2013年6月2日日曜日

動かない学校を中から変える!

学校が変らないという状況は、日本もアメリカも変りません。
それに焦点を当てて書かれた本が、School Reform From the Inside Out というタイトルの本です。
著者のリチャード・エルモアという人が書いたものは、彼これ20年近く読み続けています。いい内容を書き続けている人です。
下のコメントはその日本語訳を出した出版社に送ったものを、そのまま貼り付けたものです。

もし、本を読まれたいのであれば、英語で読むことをオススメします。
訳がひどいので、何を言いたいのか勘ぐるのが大変だと思います。

でも、内容的には、大切なことのオンパレードです。
それがまったくといっていいほど伝わらない形で出版されたことが、もったいないのです。

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School Reform From the Inside Out(訳本タイトル:現代アメリカの学校改革)

今の日本の教育に必要な本を選んで、訳されたのは出版社として英断だったと思います。

しかし、日本語タイトルや翻訳が、この本を読む必要のある人たちに届く形になっていないのが、とても残念でした。

「思考停止」が恒常化している(と同時に、本を読まないことが恒常化している。その責任のいったんはいい本を出せない出版社にもあるのですが)教育界において★、いい内容の本は選んで、直訳的に出すだけでは、せっかくのメッセージが届きません。

一つの事例をあげます。
71~4ページで紹介されていることは、とてつもなく重要なことなのですが、「分布的リーダーシップ」★★などと訳したら、何がなんだかわかりませんし、それぞれの項目のタイトルも、その中身も読み手が自分にも関係すること、として提示されていません。
従って、まったく意味のあることとして紹介されていない/翻訳されていない、としかいいようがないのです。
(この「5つの原則」を読んで、その大切さが認識でき、かつそれを実行できる読者は、何人ぐらいいると思われますか? 日本中の教育関係者ができるようにならない限り、日本の教育は改善していかないのに、です。★★★)

もう一つ。
5ページの下の「国語と数学の特別な教育実践に焦点化し、これらの実践を促進発展させるように設計された仕組みと実践を具体化した改ざんモデルであった。教授内容と教育方法に焦点化することが中心的で不変的であり、組織や管理の仕組みと活動は手段で可変的である」を読んでも、何のことかわかる人は、いないと思います。
これも、上の例と同じレベルで、とてつもなく大切なことなのですが、もっとわかりやすく説明するなり、具体的な例を示してあげないと。★★★★

本の半分を占めているアカウンタビリティも、自分ごととして読める読者は果たして何人いるか?

いい本なのに、伝え方が下手なので、伝わらない。
ということは、この本を出した価値は、いったい何なのか、と考えさせられてしまいました。


    <メルマガからの続き>


★ 「思考停止」と本を読まないことが恒常化している原因は何だと思われますか?

★★ distributed leadershipは、「分散的リーダーシップ」の方が理解しやすいと思います。

★★★ 私が訳すと、次のようになります。
71 分散型リーダーシップ・モデルの基礎となる5つの原理

1.リーダーシップの目的は、その立場の如何にかかわらず、授業改善を行い続けることである。
2.授業改善は、持続的な学習を必要とする。
3.学習は、モデルが最も効果的である。
4.リーダーシップは、組織の公式の命令ではなく、学習と改善に必要とされる専門性からもたらされる。
5.アカウンタビリティは、相互補完関係によってのみ実現される ~ もし私の役割に与えられた公式の権限が、ある行動または結果についての責任をあなたに負わせることを求めたならば、あなたにやるように求めた事柄を遂行する能力(知識やスキル)をあなたがもてるようにすることを私が保障するという、平等で補完的な責任を私は負うことになる。

 ※ちなみに、アカウンタビリティは「説明責任」ではありません。
  「結果責任」です。

★★★★ 自分が訳している内容を理解していない人が訳すと、こんなことになってしまう、という典型的な例です。訳している人が理解していないのですから、その訳文を読む読者が理解できるはずはありません。

 ここに書かれていることは、これまでにもこのメルマガで何回か紹介してきた読み・書きの新しいモデルとしてのリーディング・ワークショップやライティング・ワークショップ、およびそれを算数・数学、理科、社会に応用したもののことです。ちなみに、そのモデルは学校経営や会社経営にまで応用できてしまいます。それほどの価値がありますから、ぜひご一読を!!


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