長いあいだ多くの組織は、「リーダーは一部の人だけ」という前提で動いてきた。役員や部長など、限られた人が方向を決めるという考え方である。しかし、環境が複雑になるいま、このやり方だけではもう足りない。
本来のリーダーシップとは、役職ではなく、周りの人との関わり方やふるまいのこと。影響力をもち、責任を引き受け、さまざまな背景をもつ人たちを共通の方向へ動かす力のこと。そしてその力は、組織のあらゆる場所に眠っている。
リーダーシップを「一部の人だけの特権」として扱うと、組織は自分たちの可能性を取りこぼしてしまう。顧客に一番近い人の気づき、現場で働く人の問題解決力、貢献したいと願う人のエネルギー──それらが活かされない。
これからの組織をつくるのは、少数のリーダーではなく、多様な“みんな”のリーダーシップを引き出せる組織である。
リーダーシップは肩書きではなく、ふるまいである。
本当に強い組織は、上層部だけが引っ張るのではなく、どの層でも「自分から動く」「考える」「協力する」「責任を引き受ける」といったリーダーシップの行動が育つ文化をつくっている。
「命令して管理する」やり方から、リーダーシップをみんなで担うものとして捉え、 多様性を受け入れ、心理的に安心できる文化へと転換すると、より多くの人が前に出て、主体的に動き、変化を定着させていく。
リーダーシップが「特別な人だけのもの」ではなく、誰にでも開かれたものだと感じられる職場では、人はより深く関わろうとする。自分が見られ、聞かれ、居場所があると感じられるとき、人はもっと力を注ぐ。自分の行動が組織や地域の未来を形づくっていると実感できるとき、人はより大胆に動く。そして、リーダーシップが「上から押しつけられるもの」ではなく、自分たちとともにつくるものだと信じられるとき、人は自然と同じ方向に向かっていく。★
広い層でつくる“変化の仲間づくり”の力
どんな成功した動きも、企業の内外を問わず、「自分より大きな目的」を信じる人たちの集まりから始まる。強い組織は、変化を支える仲間が 役員や権限をもつ人だけで成り立つわけではないことを理解している。むしろ、影響力や信頼をもち、周囲が「この人なら」と自然に耳を傾ける人たち──たとえ正式な権限がなくても、人が共感し、信頼し、ついていきたくなる人たちが欠かせない。
こうした声を早い段階から、しかも形だけでなく“本気で”巻き込むことで、動きは一気に加速する。納得感が自然に生まれ、抵抗も小さくなる。変化が「上からの指示」ではなく、みんなで取り組む使命として感じられるようになる。
そして、人は仲間がリーダーシップを発揮する姿を見ると、「自分もやってみよう」と心が動く。★その連鎖が、組織の変化を本物にしていく。★★
「より多くの人がリーダーシップを発揮する」=「より強い当事者意識と納得感が生まれる」
考え方はとても単純で、物ごとが“自分に対して”決められるのではなく、“自分と一緒に”決められていると感じられると、人は結果にもっと力を注ぐ。伝統的なリーダー像にとらわれず、より多くの人を意思決定や議論の場に招き入れた組織では、次のような変化が起こる。
● 変化の定着が速くなる 自分が解決の一部だと感じられると、人は変化を押し進める側に回る。
● 創造的な問題解決が増える 視点が広がることで、より深く、偏りのない解決策が生まれる。
● チームの結束が強まる 自分の声が届き、価値を認められていると感じる人は、より高いレベルで貢献する。
● 勢いが続く 変化が「一時的な取り組み」ではなく、文化として根づいていく。
これからのリーダーシップは、“みんなでつくるもの”になる。
いま求められているのは、素早く動き、工夫し、しなやかに立て直す力。今の世界では、硬直した上下関係にしがみつく組織は遅れをとる。リーダーシップを「組織全体に広がる動的なふるまい」として捉えられる組織こそ、変化の速さに追いつくだけでなく、むしろ流れをつくっていく。
これからの変化は、一部の人が密室で決めるものではない。多くの人の力を引き出し、みんなで前に進む動きをつくることが鍵になる。そうして初めて、変化は「上からの施策」ではなく、それを実行する人たち自身が動かす“本物の流れ”になる。★★★
人は「意味のあることの一部になりたい」と願っている。多様な人のリーダーシップを引き出すことは、単なる納得感づくりではなく、自分の居場所があり、力を発揮したいと思える文化をつくることにつながる。
組織が進化し続ける力を手に入れるのは、リーダーシップを希少な資源として囲い込むのではなく、みんなで分かち合う豊かな資源として育てるときである。誰もが「自分より大きなものに貢献できる」と感じられる環境こそ、持続的な成果を生み出す土台になる。
出典・https://www.kotterinc.com/unlocking-leadership-power-of-the-many/
★この段落に書かれていることは、エイジェンシー、オウナーシップ、エンパワーメントなどの考え方(捉え方、概念)を表現しています。それらがまだカタカナ言葉としてしか存在していないことを考えると、多くの日本の組織はこれらの概念が定着していないことを表していると言えます。
★★こちらは、Collective Efficacy(集合的効力感ないし推進力)あるいはShared Commitment(共有された覚悟)ないしDistributed
Ownership(分散した当事者意識)、さらには、transformational organization(変容し続ける組織)やtrue learning organization(学び続ける組織)になります。ウ~ン、全部カタカナ語ばかりだ!!
★★★文科省や教育委員会は、いつになったら、このことに気づけるのでしょうか?
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