「校内研修=研究授業+授業研究」のスタイルがほとんどの学校で行われている研修で、しかも「全員参加の集合研修」が多いと思います。そこのところを少し見直してみてはどうでしょうか。
授業研究は若手の5年目教員あたりまでに必要な研修の一つだと考えます。授業の構想から当日の展開、そして振り返りという一連の流れです。
5年目以降の教員については、カリキュラムを作る、また単元の指導計画を構想するなどの内容がさらに重要になると思います。ただ、そのための研修は、何も学校全体でやる必要は全くありません。学年単位あるいは教科単位で充分にできるでしょう。そうすれば、参加者の都合に合わせて、随時開くことが可能ですから、いわゆる「働き方改革」にもつながります。
そこで、「カリキュラム・マネジメント」を実効性のあるものに変えていくためには、5年目以降の教員研修の主たる目標をここに据えてはどうでしょうか。
要するに、学校全体のパワーアップを図るには、一人ひとりの教員の力量をいかに高めるかに尽きるということです。それは授業研究だけでは決して身につくものではありません。
研修も他校と同じことをやり続けることがこの業界の常識だと思います。「新しいこと」への挑戦に対しては、あまり積極的ではありません。これは教育委員会にも全く同じことが当てはまります。
ちょうど2020年8月3日付『日本教育新聞』連載の「校長塾」(376回)に前・全日本中学校長会会長の川越豊彦氏が「校内集合研修の廃止」と書いているのを見つけました。
「教員を主体的な学習者にしよう」というねらいで、受け身の研修、研修のための研修という課題を克服するために、出した結論が「集合研修をやめる」ということでした。
すると、8月10日付の日本教育新聞連載の記事に続きがありました。
「学校の課題等を踏まえた共通の研修テーマは設定しました。そして、この研修テーマに基づいて、自己の課題とニーズ、今後のキャリア形成を考えて、教員一人一人が研修内容を決めて取り組む個別研修に切り替えました。」とあります。予算はこの学校を管轄する東京のある区教育委員会が独自で予算を付けた「校長裁量予算」を活用したようです。このような形で動き出している学校も現実にあるわけですから、集合研修の「研究授業・授業研究」スタイルをやめることは十分に実現可能なことです。
そこで、校内での小グループによる学びなどを新たな研修方法として取り入れてみてはどうでしょうか。これまでのやり方を少しだけ変えてみるのです。大幅に変えてはメンバーの抵抗感も大きいと思いますから、無理のないところから始めるのが現実的です。
そこで、読書から始めるのもよいと思います。今は、本を読む時間もないという先生方が多いようですが、教師が本を読まないで、授業ができるのが不思議なくらいです。「PLC便り」で紹介している本などは読書会で読むにふさわしい本ばかりです。それらをテキストに週1回でも「ブッククラブ」(読書会)を始めることは大きな意義があると思います。ブッククラブ以外にも、教師が自分の関心のあるテーマについて学び続けることが子どもたちの学びにもよい影響を与えるのは間違いありません。