今から4年前に出版された『教育のプロがすすめるイノベーション』(新評論)のなかに、「今日の教室で求められる八つの特徴」(同書261ページ)が紹介されていますが、その8つとは次の通りです。
①
声を発する・・・生徒は他者から学び、その学びを共有する
②
選択 ・・・生徒に選択を提供する
③ 振り返り ・・・すべての人(教師、管理職、生徒)は自分で学んでいることを書いて振り返る
④
イノベーションの機会・・・例)ユーチューブのビデオからホバークラフトをつくる
⑤
クリティカルな思考 ・・・見たものについて問いかけ、チャレンジする
⑥
問題発見・解決 ・・生徒に困難な挑戦を提供し、革新的な解決策を考えてもらう
⑦
自己評価・・・生徒が振り返りの方法を知っていること
⑧ ネットにつながった状態の学習・・・ソーシャルメディアやビデオ会議によって専門家を授業に招く
今回はこのなかの「②選択」について考えてみます。「選択」は人生においても、学校選択、職業選択など生きている限り、選択の連続かも知れません。
かつてこのブログでも紹介された『教育のプロがすすめる選択する学び』(新評論2019)の「まえがきXIII」に次のような一文があります。
「選択肢を提供することは、生徒が学校およびその後の人生で成功するために必要となる知識やスキルを身につける過程を教師が助ける方法として、極めて強力な手段なのです。」
「子どもに座ったまま何時間も低級な事務作業をやらせたなら、ソワソワしはじめてもおかしくはないでしょう」
では、まずどこから手をつけたらいいのでしょう。
そこで、このブログでもたびたび紹介されている『ようこそ、一人ひとりをいかす教室へ』(北大路書房2017)を参考にします。
同書22ページに「教師は、生徒の多様性のもとに、内容や方法や成果物を変える」という小項目があります。この多様性の一つが生徒の「レディネス」です。レディネスとは当該単元を学習し始める時点で、生徒がもっている特定の知識やスキルの状態のことです。このレディネスのちがいによって、充分な生徒とそうでない生徒と大きく2つに分けることができます。充分な生徒には、すでに修得しているスキルに関する知識や練習を省くことが可能であり、ある程度複雑でオープンエンドな学びが可能になる課題や成果物を求めることができます。反対に、充分でない生徒には、今までの学習で不充分な点を補充したり、個別の練習の機会をもったりすることなどが考えられます。また、それぞれの段階の中間に位置する生徒もいるでしょうから、4段階に分けることも考えられます。
次の課題は選択肢をどのように用意するかということです。
このとき参考になるのが、最初に紹介した『教育のプロがすすめる選択する学び』です。
同書の第5章「よい選択肢をつくりだす」にとてもよいヒントが書かれています。その小項目の一つに、「選択肢は、生徒のレディネスにマッチしていなければならない」があります。その柱は次の4つです。
・最初はゆっくり
・足場を築きながら選択肢を徐々に広げていく
・必要に応じて修正する
それをふまえたうえで、「選択肢をつくりだすプロセス」(同書189ページ)に取りかかればよいわけです。さらに、選択肢の具体例が知りたい方は『ようこそ、一人ひとりをいかす教室へ』(北大路書房2017)へ進まれるとよいと思います。
今の学校では、教材づくりをしたくても会議や行事が多く、勤務時間内では困難という声をよく聞きます。そのあたりのことも踏まえて考えていきます。
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