神奈川県の山賀先生が、本を読んでのメモを送ってくれましたので、紹介します。
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職員室の先生方にこの本を紹介します。子どもたちに「学びを渡す」方法が分かります。一緒に読んでみませんか?
『「学びの責任」は誰にあるのかー「責任の移行モデル」で授業が変わる』(新評論)
1.段階的に責任を移行させる
子どもたちに任せる部分が少ない一斉授業中心の授業では、教師にほぼ100%責任があります。学習計画や目標、学び方、成果物、評価、これをすべて教師がやっている場合です。なるべく失敗させないように、手厚くフォローして、テストの点数を上げ「させる」というのが今までの教育です。
P5「効果的な教え方は、教師が段階的に自分のすることを減らし、生徒達が学習の責任をより多く担うように移行することである。生徒たちが段階的により多くの責任を担う。このプロセスによって有能で自立した学習者になって行くのである。」
「子どもに任せる」のは放任、丸投げではなく、段階的に子どもたちに学びを渡していくイメージです。最終的な目標は、学習内容の理解だけではなく、「自立した学習者」にすることです。そのためには、教師が責任を負っていてはいけないのです。
2.どうやって責任を移行させるか
3.それぞれの段階
①焦点を絞った指導
この段階では、授業の目的を設定することが含まれています。「学習内容」だけではなく、「言語」と「社会的な側面」の目標も含みます。何を学ぶか、どんな言葉を使うか、どんな社会的スキルを身に付けるか★、ということです。そして、子どもたちに実際に見本を示します。行動だけでなく、考え方の見本を見せる「考え聞かせ」をします。
通常、クラス全体に対して、15分以内で行います。
②教師がガイドする授業
ほとんど小グループに対して行います。(もうこの時点で一斉授業ではない。)形成的評価を基に編成された同じ目的をもった子どもたちが対象。そのグループに適した情報を、教師は周到に準備します。(いやー結構大変そう…。)
③協働学習
①②で学んだことをもとに、友だちと考えや情報について話し合ったり、ほかのメンバーと探究に取り組んだりします。すでに知っていることを応用する段階です。問題に立ち向かうことが協働学習の必要条件なので、順調に課題をこなしているときは、個別学習に取り組ませるほうがよい。
④個別学習
他人が提供した情報やアイディアに依存しないで、自分で学んでいける段階です。(こうなったら最強だなぁ。)①②が不十分のまま、もしくは、①②がないままに、個別学習に入ると、学びが起こらないし、定着しません。
4.個別学習における教師の役割
子どもたちが個別学習に取り組んでいる間、教師の役割は、子どもたちを継続的に観察して、フィードバックをすることです。フィードバックは個別学習の間に行われるもので、後に行われるものではありません。フィードバックの種類があります。
①課題についてのフィードバック(矯正のため)
子どもが間違ったときだけに効果がある。
②課題のなかのプロセスについてのフィードバック
子どもが使っている方法を分析させるという投げかけをするので、効果的。
③自己調整についてのフィードバック
生徒の自己効力感を活用する。「あなたが書いたこのレポートからは、一生懸命取り組んだことや学んだことが身に付いていることが伝わっていきます。」自己決定、粘り強さ、レジリエンスなどを伸ばすので、とても効果的。
④その人自身に対するフィードバック
「よくできました!」というただの誉め言葉。ほとんど意味がないどころか、逆効果。
(要約ここまで)
それぞれの段階でどういうことを心がけるか、どんな実践をすればいいかが書いてあります。ぜひ一緒に読みましょう!
5.考えたこと① 急にはできない!
何事にも急にはできません。私は、4月から少しずつ子どもに「学びを渡す」ことを続けていたので、3学期の今、自分たちで学ぶことがスムーズに自然にできるようになってきました。この段階を知っているだけで、教師の取り組みもかなり変わります。そして、「この段階は行きつ戻りつ」と書いてあったので、授業のねらいによって、どの段階にするかを考えることが大事だと思いました。
6.考えたこと② 教師の役割が変わる!
教師は、教室の前に立って教える役割は縮小されます。これからは、教室を歩き回って質問する役割になります。また、教材研究も変わりますね。教え方を一つに決めて考えるのではなく、それぞれの子どもたちに合わせて、様々な情報を集めておく必要があります★★。
出典: https://note.com/enchant_teacher/n/n8cd5bd71f38f
★ SELのことです。https://selnewsletter.
★★この点については、『教科書をハックする』が参考になります。
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