■初任者指導教員として、初任者へのかかわりの中で「大切にしてきたこと」は、以下のとおりでした。
1.「プラスのフィードバック・勇気づけ」を多くする。→ 「信頼関係」が生まれる。
2.授業中や学級の中で起こっている子どもたちの「事実(行動、発言・つぶやき・ノートに書いた内容、表情、態度etc.)」をしっかりと記録し、初任者本人に伝える。→ 初任者が「自己盲点」に気づく(自己理解、子ども理解の促進)。
3.「質問」を通して、本人の「気づき」を促す。
→「授業が、子ども主体の学習になっているか?」
「学習活動や学級活動が、子ども同士が協同して行うものになっているか?」
「教師が、子どもたち一人一人を尊重しているか?また、子どもたち同士が、
お互いを尊重しているか?」
4.本人が自分自身で考えるために必要な「情報提供」や「提案」、「選択肢」を示す。→ 情報提供:参考になる本やインターネット上の情報、研究会などを含めて
5.できる限り、本人の考えや希望・やりたいこと・やってみたいことを優先する。
6.一緒に考える。
7.モデルとして示す。→ 「マイクロ・ティーチング」のスタイルで行う。
8.辛抱強く待つ。決して、拙速に一方的に押し付けたりしない。
9.初任者が、気になることや困っていることの確認をし、相談相手になる。
(授業、学級経営・生徒指導、保護者や教職員との人間関係etc.)
10.積極的に校内の先生方に教えを請うたり、アドバイスやフィードバックをもらうことを推奨する。→ 初任者本人が、校内での「メンター」を見つける。
■これらの中で、私の自己評価が低かったのは、3番と10番に関する内容です。特に、教師として最も重要な使命である「授業を子ども主体の学習にすること」の実現が、不十分であったと反省しています。★
教科書をカバーする授業ではなく、子どもの問い(疑問や調べたいこと、知りたいこと、学びたいこと)を生かした授業を創造することについて、情報提供するだけでなく、実践を促す「フォローアップ」を丁寧に行いながら、もっともっとたくさん実践できるようにかかわる・サポートするべきだったと考えています。
例えば、国語の授業での『読書家の時間』や『作家の時間』の実践、理科の「課題選択学習」や「課題設定学習・課題研究」★★などの探究学習、生活科や総合的な学習の時間の「自分たちの地域の宝を見つけ、それを生かした取り組みを考え、発信する」実践、社会科の「歴史や地理の研究者になる学習」など、初任者にも実践できるものが、たくさんあります。
■さらに、初任者の教師としての成長という点で十分ではなかったと考えていることが、二つあります。
1.子どもたち一人一人の成長・発達促進という重大な使命を担っていることに対する「自覚」と「責任」をしっかりともつこと
2.「人に対する敬意(好奇心)」をもって、子どもたちや教職員、保護者、地域の人々にかかわること
週に2日半の勤務で、二人の初任者を担当していましたので、一人の初任者へかかわれるのは、1日と2時間ほどでした。その中で、初任者指導教員が一人で、初任者の教職に関するすべてのことについて、助言指導し育てていくことは不可能です。
初任者の人材育成は、当然、「校内指導教員」である教務主任、学年主任を中心とした学年職員、校長先生、教頭先生、年齢の近い20代・30代の先生たちなど、様々な校内ネットワークの中で、お互いが連携・協同して、学校全体で、あるいはチームとして行っていくべきものです。このことは、初任者に限ったことではありません。すべての教職員の人材育成に当てはまることだと思います。★★★
■つまり、初任者指導教員として、初任者を育てるための「校内ネットワーク」あるいは「チーム」を組織・機能させることができなかった点が、最も反省すべきことであり、今後改善すべき課題の中で最も重要なものであると考えています。このことは、初任者指導教員が集まる研修会・協議会での情報交換から考えて、多くの学校で当てはまることのように思えてなりません。
教師の学び(教員研修)のイノベーションを起こすために、初任者指導教員にも、学びのコーディネーター・イノベーターの役割を果たすことが求められているのではないでしょうか!!
★ 2016年8月21日のPLC便り「教師に「コーチ」という存在がいたら」の中で紹介されている「読み・書きの指導に特化したコーチが、どのような仕事をしているかを描いた本『Becoming a Literacy Leader, by Jennifer Allen、初版』のp.44に掲載されている「自分の学校でのPD=授業改善が成功した理由」は、初任者の授業実践をサポートするうえで、とても参考になります。
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