確かに、この問題が6割もの新入社員ができないことは由々しきことですが、その原因および改善を、「ゆとり教育で希薄化した初等教育の充実を図る」「授業にディベートを採用し、コミュニケーション能力を養う」ことなどに求めるというのも由々しきことです。まったく教育・学校の実態を把握しないでの提案という意味で。
なお、記事には、基礎学力の低下のほかにも、「中経連が会員企業に行った調査によると、企業が学生に求める能力と、実際の能力に差が広がっている。企業が採用の際に重視する能力は「コミュニケーション」がトップの87%。一方、学生に低下を感じるのもコミュニケーションが59%と最も多かった。
こうしたギャップから、特に中小企業で、若手社員の離職につながるケースが増えている」と書いてあり、それが、2つの目の提案の「授業にディベートを採用し、コミュニケーション能力を養う」につながっているようです。この短絡さというか、経営者たちの勉強不足ははなはだしいです。ディベート力を磨けば、本当に離職率が下がると思っているのでしょうか?
これも、メディアが歪曲して報道しているのではないかと思い、当事者である中経連に連絡をして聞いてみました。早速、全報告書がネットで見られることを教えてくれました。
引用された部分は、26~27ページの部分です。
あなたは、それを見て十分な提言だと思いますか? 何が足りないですか?
私の印象は、「ほとんど90年代の経団連や経済同友会のレベルのもの」です。
これでは、なす術を持っていない文科省や教育委員会にインパクトを与えることはできません。ということは、今やられている問題の多い実態が継続されることを意味します。
学校は教育界の中だけでは、悪くは変わりこそすれ、なかなかよく変わるメカニズムがありません。(上から押し付けられるものでは、現場は悪くはなっても、良くなることは期待できませんから。それは、これまでの長い歴史が証明していることではないでしょうか?)学校現場レベルの取り組みを教委や文科省がサポートするメカニズムを構築しないといけないのですが、そういう方向には動いていきません。
その意味で、第三者というか「黒船」というか「外部の圧力」★は不可欠だと思うのですが、その圧力も残念ながら機能していません。
★ 「圧力」という言葉よりも、「学校支援・教師支援」といった方がいいかもしれません。具体的には、情報量が決定的に欠落しているのですから、それを提供することを手始めに。もちろん、お金や人事等の問題もありますが、何をすることがいいことなのかの情報が普及すれば、お金はなくともかなりのことはやれてしまいます。 しかし、何をどうすることがよりよい効果をもたらすことができるのかわからない状態では、無駄な努力やマイナスの効果を生むような努力が続くだけです。 それは何としても止めなくては!! それは文科省や教委に期待できないとすれば、いったいどこに期待すればいいのでしょうか?
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