前回のテーマのフィードバックの主な(負の?)媒体として位置づけられている成績表と学力テストが今回のテーマです。
年度末で、ここ2~3週間は成績をつける仕事で忙しかったのではないでしょうか(さらに、今日は休日なのに、指導要録を書くために登校している方もいるのでは)?
いったいこの成績づけ(成績表)にどれだけのフィードバック機能があるか、考えたことはありますか? 誰にとっての? もちろん、子どもたちや生徒たちです。そして忘れてはならないのは、教師にとってです。
よくよく考えると皆無に等しいのではないでしょうか?
建前的には、
○よい成績は子どもにとって喜び・意欲・自信になる
○悪い成績だと課題が分かり奮起することにつながる
○教師は子どもの様子を改めてよく(客観的に)見ることになる
○親や管理職への説明責任を果たせる
○悪い成績だと課題が分かり奮起することにつながる
○教師は子どもの様子を改めてよく(客観的に)見ることになる
○親や管理職への説明責任を果たせる
などがあがると思いますが、これらはいずれも「建前」です。(というか、単に「習慣」として言われているだけのこと。)学校以外では通じません。
圧倒的多数の子は、上の2つを体験しませんし、下の2つは教師の「なぐさめ」にすぎません。
成績をつけることのマイナス面をあげると、建前的なものではなく、切実なもののオンパレードになりますので、ぜひやってみてください。10個ぐらいはすぐあがるはずです。そして、総括的評価である成績では対処できない問題ばかりです。
なら、いったい無駄な時間とエネルギーをなぜ使い続けているのでしょうか?
なんとかしないと・・・・
一番いい方法は、授業の中に教師と子どもとの個別の対話(カンファランス)をふんだんにする、です。(他の形成的評価=学びのための評価なら何でもいいのですが。★)そうしたら、学期末や学年末までフィードバックを待つ必要はありません。ふんだんに学期中に行われるので、子どもの学びも、教師の教え方も日々改善され続けます。これほど単純な方法はありません。
もう一つの無駄な時間とお金を使っているのが学力テストです。
<メルマガからのつづき>
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現場では、小6と中3の担任しか関係ないかもしれませんが・・・
文科省が全国学力テストをしている理由は、建前的に、
① 学力向上
② 説明責任
という2つの名目があげられています。
そして、
③ 授業の改善というか教師の指導力向上も、です。
でも、本音の部分は単純に、
④ 全国を比較した情報を把握しておきたい
ということではないかと思います。(何のために、というのは二の次で。)
さらには
⑤ 学力向上のために政治家と官僚は努力しています、
というジェスチャーをマスコミ/国民に見せたいというのが、最大の目的ではないでしょうか?
① そもそも、テストで学力は向上するでしょうか? しかも、今のやり方で?(要するには、イベント以外の何物でもない!)それは、年に一回(確か、4月末)、小六と中三を対象に実施される。その結果が戻ってくるのは、9月か10月。これで、子どもたちも教師もどうやって誤答に対応することも含めて、テストを受けた子どもたちに何らかのフォローアップ/フィードバックが行われるというのでしょうか? たとえ、それをしたとしても、本当に、学力の向上につながるでしょうか?
次年度の教え方の改善に生かされる可能性は? でも、誰の次年度の教え方に反映されるというのでしょうか??
② 確かに、共通のテストをして比較のできる結果が出て、それを公表すれば一見「説明責任」は果たしているかのように見えますが、いったい何の説明責任と言えるのでしょうか?
「 アカウンタビリティ」の本来の意味が、お分かりないようです。「結果責任」です。「説明責任」ではありません!
③ 教師たちは、テストを使って(結果を踏まえて)自分たちの授業や指導力の向上に本当に活かすことができるのでしょうか? (①のような条件の下で)それを実現することは可能でしょうか?
⑥として、表には出せない隠れた目的は、能力不足の教師(や能力のない学校経営者である校長)の排除にあったのかもしれません。それを子どもたちのテストの点数という極めてわかりやすい形で表すことによって。
もし、①~③が達成されていない=フィードバック機能がないなら、文科省は税金を使って、単にベネッセなどのテスト業者を儲けさせているだけ、ということになります。
子どもたちの学ぶ時間も取り上げています。 そんなことが続いていいのでしょうか?
◆
そういえば、フィードバック、サポート、コミュニケーションということで、一番下手というか、やれていないのは、文科省であり、教育委員会であり、管理職かもしれません。どうも、自分はメッセージを発信する立場だと思い込んでいる節があります。本当は、いいフィードバック、サポート、コミュニケーションをモデルで示していかないといけない立場にあるのに。ほとんど、モデルを示す存在がいないのですから、よくやれるようにはなかなかなりません。そういえば、大学の教授と学生の関係も同じですね。
研修も。本来、いいフィードバック、サポート、コミュニケーションを練習する場であるはずなのに。
★ 詳しくは『テストだけでは測れない!』を参考にしてください。そのために書かれた本ですから。
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