2022年3月20日日曜日

先生同士で「学年開き」をやろう

いよいよ学年末。私たち教師にとっては一年間の成果と達成感、そしていくばくかの反省とともに子どもたちとの別れを惜しむといったそんな季節。そして、来年度の人事も気になるところ。どの学年、どんな同僚と学年を組むのか、噂話を耳にしはじめる季節でもあります。今が一番、期待に燃え「来年こそは!」と思いを新たにできる時期ではないでしょうか。

 

しかし、新年度の学年主任がとても管理的で、「やりたいと思っていたワークショップ授業の実践にブレーキがかかりそう」「学年なんでもそろえないと怒られそう」「いっそのこと、こっそりやってしまおうか?」 と、不安は尽きません。しかし問題の多くは、コミュニケーション不足だったりします。事前のちょっとした確認不足が誤解を生んでしまい、せっかく思いをもってよく学び、取り組もうとしていることなのに、同僚に否定されてしまうことだってあります。

 

新しい学年が発表された時、お互いどんな教師なのかはまだ分かっていないことがほとんどです。まずは先生たち同士が、気軽に話し合える関係性を築くことから始めてみませんか。学年内の心理的負担を減らすためにも、学年の先生を理解し、そして理解され、学年の先生と一緒に取り組めるための協力関係を耕すことです。何より、わかってくれる人が身近にいることが実践を続ける中で一番の励みとなるはずです。

 

 

 

そこで、新学期に向けて「学年開き」をしかけてみましょう。子どもたちとではありません。まず、先生同士の学年開きからです。自分は何者なのか、学年として子どもたちをどんなふうに育てていきたいのか、そんな思いを共有することから始めましょう。始業式が始まる前までに、学年内で1時間ほど時間をつくり、お互いの自己紹介から始めます。新学期の準備期間は様々なやるべき事は多いのですが、その多くは学期が始まってからでも可能です。今、学年団に必要なことは、お互いを知り、わかり合うことです。

 

ウォーミングアップにおすすめのテーマは、「その担当する学年だった子どもの頃の自分」です。誰にもある若かりし頃。その当時を思い出し、自分を少しだけ開いてみる経験をしてみます。当時の自分がどんなことを考えていたり、どんなことを夢中だったのか、それをもとに今度、出会う子どもたちとは、どんなことを大事にしたいのか改めて考え直すきっかけをつくります。もちろん話したくないことは自己選択することを事前に確認しておきましょう。そういう安心感の中で対話をする文化をまずは学年内に築き上げていきます。

 

実際に小学校時代の思い出の一品を用意して話し合うと実に面白いものです。ベテランな先生ほど、「まさか○○先生がその漢字ドリルでそんなことをしていたなんて!」といった話題も出てきますし、また、それを聞くのも楽しいものです。秘密を共有するかのように自分を開き、オープンマインドで話し合うことで、お互いどんなことを大切にしている教師なのか少しずつ分かり合えるきっかけをつくっていきます。

 

ここには学年に関わる全ての先生、支援員といった、あらゆる人たちを巻き込むことです。その人たちは学年の願いを委託する人ではありません。一緒に子どもたちたちと学年をつくり上げていく人なのです。大人の声、一人ひとりの声を大切にしていく。こういったことがまず先生同士でやれることで、子どもたちへ民主的なモデルとしての一歩となるはずです。

 

ここで、注意したいことがあります。自分のやりたいことをエンジン全開と打ち明けてしまうと、よけい怪しまれます。まずは同僚の人となりを理解することからです。関係が築き始めてから、「相談」とう形で投げかけていけばいいのです。時には、否定される不安もあるかもしれませんが一方で、率直に伝えた方が、のびのびとやれるように助けてもらえることが多くあるはずです。関係性の浅いままで、同僚の知らないところで勝手に何かやっているから、不審がられるのです。

 

年度の初めにつくった共通の学年のテーマやめあては、目の前の子どもたちを見てつくられたものではありません。次に5月の学年会で、学年のテーマやめあてをメンテナンスしていく必要があります。大事にしていたことできたことやもう少しこうしたかったことなどを毎回、話題にしていくことです。学年の願いは、具体的な日常とつなげてこれを話し合わなければ前に進むことはできません。

 

新学期は大人であっても心理的に不安になる時です。そんな不安を受け止めてもらったり、今後、支えたり、支え合ったりするため、学年の先生と「一緒に話しませんか?」と声をかけることからはじめてみませんか。いつも怪訝な顔をしていた先生ほど、自分の話を聴いてもらうことで、その鎧がとけるかのように笑顔となるものです。先生同士の関係性のストレスから少しでも解放されるように、また自分が居心地良く働けるように、新学期できることはありそうです。

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