2024年12月15日日曜日

「○○先生だから」から「私たちの学校だから」へ

 学校組織の中で、「○○先生だから」というフレーズをよく耳にする。「○○先生の学級だから…」「それは○○先生がいたからできた話で…」そんな会話をよく耳にする。しかし、私はこの「○○先生だから」という言葉を「私たちの学校だから…」という言葉に変えていきたいと考えている。「○○先生がいるからできること」ではなく、「私たちの学校だからできること」という考え方や文化を根付かせていきたいのだ。これは今、私が学校の組織づくりの中で重要だと感じているメンター/メンティー・チームの仕組みや初任者指導に関することにおいても同じである。

 「先生は大学院で学ばれていたからこんなに知識があって実践ができるのですね。」その言葉は嬉しくないと言ったら、嘘になる。もちろん学んできた自負はあるし、実践も計画を立てて試行錯誤しながら取り組み続けてきた。しかし、私が目指すところは「○○学校にはこんなに素晴らしい実践が根付いている」と言われる日がくることである。そのためには私がはじめた実践が効果的で意味のあることだと、多くの教員に知ってもらい、私がいなくなっても続けようと考え、取り組み続けてもらうことが重要だ。

 今、私が取り組んでいるのが正にこのフェーズ。自分がこれまで取り組んできた手立てを深め、学校の風土として根付かせるための1年である。これまでの研修との違いは大きく分けて2つある。

1つ目は今まで3年間をかけて私が計画を立てて取り組んできたメンター/メンティー研修を、4年目から2年目の先生方でなるメンターたちに計画し実践してもらう点だ。自分たちが初任者だったときに経験したメンター/メンティー研修の良いところは取り入れ、逆にこんなことしてもらえたら嬉しかったと思うところは変える。そんな初任者であるメンティーに寄り添った研修を行ってもらう。

2つ目は私が第三者としてメンターとメンティーそれぞれへのフィードバックを行うという点だ。経験はしているとはいえ、研修の計画実践に慣れてはいないメンターたち。そのメンターたちがより自分たちが取り組みたい内容を実践できるように、研修後に毎回フィードバックを行う。何がうまくいって、逆に思い通りに進めることができなかったのか。よりメンティーである初任者のためになる手立てにはどんなものがあるのか。次回の研修に向けて問いを与えながら、メンターたちの思考を整理し、次への計画の手助けを行う。

この計画→実践→フィードバック→計画の習慣がよりよい研修時間の設定につながる。この経験を繰り返すことで、私がいなくなってもつぎの若手が中心となってメンター/メンティー研修を実施し、毎年よりよいものへアップデートされていく。正に学校の風土として根付いていくという訳だ。

 初任者であるメンティーたちとは初任者研修のための個々に課題設定をし、それに基づいた年間計画を立てて、毎回必ず振り返りを行っている。その中にメンター/メンティー研修も位置づけているので、個々に振り返りを行い、それに対して私がフィードバックをしている。その振り返りとフィードバックの内容をメンターたちにも共有することで、メンターたちの価値付けも行っている。メンターたちがメンティーである初任者のことを思い、計画してくれた研修のおかげで、どれだけメンティーである初任者たちが学びを得ているのか。学校の組織づくりにメンターたちがどれだけ寄与しているのかを実感させることができるようにするのも、今の私の務めである。

 いつか訪れる今の職場からの異動。異動したあとの楽しみの一つとして、このメンターチームの行末がある。私がここまで計画し、実践し、根付かせようと努力してきたことがどの程度、学校の風土として残るのか。よりよい風土となっていくのか。そんなワクワクを楽しみに、私は日々実践に邁進していく。

  *****

以上は、8月18日、9月21日、10月6日、11月17日と続いている、埼玉で教務主任/初任者校内指導教諭をしている田所昂先生の第5弾です。

0 件のコメント:

コメントを投稿