2023年10月1日日曜日

学校は開かれつつある?

ある町の小学校で、コミュニティー・スクール(学校運営協議会制度) ★1 の委員をしています。9月某日、今年度の第2回運営協議会があり、学校から中間報告がありました。

学校運営協議会の主な役割は、1)校長が作成する学校運営の基本方針を承認する 2)学校運営に関する意見を教育委員会又は校長に述べることができる 3)教職員の任用に関して、教育委員会規則に定める事項について、教育委員会に意見を述べることができるの3つです。学校と地域住民等が力を合わせて学校の運営に取り組むことが可能となる「地域とともにある学校」への転換を図るための有効な仕組みであると言われています。

委員になった当初は、形ばかりの会議が多かった印象なのですが、少しづつですが、学校そのものにも、運営協議会のメンバーにも変化が見られていると感じています。

学校からの報告の中で、印象に残った部分をあげます。

まず、学業成績に関する部分。学校全体としては、運営が上手くいっている学級も多く、全国学力テストでも、いくつかの学年で、良い結果を示しているとのことでした。しかし、学級運営で苦労し、成績も伸びていない学年もあるとのこと。

両者の違いが際立っていたので、質問しました。うまくいっている学年とそうでない学年、何か共通する要因はありますか?

教頭先生が即答しました。「データで明らかになった課題に、すぐに対応しようとする姿勢があること、そして、対応策を決めたら、学年全体で諦めずにやりきろうとするチームワークがすごい。」と、あまりに間髪を入れずに、返答されたので、あっけにとられてしまいました。日頃からそのような姿を幾度となく目撃しているんだろうと思いました。

自分たちの取り組みをきちんと評価し、それに応じた具体策を着実に、しかも、粘り強く、諦めずに実施できている学年が成果を出していることについて、他の委員からも、賞賛の声があがりました。「自分自身の取り組みにも役立つと思う。参考になった」とも述べています。学校が自らの取り組みを検証するサイクルができつつあることが積極的に評価された。校長をはじめ、学校側の参加者の満足そうな表情が印象的でした。

子どもの主体的な取り組みをもっと強化してほしい。これが、運営協議会のここ数年の要望事項でした。子どもの主体性を唱えつつも、結局は学校側がレール敷いていると思える取り組みが多かったからです。大人が与えるのではなく、子どもたちが選び、自分たちが決断し、実行していけるにならないだろうか?という問いかけでした。

今年から、代表委員会の活動に焦点を当てているとの説明がありました。この日の報告では、6年生の3名の子どもが提案者となって「学校にもってくる持ち物について考えよう」という話し合いの様子が報告されました。学校としては、すぐに成果がでなくても、気長に取り組んでいきたいと話していました。

この取り組みを測る指標として、学校評価の中の「みんなで何かをするのは楽しい」という設問を重視していきたいとのことでした。自分たちの取り組みの成果を測定する、具体的な数値も視野に入れているところがとても良いと感じました。

まだまだ、学校主導であるとは感じますし、運営協議会のメンバーも、特に、年配の方を中心に、学校に対する遠慮やリスペクトみたいなものがあるのは感じます。

しかし、ガッチリ閉じられていた学校の門が開き始めた実感はあります。

学校が出してくる自己評価、それに対する運営協議会からの意見やフィードバック。それを受けての学校による考察や議論。そして、新しい取り組みの実行。このサイクルが少しづつ回り始めているようです。★2


★1  コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)について

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/community/

★2  学校改善のためのマネジメントのサイクルとして、インパクト・サイクル(Impact Cycle)というものがあります。米国などで広がってきたインストラクショナル・コーチングで使われている言葉で、特定する(Indentify)、学習する(Learn)、改善する(Improve)の3つのサイクルです。専任のコーチが、教師にパートナーとして寄り添い、問いかけを通じて、教師の成長をサポートしていきます。日本の学校にも、教師をサポートするコーチングが必要になるのではないか。そのような問題意識から、現在、インストラクショナル・コーチングを紹介する本を準備中です。


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