少し前に、大学生たちと会議について考える機会をもちました。テキストは「『学び』で組織は成長する」(吉田新一郎・光文社新書,2006)です。
彼らは私が考えていたほど、これまで会議をする機会が多くなかったようです。そのため、次のような文章を読んでもあまりピンとこなかったようです。(同書p.144)
某大学で教え始めるようになって15年近くになる西村さんは、かなりの時
間を会議に費やしている。 教授会をはじめ、学内の会議がいろいろとある
だけでなく、役所等の委員会の委員にもなっているので、会議のない日は少
ないくらいである。
しかし、振り返ってみると出席してよかったと思える会議はそんなには 多くはない。もっと正確に言えば、「時間の無駄」と思えるような会議や
「腹の立つ」会議が多い。
その理由を考えてみると、次のようなものが挙げられる。
・会議の目的が明確になっていない。
・単なる伝達・報告が多すぎる。
・いつも発言する人が決まっている。
・司会や担当者の発言に偏り、反対意見や異なる視点の意見が出にくい。
・職場の人間関係があるので、言いたいことが言えない。
・皆で決めたことが、最終的に一人(ないしは一部)の人の意見ですりかわ
る。
る。
・意思決定の方法がはっきりしない。
・合意が形成されたのかの確認がされず、なかなか実行されない。
ここに書かれた理由については、多くの学生がわりと理解できると発言していましたので、そんな会議を経験してきたのだろうと思います。この問題の解決策として、この本では次のように書かれています。
最初にしたことは、会議の終了時に三分間の時間を確保して、出席者に会議の印象を何でも書いてもらうことだった(無記名で)。出された意見の多くは、さきほどのリストに挙げられたようなことだった。
出席者の問題意識は共有されていることが確認できたので、次にしたことは座り方を工夫することであった。会議と言えば、ロの字型に座るものと決まっているが、参考にした本によると、この座り方は必ずしもよくないと書いてあったからである。3~4人ずつのグループになるように座ってみた。このグループでの話し合いと、全体での話し合いをうまく織りなして進めていくと、先にリストアップした会議の課題の半分くらいが解消してしまった。
会議のときの座席の取り方も、「そういえば、ロの字型が当たり前に考えていたけれど、それ以外の形もあるんだね」と新しい発見をした学生もいました。学校には様々な会議があると思いますが、それをどれだけ効率のよいものにできるか、そんなところから学校改善を始めてもよいかもしれません。学校では当たり前の習慣になっているものを、一度見直して、時代遅れのものはなるべく早く変えていけるといいと思います。そのときの「変化の原則」についても、「効果10倍の教える技術」(吉田新一郎・PHP新書,2006)で確認しておくとよいでしょう。無駄を省くためにも必要なことがすっきりとわかります。
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