2014年6月15日日曜日

一対一の関係(カンファランス・アプローチ)



 『校長先生という仕事』を書くために、国の内外の校長先生たちの後を影のようにひたすら追いかけていた(シャドーイングという方法です)時に気づいたことがあります。

 日本の校長たちは、一対一での話し合いをもつことがほとんどなかったのに対して、海外の校長たちは、その機会を頻繁に持っていたことです。

 これは人間関係(さらには、組織づくり)のベースですから、日本の学校のほとんどが組織の体をなしてない★理由がわかってしまった気がしました。朝会や、長い時間を職員室で過ごすなど、表面的な(?)コミュニケーションはあるのですが、一歩踏み込んだレベルでのコミュニケーション(人間関係)は築けているようには思えないところが多いのです。言い換えると、それなりに授業や行事などの学校活動はつつがなくこなすレベルのコミュニケーションと人間関係はあるのですが、学校の核である子どもたちのよりよい学びを実現するための授業を改善し続けるためのコミュニケーションと人間関係が気づけているようには思えませんでした。
 それに対して、海外(オーストラリア、アメリカ、デンマーク)で後をつかせてもらった校長たちは、それをしていたのです。もちろん、全員が授業観察をして、そのフィードバックという形だけでやっていたわけではありません。多様な方法が可能です(『校長先生という仕事』、『「学び」で組織は成長する』、『効果10倍の学びの技法』などの新書本をご覧ください)。
 しかも、一対一の場では(日本では、たとえあったとしても、個人的なことなので退出を求められますが、海外ではそんなことは皆無で、校長と一緒に先生の話を聞いて、話に加わることというか、アドバイスまで求められたことすらあるぐらいです。極めてオープンなのです!!)、主な話し手は教師で、聞き手が校長という役回りなのです。関係を築くコツがわかっているな~、と感心させられました。日本の場合は、どうもポジション的に上の者が話してしまうのです。教師との場合は校長が、そして生徒との場合は教師が。親との場合も教師が??
 この辺にコミュニケーション、人間関係、そして組織づくりの鍵があるような気がしました。


★ 集団の中では、いくらでも「あたかもしっかりやっているように装えてしまう」のです。しかし、一対一の関係ではごまかしは効きません。ということは、一対一の関係を築こうとしないということは、最初から「ごまかそう」という選択をしているということ??

★★ 上で紹介した一対一のコミュニケーションは、これまでにこのブログで何度も紹介してきているライティング・ワークショップ(作家の時間)やリーディング・ワークショップ(読書家の時間)の中核をなしているカンファランス・アプローチそのものです。ですから、教師時代から授業で練習を積むことで、管理職になってから容易に教師たちとのやり取りが出来るようになることを意味します。

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