https://projectbetterschool.blogspot.com/2015/03/blog-post.html にある表の一番右側に、responsive teachingと書かれています。そこでは「(個々の)生徒のニーズに対応した教え方」と訳していますが、より具体的には「教師は、あらかじめ決めた授業計画を一方的に進めるのではなく、一人ひとり生徒の理解度・誤解・関心・感情のサインを読み取り(=見取り)、それに即して教え方を調整する姿勢であり、教え方」です。文科省が目指しているのも、こういう教え方でしょうか?
「responsive
teaching」には、次のような要素が含まれます。
- 生徒の理解に耳を傾ける ~ 生徒がどう考えているか、どんな誤解をしているかをつかむ。(見取りと子ども理解)
- 即時の調整 ~ 生徒の発言や表情、活動の様子から判断して、説明の仕方や問いかけを柔軟に変える。(見取りと子ども理解をベースにした教え方)
- 学びを深めるサポート ~ 生徒の「今の考え」をそのまま否定するのではなく、そこから一歩先に進めるような問いかけをする。ZPD(https://projectbetterschool.blogspot.com/search?q=ZPD)を踏まえた教え方!
- 個の違いへの配慮 ~ 生徒の背景、興味、学習スタイル等に合わせて対応する。(『ようこそ、一人ひとりをいかす教室へ』を参照)
要するには、見取りと個々の違いを踏まえた教え方ということです。その際、大事にされるのは、
・ 信頼関係を重視 ~ 生徒が安心して自分の考えを出せるように、尊重する姿勢をもち続ける。(これが、すべてのベース!)
・ 多様な学び方を用意する ~ 読む・聞く・話す・書くなど複数の方法でアプローチして、生徒の強みを活かす。(これだけでなく、『ようこそ、一人ひとりをいかす教室へ』『「居場所」がある学級・学校づくり』(特に、第6章、第7章)で紹介されている教え方)
Responsive Teachingということで、次の図を見つけました。
この図の特徴は、Responsive
Teachingをサイクルとして捉えていることと、OLM=Optimal
Learning Modelとイコールなものとして捉えていることが挙げられます。OLMは、『Reading
Essential』と『Writing
Essential』の本のなかで基本に据えている教え方です。それは、Regie Routmanという著者流のリーディング・ワークショップとライティング・ワークショップの運営の仕方とも言えます。
サイクルは、教師が子どもたちにしてほしいことを実際にして見せる(モデルで示す)ところから始まります。
2番目は、一緒に試してみる段階です。ここには、
- 一緒に試してみる
-アイディアを出し合い、質問する
-対話を通して支える
- 示されたことや話されたことを掲示物の形でまとめる、などが含まれます。
3番目は、リーディング・ワークショップのときに行われるガイド読み、ないしそれの応用版の実践です。つまり、数人の生徒が教師のサポートと適切なフィードバックを受けながら練習をする段階です。
4番目は、個別に練習する機会です。ここでは、各自が自立した学び手になるための練習が行われます。
そして最後が、ふり返りと祝いで、学びの成果を確認し、共に喜ぶ/祝う段階です。
以上は、ライティング・ワークショップやリーディング・ワークショップおよび『「学びの責任」は誰にあるのか』で紹介されている「責任の移行モデル」(https://projectbetterschool.blogspot.com/2017/11/blog-post_19.html)を知っている方にはなじみのあるサイクルと言えるのではないでしょうか?
同じレベルで大切なのは、その外側に書かれてあることです(右上から順に)。
①全過程を通じて、継続的に評価し(見取り)、必要に応じて修正する。
②生徒の強み、努力、次のステップに気づき、言葉にする。
③ 生徒による自己チェックと、自立した学び手になることを重視する。
以上説明してきたことが、「指導と評価の一体化」の理想のあり方に近いのではないでしょうか? 文科省でそれを言い始めた人たちも、そのようなイメージをもっていたのでしょうか?
①~③は、まさに教師が見取りをし続けることを意味するだけでなく、生徒一人ひとりが自立した学び手になることが目的ならば、生徒が自己チェック(=自分見取り→フィードバック→自己修正・改善)できるようになる必要もあります。それは、教師がいつまでも頑張って教えていたり、頑張って評価をしていたりする限りは実現しません!
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