに手をつっこもうと思ったことは、ありません。


    ●2012年1月10日  吉田より

    お忙しい中の質問への答えと通知表の送付、ありがとうございました。

    「学習指導要録」のために書いているという部分が多分にあるということですが、様式は問われていないわけですから、「評定」ではなく、「よくするための手段」として(=成長の記録も含めた、成長を促すものとして)通知表を活用できるとは思われませんか?


    ●2012年1月11日  某小学校M校長先生より

    もちろん、その可能性はあると思います。
    そこまで、考えが及んでいないということなのですが、引き続き意識したいと思います。

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  2. 以下、某教育委員会のSさんとのやりとりです。


    ●2012年1月7日  某教育委員会のSさんより:

     今年もどうぞよろしくお願いします。
     本日は,ライフスキルプログラム修了者向けのフォローアップワークショップを開催しています。
     講師の先生は専属の先生をお呼びしているので,私はお世話係です。
     昨日と一昨日は,自前でワークショップをいたしました。
     グループ構成を考え,成果や課題,対策や取組を,KJ法,可視化,ワールドカフェ方式等活用しながら運営しました。
     途中エネジャイザーなども取り入れ,少しでも受講者の満足度を高めようと努力しました。
     講座自体の満足度はかなり高いものとなりましたので,私個人としては一応安心したのですが,
    研修全体の効果測定が7割程度に留まりました。
     やはり,先生がおっしゃるとおり,研修後のフォローが大切だと痛感しました。
     来年度は企画から考えることができますので,研修の構成を考えようと思っています。
     あと1年はどうしてもやらないといけない事業なんです。
     その時点で,やらされているんですが。

     「通知表」拝読いたしました。

    1) 通知表を書くために、先生たちはどのくらいの時間をかけていますか?
     1学期にクラス全員に費やす時間は?(教師によって様々だと思うのですが、平均で。)
     学期によって違いますが,所見には時間がかかります。20時間ぐらいでしょうか。最近はパソコンなので多少速くなりましたが。
     ちなみに私はもっと短時間でやっていました。ポートフォリオを活用すれば時間短縮できます。
     
    3) いま使われている通知表は、私たちが小学生時代からもらっていた通知表とほとんど変わっていないと思いますが・・・
     私が子どもの頃は5段階相対評価でしたが,最近は到達できたかどうかの絶対評価です。
     その子のことを考えて,個人内評価を加味することもあります。

    4) そもそも、通知表はいったい何のために存在するのでしょうか?
     子どもが自分の成長や頑張りを確認するための資料のひとつ。保護者と共に子どもの育ちについて話し合う資料。

    8) 「生徒を巻き込んだ評価」は、可能だと思われませんか? すでに実践されていますか? 「親を巻き込んだ評価」は?
     各校で実践されているのではないでしょうか。毎時間全ての教科では難しいと思いますが,一般的に相互評価や自己評価は
    日常的に行われています。作品や作文についてのおうちの方の評価欄を作ることもよくあります。
     評価基準を単元ごとに設定し,子どもに事前も知らせることもあるし,ルーブリックについても各校で研修していると思います。

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  3. ●2012年1月9日 吉田より

    先生方(少なくとも、Sさん)が努力されていることは、十分に伝わってきました。

    また、Sさんが書いてくれることで、さらにたくさんの疑問・質問が生み出されます。
    (そういうキャッチボールのやりとりが、これまでの研修には欠落しています。 
    おそらくそれが実現しない限り、生徒たちに還元されることは期待できないでしょう。
    人が変わるには/自分のものにするには、時間がかかりますから。
    『効果10倍の教える技術』の157ページの表3を参照してください。)

    研修全体の効果測定が7割程度に留まりました  ← 研修の目的は、受講者からいい評価を得ることではありません。受講者に実践してもらうことでもありません。生徒たちの学びの質を向上させることです。★
    『校長先生という仕事』のパート3の第5章、特に202~3ページを参照してください。日本で研修に従事している人たちがまだ知らない情報が載っています。 
    日本の研修のどれほどが、この目的のために、方法を選び抜いて行われているでしょうか? 
    授業も、研修のレベルで行われていると思いませんか?

    1) 20時間ぐらいでしょうか  →  これだけ費やす価値というか、効果はあると思いますか?
       ポートフォリオを活用すれば時間短縮できます。  → ポートフォリオは、Sさんが気軽に書くほど浸透していますか?  総合以外の教科で、ポートフォリオを使うという発想、先生たちは持っていますか? それとも学校訪問なので、最近は頻繁に目にしているのでしょうか? ぜひ教えてください。

    3) 最近は到達できたかどうかの絶対評価です。 → 到達しない子たちは、どうしますか?

    4)  保護者と共に子どもの育ちについて話し合う資料。  → 話し合うことが目的ですか?

    8)  ルーブリックについても各校で研修していると思います。  → 上の★が、まさにここでも起こっていませんか? 教師が研修を受けること、教師が実践すること、生徒が学びに活かすことの間には大きなギャップがあります。 また、ポートフォリオも、ルーブリックも、教科書をカバーする授業とは相容れないところがあります。 
    そもそも評価「基準」と評価「規準」の違いすら、理解できていない先生が残念ながらまだほとんどです。 
    それもこれも、指導案に問題があるわけですが・・・  指導主事訪問も、指導案がすべてのベースになっていませんか? その中に、ルーブリックを見かけたことありますか?

    昨日のテーマ「学力テスト」へのSさんの反応は??

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  4. ●2012年1月10日  某教育委員会・Sさんより

     さっそくのお便りうれしく拝見いたしました。

    研修全体の効果測定
     
     もちろん実践に活かしたかどうかの効果測定です。研修自体の評価ではありません。
     実践してなんぼ,と思っていますので。そういう意味で,やはりサポートが必要だと痛感した次第です。

    総合以外の教科で、ポートフォリオを使うという発想

     学習感想や自己評価等も含めたら結構普通に行われています。
     ノートに書いていたとしても,読み直して自分の振り返りに使っている授業例もよく見ます。

    到達しない子たちは?

     放課後や休み時間,長期休業で補充するか,小学校では基本的には授業の中で学び合いだったり,個別支援だったりで解消することが多いです。

    保護者と話し合うことが目的?

     目的は話し合ってその子の育て方や支援について共有し,連携することです。
     その子に合った方法を共に考える資料のひとつとして,連絡表は利用します。

    指導案に問題が・・・

     確かに,学校によって様々です。私が在籍していた学校は,直近2校とも,  
    「単元指導と評価基準」という項目を設けて,内容,観点,評価の視点,評価方法を一覧にしていました。
     また,指導主事として要請訪問に行く前には,研修担当と連絡を取り,その学校の年間研修計画等の資料も一緒に
    送ってもらったり,事後研修会の持ち方についても前もって協議したりしています。
     少しでも事後研が参加者全員の次の指導につながるよう心がけています。
     つながっていることを検証できない学校も多いですが・・・

    「学力テスト」の反応は?

     振舞わされている現状は否めません。はかれない学力のほうが大切な気がします。
     社会人として求められる学力(力)と入試で求められる学力のギャップを考えると,
    将来どんな大人になってほしいか,そのために今何ができるのか,何を身につけるといいのか,
    といった長期的な視野が必要だと思います。
     記憶力よりも思考力,応用力,想像(創造)力,表現力等の育成が必要とされるのであれば,
    ベースとなる人間力,周りの人と協働できる人間性の育成が急務でしょう。
     ただし,ペーパーテストでは,はかれないので難しいです。
     現場では,QUテストの結果なども活用はしていますが,
    ひとりひとりの子どもたちを見取る教師の力の育成のほうが大切だと思っています。
     そういう意味で,「学力テスト」対策は指導課に委ね,私の所属する教育支援課は,
    広い意味での教師力向上を目指して日々取り組んでいるところです。
     ICT活用も本課の担当ですので,どの子にもわかりやすい授業へのツールとしての
    ICT活用を推進しています。

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  5. ●2012年1月11日 吉田より

    早速の返信、ありがとうございます。

    Sさんとのやりとり、ブログのコメント欄に掲載してもいいですか?
    2人だけのものにしておくのは、もったいないです。

    一つだけ、研修全体の効果測定 について
       もちろん実践に活かしたかどうかの効果測定です
    → 前回のメールにも書きましたように、教師が実践することと、生徒に還元されること(生徒の学びの質が向上すること)とは、大分レベルが違うんです。 「教師が教えたこと(実践したこと)=子どもたちが学ぶこと」ではありませんから。 この違いをしっかり抑えないと、やりっぱなしの研修という意味では、大差はありません。

    ★ ポートフォリオやルーブリックについて、コメントのできる方はぜひお願いします。
    ちなみに、これらは両方とも教員の学び(研修法)としても、とても効果的です。
    教員が自ら体験していないことを、子どもたち相手に効果的にやるということはあまり期待できない気がします。 ★

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  6. ●2012年1月13日  某教育委員会・Sさんより

     若手教職員については,全員の授業を参観し,事後指導というかカウンセリングというかメンタリングというか時間を確保し,必要に応じてその後メールを送ったり電話をしたり声をかけたりはしています。
     子どもの学びにつながっているかの効果は,何人かは授業を再び参観したりするぐらいです。
     子どもに直接聞くことはほとんどありません。
     一応,各校のミドルリーダー教員が各校若手のメンターなのですが,なかなか余裕のないミドルリーダー教員も多いのが現状です。
     メンティがメンターを選べないのもよくないですよね。

     私が年間を通して関わっている小学校では,管理職を中心に校内研修のプラスアルファとして,若手塾みたいなことを始めました。
     若手が指導案を考え,ある一クラスを借りて交代で授業をするという取組をしました。
     本人たちも前向きであることが効を奏したのだと思いますが,少しずつ力をつけてきているように思います。
     やはり管理職がリーダーシップをとることが必要ですね。

     こうしたやり取りをしていただくことで,いろいろなことを考え直したり,もっとお話したくなったりしています。
     ブログの件につきましては,所属が特定できない形で紹介していただくことで,吉田さんのお役に立てるのでしたら「Sさん」でお願いします。
     直接ブログに書き込むほうがお役に立てるのかとも思いますが,申し訳ありません。

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