長田 弘さんという詩人が書いた「世界は一冊の本」という詩があります。
今年の前半の授業で、「教育方法論」を5クラス担当しているのですが、そのうちの2つは中高の教員免許を取るための必修科目になっています。そこでテキストに使っているのが「「読む力」はこうしてつける」(吉田新一郎・新評論)です。
その第7章「質問する」に、レッスン7「詩を使った質問づくりの練習」があります。ここで使う詩の例として「世界は一冊の本」が著者のおすすめとして紹介されています。
早速授業の中でもその詩を読みました。
学生たちから出された反応は?
「『200億光年のなかの小さな星』とは地球のことなのか?」
「『人生という本を、人は胸に抱いている』とはどういう意味なのだろうか?」
「『マヤの雨の神の閉じた二つの眼』とは一体どんなものなのだろう?」
「『黙って死んでゆくガゼルやヌーも本だ』とはどういうこと?」 など
様々な質問がありました。
この章のなかに、「Mosaic of Thought」からの引用として、質問の効用がいくつも紹介されています。
たとえば、「質問することで理解が広がる(深まる)ことが分かる。したがって、記憶にも残りやすくなる」とか、「質問には『浅い質問(表面的な・やせた・正解がある)』と『深い質問(深く考える・太った・正解がない)』の2種類があることがわかる」
これによって、よく学ぶには「質問する」ことがとても有効であることが実感を通して学生たちは納得できたようです。
また、「「考える力」はこうしてつける」(ジェニ・ウィルソン&レスリー・ウィング・ジャン/吉田新一郎訳・新評論)の「第5章・質問」も質問の種類、質問を効果的に使うことなど、さらに自問、自己評価についても学ぶことができます。ここまでくると、質問が学ぶことに深くかかわり、学校での授業の中核の一つであることがわかります。
私の担当する科目は教員免許取得に必須の科目なので、仕方なく受講している学生も多いと思います。しかし、ときどき授業後に「先生の授業が履修している科目の中で一番面白いし、ためになる」と声をかけてくれる学生がいます。
こんな声を聞くと、うれしくなります。
微々たる実践ですが、学生たちが「学びの原則」、「マルチ能力」「ほんものの評価」などの話を通して、これまでの暗記優位の20世紀型学力観から抜け出し、未だにそれらに固執している現状を変える力になってほしいと切に願います。
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