『読書がさらに楽しくなるブッククラブ』の増刷に際して、4人の実践者に「自分にとってのブッククラブ」について書いてもらいました。http://wwletter.blogspot.com/2019/11/blog-post_8.html
で、すでに二人分は紹介したので、こちらでは残りの二人分を紹介します。教師にとっての優れた学びの方法であることを理解していただけると思います。(「継続性」と「自分にとっての意味(こだわり)」などがポイントです!)
●岸陽介さん――「学ぼう! 変わろう!」とする組織・チーム・個人にとって、もっともシンプルで効果的な方法
言うまでもなく、本の読み方は一人ひとり違います。同じ本を読み進めると、その本のどこにヒットして、何を思い、考えるかが人によってかなり違ってきます。もちろん、その本の同じところに多くの人がヒットすることもあります。だからと言って、同じことを思い、同じことを考えるのかというと、やはり違います。当然と言えば当然のことですが、その当然さを日常のコミュニケーションのなかでどれほど大事にしているかと言えば、意外と【なおざり】にしがちとなっているものです。
だから、「学ぼう! 変わろう!」とすると組織・チーム・個人でブッククラブを行うことに意味があると言えます。ブッククラブを行うと、組織・チーム・個人のコミュニケーションの現状が明らかになるんです。問題点もそうですが、それ以上に、個々人の興味関心のあり方や得意なこと、そして才能などが明らかになります。それらを組織・チーム・個人が受け入れることによって、どういう方向に向かっていったらよいかも自ずと明らかになってきます。
イベント的な研修会をただ単に繰り返すくらいならば、ブッククラブを繰り返し行う方が学びも多いし、変化も大きいと言えます。また、定期的に行われる形式だった飲み会よりも、継続的な読み会(ブッククラブ)のほうが圧倒的にコミュニケーションの質は高まります。さらに、その後に活かされる確率も格段に高くなります。何と言っても、【しらふ】でやり取りをしていますから。
●冨田明広さん――ブッククラブへの「かかわり方」と「学び方」
もう一人の冨田明広さん(小学校の先生)の文章は、その長さもあって、本の「まえがき」には含められなかったので、本文に入れました。ここでも、その一部しか紹介できません。「読書が自分の成長にとって欠かすことのできないものであること」を知っていても、忙しくて時間が取れない自分、そして他の教師に、ブッククラブをすすめてくれています。
冨田さんは、ブッククラブの効用を「かかわり方」「学び方」そして「仲間づくり」の3点から説明してくれています。
①
かかわることで人を知るブッククラブ
(ブッククラブでは)著者と自分、そして他の参加者の間で解釈の「ぶつかり合い」や「影響し合い」が生まれます。そうかと思うと、他の参加者が「仲介」や「橋渡し」をしてくれたり、「三つ巴」になったりすることもあります。著者と自分という二者間の対話では生じ得ない思考や動力が生まれるのです。
彼が特別支援級を担任していた時に、高学年の女子生徒と「ペア読書(ブッククラブのペア版)」をした時の経験も紹介してくれています。
本の内容はジェネレーションギャップのせいで(?)の連続でしたが、女子生徒の考え方や価値観には「なるほど!」と相槌を打つことができました。要するに、ブッククラブを通じてこの女子生徒とつながりをもつことができ、内面をうかがうことができたわけです。教育の現場において、これ以上の充実感はありません。ブッククラブは、一般的な読書よりも、相手とのかかわり方を高める一つのツールと言えます。
②
自分にムチを打ち、相手に学びを促すブッククラブ
まず選書ですが、ブッククラブの場合、一人ではなかなか読めないような分厚い本や、自分の嗜好ではなかなか手に取らないだろうという本などで行うと自らの学びを深めることにつながります...信頼できるメンバーに本を選んでもらうというのも面白いです。いずれにしろ、自分では手に取らないだろうなという本ほど新しい発見があるということです。
ブッククラブを行う場合、当然、計画を立てることになりますので、その日までに頑張って読み切ろうとするプレッシャーが高まります...(他のメンバー)がいることによって弱い自分にムチを打って、よい意味でのプレッシャー、つまり「ピア・プレッシャー」がかかることになるわけです。内容に対する反応においても同じです。「ちょっとかっこいいことを言いたい」とか「相手が、『おっ!』と思うようなことを言いたい」など、カッコつけたいという欲求のおかげで、分厚い本でも頑張って読んでいこうという意欲が湧くのです。たぶん、みなさんも同じでしょう。愚かな「よく思われたい」という人の欲求を、学びへの意欲に転用するということです。
「自分にムチを打つ」と表現するとスパルタ的な印象を与えてしまいますが、それは自分にかぎったことであり、相手に対して用いるときには逆の印象となり、学びを促すことになります。研修会などでブッククラブを活用してみるというのはいかがでしょうか。
一人の講師が全員に向かって熱弁しても、熱量が多すぎて参加者に煙たがられるものです。私自身、そういう雰囲気を好ましいものとは思っていません。そうではなくて、自分の言いたいことを表現してくれている本を通じて伝えていくのです。ブッククラブは、それを可能にする最高の方法なのです。
③ 長く、ゆるい関係をつくるブッククラブ
いくら仲がよくても、お互いに仕事をしているとなかなか会う機会がないものです。季節ごとに1回ブッククラブを計画すれば集まることができますし、元気な顔をお互いに見るとエネルギーをもらうこともできます...着飾ることがなく、緩みすぎないブッククラブによって選書もでき、学びの場としてもちょうどよい雰囲気がつくられ、本を読み続けていきたいという気持ちにさせてくれるのです。
そして最後は、以下のように結んでくれています。
ブッククラブを通じてかかわり合った仲間は、長くゆるくつながり、時には「支え」となる関係にもなります。ブッククラブという機会が、そのような空間をつくり出していると私は思っています。「どうしようか……」と思っているあなた、明日にでもはじめてください!
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本ブログを見て、今月はじめてブッククラブに参加してくれた方が、以下のコメントを書いてくれています。http://projectbetterschool.blogspot.com/2019/10/vs.html#comment-form
ブッククラブの振り返りのご紹介ありがとうございます.ブッククラブに参加していらエンパワーされっぱなしです.自分のなかでもやもやしていたことや眠っていたことが呼びこされ,元気づけられております.
返信削除私が参加しているブッククラブではZOOMとYoutubeを使うことによって空間と時間を飛び越えた読書会が行われております.メンバーの一人にはスイスから参加してくださっている方もおり,Think GLLOBAY ACT Globallyの活動が現在進行中です.ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんの表現を借りてそれを表すと,一冊の本の紹介者,一冊の本,一つの言葉,そして一つのブッククラブが「世界(私の中の小さな世界とグローバルな世界の両方)」を変えることができるのではないかと思っております