2026年10月4日日曜日

学校を家庭と地域による協働の場に

小学校のコミュニティースクールの運営協議会に参加しました。熱心な保護者、献身的に学校をサポートしている地域の皆さん、働き方改革やAIの導入など、大きな変革期の真っ只中にある教職員のみなさん。それぞれの立場で、学校を良くしたいと尽力してくれている姿に心動かされました。

その会議では、学校ボランティアの登録の是非が主要な議題でした。現状どうなっているか質問したところ、学校にお手伝いが必要となった時に、地域のリーダー的な人や民生委員さんなどに個別のお願いして声をかけていたそうです。常設の地域学校協働本部はあるようなのですが、結局、この組織も関わっている一部の熱心な人たちによって支えられているに過ぎないとのことでした。PTAも同様なようで、いつも役員をしてくれるごく一部の人が動いているというのが実態のようです。

そこで、より多くの人に関わってもらうために、学校ボランティアの登録制度をつくろうということになったようです。登録用紙の記載内容や声がけの方法などについて、様々な意見が出されました。

年配の方のためには、やはり紙ベースでの募集が欠かせない。保護者には一斉送信が可能なツールを使うことができそう。自ら応募してきた人は、本当に信頼に足る人なのか、どうやって確認するのか?という声も上がりました。知り合いの人を通じた、口コミが安心なのではないか。地域の年配の方の中には、学校というところはまだまだ敷居が高いと感じている人も多いとの意見もありました。その人の意見では、学校が閉ざしているというよりも、自分自身が子どもたちの成長や安全に関わって大丈夫なのか?という良心的な姿勢によるものでした。みなさん、それぞれの立場で、誠実に学校と向き合おうとしている姿が印象的でした。

学校を、地域と保護者による「協働の場」★1 に変えるていくために、何ができるのでしょうか。特効薬のようなものはなさそうですが、この会議での議論された中から、いくつか拾って考えてみたいと思います。


(1)学校からの情報を出すこと。学校のすばらしい実践、子どもたちの取り組み、驚くようなストーリー。人々を引きつけることのできる情報を、計画的に、途切れることなく出していくことが、まずは大切だと思います。その際、やはりデジタルとアナログの両方で出していくことが、まだまだ必要だと感じました。SNSなどで、間断なく情報を提供しつつ、紙ベース、口コミベースでも出していく。そのためには、広報的な役割を担う人を専任で置く必要があるかもしれません。PTAの広報部といえば、PTA便りを年に数回発行するのが役割の場合が多いかと思いますが、根本的に見直す必要があるかもしれません。学校の情報を人々に伝えるためにツールやチャンネルを複数用意して、人とのつながりをつくっていきたい。

(2)学校に関わってくれた人たちの声を拾い、それを伝えていくこと。民生委員さんの話によると、子どもたちのために、何かをしたいと考えている人はいるけれど、自信が持てなかったり、不安に感じて、飛び込めないと感じている人が、結構いるらしい。そのような人の背中を押して、学校に向かわせるには、やはり、実際に関わったことのある人の声が決め手になることが多そうです。子どもたちの成長に貢献するよろこび、自分の身につけたものが次の世代に若者に伝わっていくよろこび。それらをもっと多くの人に感じてもらいたい。関わってきた人たちのよろこびを伝えていく必要がある。

(3)保護者を巻き込む手立て。これが最重要な課題だと思います。親の意識改革を促す手立てと言っても良いかもしれません。家庭が、子どもたちの学習エンゲージメントの貴重なリソースであるというのは、様々な研究に裏付けられた原則だと言えます。学習者の家庭生活には、教室でのエンゲージメントに影響を与える実に様々な側面があります。★2 親が家で読書を楽しんでいたら、子どもたちも本を読むのが楽しいと思うようになるだろうというのは、直感的にも納得できます。これはあくまで経験則ですが、きちんと、理由を説明して、情熱をもって説得するば、立ち上がってくれる親は、予想以上にいます。あきらめず、伝え続けていくことが大切だと思います。その意味では、学校リーダーそして保護者リーダー(PTA役員)の人たちの、重要な役割は、仲間を説得し、巻き込むだと思います。そこにまず注力してほしい。


この日の連携協議会での校長の最後の挨拶が印象に残りました。「地域や家庭の積極的な関与なくしては、これからの学校は成り立っていかない」。率直かつ切実な叫びなのだと思いました。



★1 ジョー・サンフォリポ&トニー・シナシス(2021) 『学校のリーダーシップをハックするー変えるのはあなた』新評論, p. 93-94.

★2 サラ・マーサー/ゾルタン・ドルニュイ(2022)『外国語学習者のエンゲージメント』アルク, pp.33-35.

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