私の周りでも、教員をやめたいとなげく人が増えてきたように感じます。日常的な職場や上司へのぐちといったレベルではなく、真剣に職を辞したいというのです。私の家族に、中学校の教員がいますが、4月から今までに、すでに講師が一人やめ、退職を考え始めた教諭も複数人いるらしいのです。
教員を志す学生も減っているようです。教員採用試験の志願倍率も驚くような低い数字に留まっているようですし、文部科学省も「教師不足に関する実態調査(令和4年1月31日公表)」★1 をやらざるを得なくなっています。教員確保のために、涙ぐましい努力を続ける地方自治体について、マスコミなどで報じられない日はないほどです。★2
教員の働き方改革はここ数年の大きなトピックです。部活動のあり方も大きな問題として取り上げられていますし、教員の待遇、特に、給与制度のあり方についても、やっと本格的に議論が始まったところです。残業代支給なのか、教職調整額のアップか、手当増かといった問題です。現状の問題解決のために、いろいろな選択肢があがってきてますが、果たして根本的な解決策は出てくるのでしょうか。
ある現職教員が、ブログで教員をやめようと思った理由をあげています。★3
・自分のやりたいことに十分時間をとることができないから
・時間外勤務が長すぎるから
・給料の仕組みに不満があるから
・教員でない選択肢も見えてきたから
現在の学校という職場や働き方への不満や疑問だけでなく、すでに他の選択肢を視野に入れている点が、やや気になります。私のような古いタイプの人間には、教職を志したら、生涯教育に身を捧ぐといった考え方が染み付いているのかもしれません。
この問題への特効薬は、そう簡単に見つかりそうにはありません。また、大きな制度改革が終わるまで、じっと待ちますか?
いや、まずは、自分たちができることから始めるしかないと思います。
まずすべきことは、アンラーン(unlearn)することではないかと思います。
アンラーンという言葉を、柳川範之さんがとても分かりやすく説明してくれています。★4
「「アンラーンを分かりやすく言い換えるとすれば「これまでに身につけた思考のクセを取り除く」です。「思考のクセ」というのは、環境に適応してパターン化した思考のことです。」
パターン化された思考のくせが柔軟が発想を妨げるといった事例は、特に、学校の場合、顕著ではないかと思います。子どもたちのことを考えて、リスクを取ることに躊躇しがちです。学校教育が、保守的になりがちなのは、当然といえば当然なのかもしれません。
それが積み重なって、やることが増えすぎで、もう学校は完全に「機能不全」に陥ってしまっているかのようです。
このままでは、学校は大変なことになってします。みなさんは、どこからアンラーンを始めますか?★5
★1 https://www.mext.go.jp/content/20220128-mxt_kyoikujinzai01-000020293-1.pdf
★2 「「教員不足」でピンチ!名古屋市で初めての事態 公立学校の教員が配置基準を15人下回る 「ペーパーティーチャー」を現場に呼び戻せるか」
https://news.yahoo.co.jp/articles/4e23ce35ae0ce2fad7ed9705f7e8473c7c7be69d など多数
★3 「教員をやめたいと思った理由【現役教師が語る、ブラックな職場・闇】」https://nottiyblog.com/my-reason-of-retire/
★4 柳川範之「新しい学びの技術「アンラーン」が、今こそ必要な理由」 https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00424/011700001/
★5 教師の学びは、校内研修や学校外での研修など様々な形があります、従来の学び方を「上書き」することが中心で、学んできたことをアンラーンすることにはほとんど貢献していません。アンラーンに貢献するのが、一連の教育ハックシリーズです。興味ある一冊を手にとって、みなさんのアンラーンの取り組みをスタートさせませんか。
https://www.shinhyoron.co.jp/wp/wp-content/uploads/20211108-books_that_create_new_lessons.pdf
2021年冬以降の本は、 https://www.hanmoto.com/bd/
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